生徒の可能性を引き出す、静学の「教師力」
チャレンジする生徒が集まる魅力とは?
静岡学園中学校・高等学校
第98回全国高校サッカー選手権大会で優勝した静岡学園サッカー部。本気で文武両道を目指す生徒が集まっている
「だけじゃないチカラ。」をキャッチフレーズに、何事にもチャレンジし、楽しめる生徒を求めている、静岡学園中学校・高等学校。
この春、高校教頭だった鳴嶋吉彦先生が副校長に、中学教頭だった幡野公一先生が高校教頭へ、そして倉島利仁先生が中学教頭に着任した。長年、静学の生徒を温かく見守ってきた3人の先生方に就任への思いを聞くとともに、鈴木啓之校長を交え「高い次元での文武両道を目指す進学校」という新たなステージへ踏み出す、意気込みをインタビューした。
自分で考え判断する力を
これからも静学の魅力を発信
――就任の抱負を教えてください。
鳴嶋吉彦先生(以下、鳴嶋先生) コロナ禍でもあり、これからの社会はますます不透明になっていきます。自分で考え、判断できる力を育てること。それを大切にしていきたいと思っています。
幡野公一先生(以下、幡野先生) この春の高校募集は非常に良い結果を修めました。これが一度きりにならないよう、塾でも「静岡学園○名合格」と、大きく貼り出していただけるくらい、静学がブランド化されるよう努力していきたいと考えています。
倉島利仁先生(以下、倉島先生) 中学も高校と同様受験生が増えました。これが一過性にならないように、本校の魅力を発信していきたいと思います。
鈴木啓之校長(以下、鈴木校長) 3人の先生方は静学に奉職されてからずっと生徒を見守ってきた生え抜きの先生方です。鳴嶋先生は昭和の時代から数えて37年目、幡野先生は27年目、倉島先生は20年目になります。
本校は移転・学科改編をし、教養科学科となってから11年目となりました。3人の先生方は移転前の静学のこともよくわかっていらっしゃいますので、非常に信頼しています。
私は長く公立高校におり、3人の先生方とは経歴が違います。先生方とは違った視点で提言をするのが、私の使命。学校運営で大切なのは「検証して継承または改変すること」。先生方とともに不易と流行を見極め、守るべきは守り、変えるべきは変えながら、生徒から「静学を選んで良かった」と評価してもらえる学校づくりを目指していこうと思っています。
多様な生徒を伸ばし育てる
レベルの高い教員集団
――歴史から見た、静学の強み・良さとは?
鳴嶋先生 私は静学の強みは「生徒を育てる」ことにあると思っています。部活動や様々な活動もやりながら、学力を伸ばしたいという生徒が増えてきていますが、幅広いタイプの生徒に対応できる、レベルの高い教員集団であるということが、静学の強みだと思います。
幡野先生 「文武両道」を目指す生徒たちが集まっている実感がありますね。本校のサッカー部を目指して県外から受験した生徒に、「他にもサッカー強豪校はあるのに、どうして静学?」とちょっと意地悪な質問をしたのですが、彼は「勉強もサッカーもやろうとしたら、静学しかない」と言ってくれたのを記憶しています。
倉島先生 私が着任したのは、中学にサッカー部ができた年。当時はサッカーをやりたい生徒と、勉強目的の生徒が分かれていた印象がありました。しかし、それが年月を経て変わっていった。お互い高いところを目指しながら、刺激し合って成長するようになったと感じています。
鳴嶋先生 歴史を振り返ると、新人時代の私は、開校当時を知る先生方から、何もない状態からどのように生徒を育ててきたか、話を聞くことができました。当時すでに受験生は増えていましたが、「これは当たり前ではない」と教えていただきました。現在、副校長という立場になり、新任の先生方にも「生徒を育てる」ということはどういうことか、当時の思いも継承してもらえるよう研修で話をしています。
脈々と継承されていく
「面倒見の良さ」
幡野先生 本校のように、大学進学も部活動も高いレベルを目指す、両方を兼ね備えた生徒が集まってくる学校はなかなかまだ少ないのではないでしょうか。
鈴木校長 正直、進学校の中では非常に難しい道を歩いているという気持ちもあります。どちらかに棲み分けした方が指導はしやすいからです。しかし、静学が目指す生徒像が広く浸透し、多くの受験生に支持されているのも確かです。
生徒が伸び伸びと文武両道を目指せる環境を整えるのが教員の役目です。静学の先生方の良いところは、面倒見がいいこと。学校全体に「生徒に丁寧に対応しよう」という雰囲気が醸成されている。そんな印象を受けますね。
幡野先生 生徒に慕われ、信頼関係を築いている先輩教員の姿を見たら、若い先生方も自ずと「そうなりたい」と思いますよね。それが脈々と引き継がれていると思います。
鳴嶋先生 私は先生方には、自分の仕事が生徒の人生に大きく関わるという自覚を持ってほしいと思っています。
弁護士になったある生徒は私立文系だったのですが、中高一貫クラスが1クラスしかない時代で、物理の授業も一緒に受けていました。ある時、交通事故の裁判の際、運動量を計算する公式が必要になり、久しぶりに物理の教科書をひっぱり出して読んだそうです。「受験に必要がない科目でも、色々なことを勉強しておくことは大事だと思い知りました」と話してくれました。こうしたエピソードはとても嬉しく、教師である私を支えてくれています。
(左)本校の陶芸窯で独創的な作品を制作中 (右)自己ベストタイムの更新と全国大会出場
――最後に、生徒にはどのように成長してほしいと思いますか?
倉島先生 本校にはSGT(SHIZUGAKU GOLDEN TIME)をはじめ、様々なことに興味が持てるプログラムがあります。色々なことを見たり聞いたりし、世界を広げてほしいと思います。
幡野先生 小学生や中学生に本校のことを説明する時、よく「陶芸」に例えています。「あなたの許容量(器)は柔かい粘土で、お猪口ぐらいの大きさだけれども、この3年間または6年間でぐいぐいと伸ばして、大きい器にしよう。それがいずれ役に立ちます」と話します。何にでも挑戦し、大きな器になってもらいたいですね。
鳴嶋先生 私は、自分らしく生きていく力を身につけてほしいと思っています。学校生活の中では小さな挫折もあるでしょう。けれども様々な経験の積み重ねが思いやりの心を育みます。そうした心を育ててあげたいと思っています。
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