マナビネットオープンスクール2022 ●掲載:塾ジャーナル2022年9月号/取材:塾ジャーナル編集部

切磋琢磨の仕掛けで難関大合格者が年々増加
就職に強い産大との高大連携のPRを推進

大阪産業大学附属高等学校(大阪府)


 地下鉄「今福鶴見駅」「新森古市駅」いずれの駅からも、ほぼ直線に歩いて7分という便利な場所にある大阪産業大学附属高等学校。建学の精神「偉大なる平凡人たれ」は、日常生活を大切に送り、地道にたゆまず努力していくことは偉大であると教え、この思いは、現在の「徳育・知育・体育の三位一体教育」の実践に脈々と承継されている。それぞれの目標に合わせ、「特進Ⅰ」「特進Ⅱ」「進学」「スポーツ」「グローバル」の5コースを用意。同校の「今」を、平岡伸一郎校長、国際コース主事の合田早加江先生、入試広報部主事の佐藤雅彦先生に聞いた。


特別選抜クラスが牽引役となり
難関大学の合格者が右肩上がり

記者 難関大合格者数が、ここ3年右肩上がりで伸びていますね。

平岡校長 学校全体でもそうなんですが、とくに特進コースでの伸び率が顕著です。特進コースでは、平日7時間の授業のあと、放課後に90分の特別講座(希望者対象)、土曜日には他のコースが3時間のところ4時間の授業を行っています。加えて、これも他のコースにはないものですが、各学期の期末考査後に集中講座を年間約40日程度設け、豊富な授業時間を確保。授業の中で予習・復習を行い、早朝テストや終礼テストなどの小テストを習慣的に毎日実施することで、確実に学力アップできています。

入学時の成績で、国公立大学をめざす「特進コースⅠ」、難関私立大学をめざす「特進コースⅡ」に振り分けますが、進級時に習熟度によって柔軟にクラス編成しますので、入学時に特進コースⅡだった生徒が、進級時には特進コースⅠになるということは、よくあります。そうやって切磋琢磨することが、この合格実績に結びついているのだと思います。学年が上がるにしたがい、特進コースⅠのクラスが増えていくような進路指導を先生方にお願いしています。

記者 「特別選抜クラス」の存在も大きいのでは。

平岡校長 はい。特進コースⅠの中でも成績上位者で編成した特別選抜クラスは機関車のようなもので、志望大学に現役合格するために、特進コースの生徒たちのモチベーションを引き上げるリーダー的役割を果たしてくれています。

記者 ここでは特別な教材を使用しているのですか?

平岡校長 特別選抜クラスも含めて、進級時に特進コース内で柔軟にクラスを再編成するため、教材は同じものを用いています。ただ、特別選抜クラスは進むスピードが速い分、同じ時間でもより深い学習が可能です。


特進コースでは、希望者を対象に放課後90分の特別講座を開講

系列の大阪産業大学は「就職に強い」!
高大連携のメリットをアピール

記者 系列の大阪産業大学との高大連携はいかがですか?

平岡校長 特別推薦入学試験制度もあり、昨年度は229人の合格者を出しました。これは本校の併願校である公立高校と比較しても非常に高い数字だと自負しています。成績によって入学金免除というメリットもあり、本校から毎年卒業生の3割弱が大阪産業大学に進学しています。建学の精神「偉大なる平凡人たれ」のもと、高校・大学7年間の教育を通じて人生をしっかり生き抜く力を身につけてもらい、地域社会や職場で必要とされる人材に育てあげ、送り出すことが高大連携の意義だと考えています。

記者 大阪産業大学はどのような大学ですか?

平岡校長 「大阪鉄道学校」が本校の起源ということもあり、伝統的に技術系・機械系が強く、現在では、国際学部、スポーツ健康学部、経営学部、経済学部、デザイン工学部、工学部の6学部13学科で構成する、関西でも数少ない文系・理系両方の学部を持つ大学です。このため、あらゆる分野への就職に強く、学内の企業セミナーには年間430社超が集結するほどです。

記者 将来のことを考えると、それは有利ですね。

平岡校長 そうなんです。高校としても、そのあたりをしっかりと中学生や保護者にアピールしていこうと、先生方もPRに注力されています。

佐藤先生 去年から学校見学会・体験会の取り組みを始めました。今年は8月1~6日の1週間開催し、488組890名に訪問いただきました。これまでも中学生が個別に見学に来られたり、お近くの中学校が班に分かれて見学に来られたりということはあったのですが、8月初旬に訪問されることはほぼありませんでした。そこで夏休みを利用して足を運んでいただき、本校のことを知ってもらう機会をつくりたいと考えたのです。1週間の設定にしたのも、ご都合をつけていただきやすくするためです。告知には、6月に開設したInstagramも利用しました。

記者 どのようなプログラムですか?

佐藤先生 簡単な学校紹介とクラブ活動の体験や見学をセットで行い、1日2コマ実施します。去年は新型コロナ感染が再拡大傾向にあったため、クラブ活動体験は急遽クラブ顧問からの説明会に変更となりましたが、今年は予定通りの形で実施できてよかったです。

平岡校長 本校は専願受験者も多いのですが、併願受験者も多い学校です。情報が簡単に手に入る世の中となり、保護者の方もよく研究されたうえで、子どもの将来を見据えて併願先に本校を選ばれるケースが増えてきました。併願受験者が入学することになった場合でも、「公立高校ではなく、産大附属に入学して良かった」と思っていただける3年間をご提供するよう、日々追求しています。そんなところを、この説明会でぜひ感じとっていただければと思います。

学校全体で生徒の夢をサポート
特進コース以外から阪大合格者が誕生!

