起て! 甲南の快男児
ラグビーで大活躍の甲南ボーイが母校の魅力を語る
甲南高等学校・中学校
図書館には9万冊もの豊富な蔵書があり、専門の司書が3名常駐。パソコンも完備され、探究学習をサポートしている
甲南高等学校・中学校が誇る「甲南の快男児」というべき青年がいる。甲南中高から天理大学に進学し、2021年1月、第57回全国大学ラグビーフットボール選手権ではキャプテンとしてチームを導き、悲願の大学日本一を達成した松岡大和さんだ。卒業後はラグビートップリーグの「NTTドコモ レッドハリケーンズ」に入団。新たなステージでの挑戦が始まっている。同校入試広報部長の田村信平先生は、松岡さんが高3の時の担任の先生。師弟の二人が「甲南ボーイ」の魅力について、語ってくれた。
甲南ボーイは
なぜ社会で活躍できるのか?
田村信平先生(以下・田村先生) 甲南ボーイはなぜ社会に出て活躍できると思う?
松岡大和さん(以下・松岡さん) 甲南ボーイは「やるときはやる」からじゃないですか。やるといっても、一人ではなく集団でやり遂げる。甲南生は授業でも部活動でも、いろいろな人とコミュニケーションを取れる生徒が多いから、仲間意識が強みとなって、周りをまとめられる存在になるのだと思います。
田村先生 一人では達成できない、大きなことを仲間で助け合って成し遂げているということやね。本校は仲間が困っていたら、損得勘定なしでパッと手を差し伸べる生徒が多い。人間は支え合うものだということを、学校生活の中で自然と育んでいるんやな。
松岡さん ラグビーに全力を注いでいましたが、だからといってそれだけが全世界になるのではなく、他のクラブやクラスの仲間との取り組みやつながりの占める割合も甲南生活では大きい。要はバランス感覚ですかね。勉強の方はやや努力不足だったかもしれませんが(笑)。
田村先生 大和はそれなりに(笑)やっていたと思うよ。バランス感覚に基づいて(笑)。甲南生の良いところは、相手の良いところを認め合い、生徒同士で言いたいことを言い合える関係を築いていること。甲南ボーイは卒業後もことあるごとに学校に足を運んでくれるけど、今は開口一番「大和、すごいですね~」の言葉。みんなお互いに一目置きあい、さわやかでさりげなく、それでいて強固な仲間意識でつながっている。
松岡さん 確かに。みんなどこかで仲間のことを気にかけているところがありますね。仲間が困っていたら、自分のことは後にして動いてしまっている。そういう心を自然と育むものが甲南にはあると思います。全国制覇の数ヵ月前、教育実習でお世話になりましたが、そのスピリットは後輩を見ていても全く変らず誇りに思いました。先生方のおかげです。
田村先生 教師も生徒から日々学んでいる。また教師と生徒だけではなく保護者、OBなど甲南中高にかかわる人すべてがお互い学び合うことで、この学園の輝きが形成されていると思う。
松岡さん 僕もOBの一人として責任重大ですね。
田村先生 大和のエピソードですごいなと思ったのは、修学旅行での福島高校との交流。向こうの生徒と大和が連携し、イベントを盛り上げてくれたよね。特にラグビー部が舞台で披露した「ハカ」にはほんまに感動した。大和に底知れぬ、仲間をまとめるパワーを感じたわ。これからもいろいろあるやろうけど、甲南スピリットでお互いに乗り越えていきましょう。
入学時のコースに縛られない
コース変更に柔軟に対応
国公立をはじめとする難関大学を目指すフロントランナー・コースと、甲南大学を含む難関私大を目指すアドバンスト・コースの2コース制をとっている同校。
最大の特色は、中3になるまで柔軟にコース変更ができることだ。中2進級時にフロントランナー・コースが1クラス増設され、基準をクリアした生徒はフロントランナーに移ることができる。もちろんその逆も可能で、コース変更に弾力性を持たせていることで、ゆっくりと自分の進路を考えることができる。実際、アドバンストからフロントランナーに移り、医学部に進学した生徒もいたそうだ。
さらに中3からは、アドバンストの中に国際教養プログラム「グローバル・ファウンデーション」を履修するクラスを1クラス設置。海外への長期・短期留学を希望する生徒はこのコースで学ぶことができる。
フロントランナー・コースで中2〜3年にかけて実施するサイエンス・ラボ。本格的な実験を通して、知的好奇心を刺激する授業が行われる
学問の楽しさを体験
OBの絆でキャリア教育
旧制高等学校の流れをくみ、小手先のテクニックに走るのではなく、学問への興味を根本から喚起する教育を行なっているのも同校の特色だ。
サイエンス教育においては大学並みの実験を行なっており、理科室は物理・生物・化学などの科目別。さらに「講義室」と「実験室」に分かれ、教室は雛壇スタイルで大学の講義のように授業を受ける。
9万冊の蔵書数を誇る図書館は常に専門の司書が複数常駐。調べ学習用の本も豊富に揃っており、図書館内のパソコンは90台以上。甲南大学図書館の資料も取り寄せることができる。
グローバル教育では、中3からの国際教養プログラム「グローバル・ファウンデーション」からスタートし、高校の「グローバル・スタディ・プログラム」へと続く4年間で、国際人としての素養を磨く。ネイティブ教員による英語の授業はもちろんのこと、「言語技術」という授業では、プレゼンテーションに必要な実用的な日本語を学ぶなどユニークなものも。1クラスという少人数の中で、面倒見の良いグローバル教育が実践されている。
キャリア教育においては、甲南ボーイの強い絆が発揮されている。中3の「OBワークショップ」は、医師、教師、経営者などのOBが集まり、各教室で職業について話をしてくれる。高校では会社を訪問する「OB企業訪問」も行なっており、後輩のために先輩が一肌も二肌も脱いで応援してくれている。
企業からの課題に取り組む「トゥワイス・アウォード」では、2020年度の大会でローソン賞を甲南高校1年生のチーム「鶴」が受賞した。企業がどのようにして消費やサービスを生み出しているのか具体的に体験することで、将来への意識を高め、キャリア教育の成果を上げている。
甲南高等学校・中学校 https://www.konan.ed.jp/
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