マナビネットオープンスクール2022 ●掲載:塾ジャーナル2022年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

可能性を引き出す中学の新しい3コース始動
「感動体験」を通し、強く生きる人材を育成

滝川第二中学校・高等学校(兵庫県)

学校法人瀧川学園のもと、1984年に高等学校、2004年に中学校を創設した滝川第二中学校・高等学校。中学校の開校以来、「教育は感動である」をスローガンに、同校は、多彩な「感動体験」を生徒に提供し続けてきた。その一環として、昨年度から中学校において「I.U.E.知識実践コース」「プログレッシブ数理探究コース」「エキスパート未来創造コース」を新設。各コースの取り組みについて、中学主任の金子幸平先生、英語科の三村裕美子先生、理科の西島健先生に話を伺った。



左から、理科の西島健先生、中学主任・英語科の金子幸平先生、英語科の三村裕美子先生

多彩な文化や価値観を実体験
「I.U.E.知識実践コース」

多感な6年間に様々な感動をさせることに重きを置き、同校が生徒に与え続けている「感動体験」。これを強化するために、昨年度から始動した3コースについて紹介したい。

まずは、「I.U.E.知識実践コース」。I.U.E.は、International Understanding Educationの略である。国際理解教育に注力し、高度な語学力と国際的な感覚を磨き、グローバルに活躍する人材を育成するコースだ。

単に座学の英語だけではない。同コースでは、週1回、ネイティブ講師とマンツーマンでオンライン英会話を受講し実践力を磨いていく。

特筆すべきは、週2コマとっている「英語探究」だ。ここでは、英語を使ってプレゼンテーションやディスカッションなどを行ない、外国の文化や価値観を実体験できる。例えば、神戸大学の学生NGOとともに発展途上国との貿易の仕組みである「フェアトレード」について学んだり、文化や時代背景などの事前学習を行なった上で、「ハリーポッター展」を鑑賞した。

また校外学習では、姫路城の観光マップを英文で作成し、英語を母国語とする講師たちに見どころを英語で紹介するツアーを実施した。

「英語ツアーでは、普段習った英語の表現を実体験のコミュニケーションツールとして感じてもらえ、生徒たちも楽しそうでした。いろんな文化や価値観に触れ、それが英語を勉強する動機づけになればいいです」と三村裕美子先生。

そして同コースの集大成といえるのが、中3で実施されるI.U.E.留学である。これは2ヵ月半、カナダに留学するというもの。現地スクールに2~3人ずつに分かれて勉強するため、自分で考えて動くという積極性がつく。精神的に大きな成長を遂げることがねらいだ。

三村先生は「このコースは英語が得意でないと入学できないという訳ではありません。入学してからコツコツやって伸ばすチャンスはいくらでもあります」と受験生へのメッセージを送ってくれた。


(左)生徒がネイティブの教員に英語で姫路城を案内する、I.U.E.知識実践コースの英語ツアー
(右)数理的な知識や論理的思考力、探究心を養うプログレッシブ数理探究コースでの実験風景

論理的・数学的思考を磨く
「プログレッシブ数理探究コース」
可能性に挑戦する
「エキスパート未来創造コース」

次に紹介するのが、難関国公立大学や医学部医学科進学を視野に入れたハイレベルな授業を行なう「プログレッシブ数理探究コース」。数理的な知識や論理的思考力、探究心を養っていく。

とくに「プログレ探究」では、ヒラメキとキラメキをもつ中学生になってほしいという狙いから難解な数学パズルを解いたり、コインゲームの必勝法を発見したりといった取り組みを行なう。また、ウズラの卵を落としても割れない装置づくりを競い合う等の頭脳競技にも取り組む。さまざまな思考を通して新しい価値観に触れ、自らを鍛えることが目標だ。

今後期待されるのは、今夏実施予定の、家島でのサイエンスキャンプだ。こちらでは生徒自らが採取したウニを受精させ、プルテウス幼生になるまでをリアルに観察。研修を通じて先人の研究をなぞる。

「おもしろくて価値があることにエネルギーを使ってほしい。頭を使うのが好きな生徒にぜひチャレンジして欲しい」と西島健先生は熱く語る。

最後に紹介するのは、様々な個性や滞在能力を伸ばす「エキスパート未来創造コース」。こちらは特別入試で、ゴルフや水泳、剣道など多様なことを特技とした生徒が入学できるコースだ。

全国大会の受賞者や世界大会出場者などが身近にいることから、いい刺激をもらえるのが同コースの魅力である。「○○君があれだけの努力をしているなら、僕も頑張ろう」と思え、特別入試で入学した生徒も周囲の同級生を見て勉強を頑張るという切磋琢磨の雰囲気だ。また「とことん英語」や「とことん数学」といった講座を設け、不得意科目を得意科目へと変える手厚いフォローアップ体制も整う。

「英語が得意な生徒が不得意な生徒に教えるなど、励まし合う雰囲気が育っています。受験は団体戦なのでいい傾向です」と金子幸平中学主任は語る。


(左)「とことん数学」や「とことん英語」で手厚いフォローがされるエキスパート未来創造コース
(右)縄文杉の見学を目指し、往復19kmの道のりを10時間かけて踏破する屋久島トレッキング

屋久島トレッキングや六甲全山縦走で
精神力や体力を育成

全コースでは、中学2年次の秋に屋久島の縄文杉を目指すトレッキングが行なわれる。ユネスコ世界自然遺産に登録された悠久の大自然を体感しながら、往復19㎞の道のりを10時間かけて踏破する。

この屋久島トレッキングに向けて体力をつけるために、中学1年次と2年次に六甲全山縦走も実施。六甲全山を3区に分け、1区あたり約7、8時間かけて登る。大自然に触れ、精神力や体力、そして協調性を身につけ、感動体験を共有するのが目的だ。

また、中学3年次の海外研修旅行ではカナダを予定。世界三大瀑布の一つであるナイアガラの滝を目の当たりにし、「教育は感動」という言葉の通り、心を打たれるカナダの大自然を満喫する。

「当然、難関国公立大学への進学にも注力し、充実のカリキュラムと講習体制を整えています。ただ、単に大学進学実績だけにこだわるのではなく、将来を見据え、時代の変化に応じて強く生きていくことのできる人材になってくれればと願います」と最後に金子中学主任は語ってくれた。

滝川第二中学校・高等学校 https://takigawa2.ed.jp/


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