少人数で丁寧に指導する学習環境
進学も学校行事もクラブ活動も挑戦する校風
園田学園中学校・高等学校
ハワイの修学旅行が中止になった昨年は、中高合同体育祭で「高校3年生ハワイダンス」を披露
阪急塚口駅から徒歩8分、閑静な住宅街に位置する園田学園中学校・高等学校は、周辺に系列の大学・短期大学部・幼稚園も抱える総合学園である。1938年、園田村村長であった中村龍太郎氏が、女子教育の重要さを説いて設立。今年度で創立83年目を迎える歴史ある女子校だ。建学の精神「捨我精進」を礎に、勉強はもちろん、クラブ活動や学校行事を通じ、良き社会を構成する人材育成に心を傾けてきた同学園。7年後の90周年を見据えた、園田学園の教育を厚田太加志校長と江戸俊章教頭に聞いた。
建学の精神「捨我精進」と校訓が
コロナ禍を生き抜く道しるべ
地域の女子教育の拠点として成長してきた園田学園中学校・高等学校。創立以来、建学の精神「捨我精進」と、校訓「明るく、清く、正しく、強く」を掲げ、社会に役立つ人材育成に力を注いできた。
「『捨我精進』は、相手の身になって考え、誠実に行動し、仲間と協力して幸せな社会をつくるために努力するという考え方です。創立時からのこの精神が受け継がれており、時代が変わっても生徒を成長させ、社会に有用な考え方だと思っています。また校訓『明るく、清く、正しく、強く』の“強く”の言葉に私自身感銘を受けています。将来、厳しい社会を生き抜くために必要な要素です。例えば、新型コロナウイルスのため行事が中止になったとしても、前向きに過ごすために知恵を絞るのが強く生きることだと思います」と話す、厚田太加志校長。新型コロナウイルス感染症の収束が見えない現在、まさに建学の精神と校訓が、同学園での教育や活動の場で生かされていると言う。
中高一貫でリーダーシップと
自己マネジメント能力を習得
「中学ではコース分けがなく、特に学習面は、少人数制で丁寧に指導しています。また、3年間を通じ“ファミリー活動”という学年を縦割りにしたグループをつくり、文化祭や体育祭といった行事で3年生がリーダーとなって活動します。その活動で自然にリーダーシップを学び、高校に進んだときにはクラスでリーダーになれる生徒に育ってほしいと考えています。当学園では、自己マネジメント能力を育てる『7つの習慣J』とフォーサイト手帳を活用し、計画を立てて生活する習慣を身につけています。すでに習慣付いている生徒一人ひとりが、高校でもその取り組みを広めていってほしい。そんな人間教育も含めて、6年間学びます。もちろん学習面は、中学で丁寧に学んでいるので、よりレベルの高い進路を目指せるのではないかと思います」と、江戸俊章教頭は話す。
希望進路へ導く手厚いサポート
ICTを活用した国際理解教育
一方、高校は特別進学、進学、総合の3コースに分かれている。特別進学コースは、国公立大学・難関私立大学を目指すコース。2年次からは理系・文系に分かれて授業をするので、少人数で丁寧な授業を受けられる。月~金曜は7時間目に5教科の特別講座を実施。全国的な模擬試験を3年で20回受験し、個々の実力アップを図る。
進学コースは、園田学園女子大学への内部進学、または、他大学進学を目指すコース。希望進路に応じ、①看護栄養系・大学理系②児童教育系③総合体育系④生活文化系⑤大学文系の5つの系統別授業を2年次から実施。高大連携講座では、さまざまな大学の先生や同校卒業生が来校し、学部の説明や大学生活について話を聞くことができる。そして総合コースは、大学や短大、専門学校など幅広い進路選択ができるコース。基礎学力の定着を図るとともに、キャリアアップに役立つ検定試験にも挑戦する。ビジネス文書実務検定、硬筆書写技能検定、秘書検定は全員受検する。
「総合コースの生徒の8割~9割がビジネス文書実務検定3級を取得します。さらに硬筆書写技能検定は7割程度。中学・高校ともに“朝学習”を実施しており、検定対策もその時間を活用しています。また、7年前からICT教育を導入し、タブレットは生徒1人1台持っているので、コロナ禍でも授業が遅れることはありませんでした。授業を研究するICT担当がいるので、今後もより工夫した授業ができるでしょう」(厚田校長)
またICTを活用した国際理解教育も同校の特色の一つだ。ネイティブ教員による朝学習に加え、タブレットを使った「読む・聞く・話す・書く」の学びや、学園所有の海外キャンパス(ニュージーランド)で受けられる研修制度もある。
今春の卒業生の進路は、進学コース・総合コースのそれぞれ35%程度が内部進学。新型コロナウイルスの影響で進路変更した生徒もいたが、柔軟に対応できるのが同学園の魅力だ。また、他大学、他短大へは進学コース・総合コースのそれぞれ40%程度が進学する。主に関西圏の私立大学に進学する生徒が多いそうだ。
(左)学園保有の海外キャンパス(ニュージーランド)には日本語が堪能な専属スタッフが駐在し、留学生活をサポートしてくれる
(右)中学1年生~3年生が縦割りのグループで学校行事に取り組む”ファミリー活動”
ホノルルフェスティバルでダンスパレードに参加
“努力が無駄ではない”を実感
同学園は精神面での教育に重点を置いている。もともとスポーツ系のクラブ活動が盛んな学校で、バドミントン、テニス、ソフトボールなどの強豪校としても知られる。クラブ活動をがんばっている生徒がクラスにいることで、ほかの生徒にも諦めない精神が伝播し、良い影響を与えているという。
さらに高校の修学旅行では、ハワイのホノルルフェスティバルでダンスパレードに参加するのが伝統行事だ。学年全員で助け合いながらダンスをつくり上げ、何度も練習を重ねる。当日はホノルルで多くの人から声援をもらい、その中心に自分が居る稀有な経験ができる。残念ながら今年と昨年は新型コロナウイルスの影響により参加できなかったが、多くの練習を重ね、2020年度の中高合同体育祭では「高校3年生ハワイダンス」を披露。ハードなダンスを踊り切った後の「努力は無駄ではない」と実感できる瞬間が、生徒たちの思い出と自信につながった。
「学校は頭と心、体を鍛えるところ、そして青春を謳歌する場だと思います。辛いことや思い悩むことがあっても、その柱がしっかりしていれば、多少の問題もクリアしていけるのではないかと思います。友と仲良く、苦しい中にも楽しみを見つけ出しながら、その時々の青春を謳歌してもらいたいです」と、厚田校長が語ってくれた。
園田学園中学校・高等学校 https://www.sonodagakuen.ed.jp/