記者 直近では阪大に合格された方もいらっしゃいました。

平岡校長 実は、グローバルコースの生徒なんです。国公立大をめざす特進コースⅠに合格する力は持ち合わせていましたが、この生徒は入学時から3年間グローバルコースで学んで国立大学に合格するという明確なビジョンを持っていたので、学校側もその夢をかなえるようサポートしました。

 グローバルコースは、基本的に私立文系3教科型、特に英語重視のカリキュラムになっています。そのため、国立大受験に必要な数学や理科は、通常の授業だけではどうしても手薄となることは否めません。そこで、グローバルコースの先生方がうまくリードしながら、他のコースの先生方の協力も得て、無事合格へと導くことができました。本人も、それはそれは喜んでいました。この成功事例は、本校での受験指導の在り方に風穴を空けてくれた、すごく意味のあることだと思っています。

米ポートランドの留学では
ハロウィン、Xマスを本場で体験

記者 グローバルコースには、それだけの魅力があったということでもありますね。

合田先生 同校のグローバルコースは、外国人留学生との交流会を1年生で5回、2年生で3回、授業カリキュラムに組み込んでいるのが特長です。普段の授業もネイティブの先生による少人数制で中身が濃く、プレゼンテーションの機会を多く設けることで、総合的なコミュニケーション能力を高めています。このほか、留学プログラム(希望者対象)も用意しており、英語を使ったさまざまな体験が味わえます。その中で、語学力はもちろん、チャレンジ精神や主体性を育んでいきます。


交流プログラムを定期的に実施している

記者 コロナ禍で留学も難しくなったのでは。

合田先生 毎年、アメリカのオレゴン州にあるポートランドへ、1年間または3ヵ月間の留学を実施していたのですが、2020年はコロナ禍でどちらも中止しました。アメリカ側は“ウェルカム”なのですが、さすがに1年間の留学はまだ親御さんも心配だと思いますので、昨年から3ヵ月留学だけ再開しています。

新型コロナ前は毎年10~15人程度の参加がありましたが、昨年の参加者は5人でした。滞在中のケアにも配慮し、日米のエージェントと契約して、24時間きめ細かくサポートする体制を敷いています。


グローバルコースの米ポートランド留学(希望制)。日本では味わえない体験と、リスニング力向上が好評

記者 3ヵ月間留学では、どのような体験ができるのですか?

合田先生 ホームステイしながら高校に通うスタイルで、1学期間を現地の高校生とともに学習します。できるだけ多く現地学生との交流機会を持つため、今回も5人を3校に振り分けました。クラブ活動も少しだけですが体験できますよ。

また、滞在が10月から12月なので、ちょうどハロウィン、サンクスギビングデー、クリスマスと楽しいイベントが続き、ホームステイ先の家族と一緒に本場の様子を味わうことが一番の思い出になっているようです。

記者 留学の成果は?

合田先生 今回の話ですが、参加した5人のうちの3人は、おとなしい性格で特別英語が得意な子ではなかったのですが、「リスニングに自信がついた」と言って、性格も変わったように帰ってきました。その後、毎日ネイティブの先生のもとに通い、英検準1級を取得していましたね。

記者 1年間留学はどう違うのですか?

合田先生 1年間の場合は、2年生の8月から3年生の6月までの滞在で、学年の最初から最後まで現地の学生たちと一緒に過ごします。一番大きな違いはクラブ活動かもしれません。アメリカでは、シーズンによって異なるクラブに所属するのが一般的です。ホームステイ先の家族との会話に加え、クラブ活動を通じた生徒同士での日常的な会話が、圧倒的な語学力アップにつながっています。来年はぜひ復活させたいですね。

記者 イングリッシュキャンプも行われたばかりですね。

合田先生 希望者だけが体験する留学と異なり、イングリッシュキャンプ(新型コロナのため1年生3月の行事を2年生7月に延期して実施)はグローバルコースの生徒全員が1泊2日のあいだずっと外国人留学生と行動を共にし、交流を図れる場です。毎年、1年生の3月に、京都に出かけています。留学生は、母国語が英語でない国の生徒なので、日本人生徒と同じ立場。日本文化を一緒に体験し、お互い第2外国語である英語で日本を紹介するプレゼンにチャレンジします。


イングリッシュキャンプでは外国人留学生と一緒にクイズラリーやガイディングにも挑戦

「就職に強い」系列の大阪産業大学への有利な入試もさることながら、国公立大学や難関私立大学への合格実績も着実に積み上げている大阪産業大学附属高等学校。英語やスポーツで活躍できる道筋も用意し、生徒の将来を全方位的にサポートしている。

6年後の2028年には学校創立100周年という大きな節目を迎える。今年度はそれに向けた事業計画の実施を加速させる重要な年と位置づけており、同校のさらなる飛躍が期待される。

大阪産業大学附属高等学校 https://www.osaka-sandai.ed.jp/


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https://manavinet.com/west/osaka-sandai/