国公立大学合格者数は過去最多。常に新しい取り組みを続け、
2050年の世界で活躍する人材育成を目指す
常翔啓光学園中学校・高等学校
2022年に法人として100周年を迎えた常翔啓光学園中学校・高等学校の建学の精神は、「世のため、人のため、地域のため、理論に裏付けられた実践的技術をもち、現場で活躍できる専門職業人を育成する。」だ。10代の生徒に、プロフェッショナルとして社会参加するよう自覚を促しているのが印象的だ。その精神を形にする取り組み、キャリアデザイン教育・21世紀型教育・グローバル教育が実り、大学合格実績は躍進。「望む将来像が明確になれば、今、努力するべきことが見えてくる」と話す校長・山田長正先生に聞いた。
独自のキャリアデザイン教育と
21世紀型教育で進路と将来を明確に
常翔啓光学園中高のエントランスにはグランドピアノが置かれ、休み時間に生徒がみごとに弾きこなしている。そんな伸びやかな学校風土のなか、2023年度の進学実績は、神戸大、名古屋大、九州大、大阪公立大などの難関大をはじめ国公立大学に62名が合格し、前年度の41名を大きく上回った。私立大受験でも関関同立に131名が現役合格し、進学校として実力と知名度を高めているが、厳しい学習指導とは様相が異なる。
校長の山田長正先生は、進学実績の躍進を「生徒たちがよく頑張ってくれました」と喜びながらも「合格者の数を追い求めるような指導はしていません」と話す。それよりも在学中に生徒自身がそれぞれの将来像を描くための「キャリアデザイン教育」を充実させてきたことが好結果につながったと考えている。
「将来、何がしたいのかが見つかれば、その実現のために大学で何を学ぶのかが決まり、高校時代に努力する動機になります。将来からの逆算です」と山田校長。
キャリアデザイン教育には、学園内大学である大阪工業大・摂南大・広島国際大の他、関西医科大と関西外国語大の協力を得て、生徒は大学のさまざまな学部の講義を受講できる。この体験を通して将来について考え、学ぶ目的を見出してもらうのが狙いだ。
また、独自の探究型学習「21世紀型教育」は、情報収集やプレゼンテーションに積極的にICT機器を活用し、学年が上がるごとに学習が深化していく。中学1年では、新聞を教材にして調べ学習からポスター発表に取り組む。中学2年では日本経済新聞の連載「私の履歴書」に登場する著名人の半生を題材に、人物ドキュメンタリー作成に挑戦。中学3年は、各自がテーマを決めて1年かけて調査・研究し、パワーポイントを駆使して発表。さらに高校では課題解決型の探究学習に取り組む。
他にも、企業と連携して「こんな製品があったら嬉しい」という発想を製品にするまでの過程を体験する授業もある。このように生徒たちは早くから大学のさまざまな学部や産業界のリアルに触れ、自分はどんな形で社会と関わるのかを考えながら成長していく。
実践的な英語教育と海外体験で
国際人材を育てるグローバル教育
山田校長が掲げるのは「2050年の世界で活躍する人材育成」という方針だ。「2050年には、現在の生徒たちは30代、40代の働き盛り。その頃には、海外の方と一緒に働くことが当たり前になっているでしょう。その時、この学校で学んだことが生きる教育をしようと呼びかけています」
そのために、「グローバル教育」を重視し、オンライン英会話やネイティブの先生の授業を導入して、生きた英語に触れさせ、英語暗唱大会やスピーチコンテストを開催。異文化を体験・理解する試みとして、関西外国語大で学ぶ各国の留学生を招き、英語を母語としない同士が英語で交流する機会もある。
さらに、コロナ禍が一段落して海外研修が本格的に再開。短期は、韓国の姉妹校へ5日間や夏期2週間のニュージーランドやオーストラリアでの語学研修。英語圏への11ヵ月間の長期留学では単位の読み替えを可能にし、卒業が遅れないようにするなど多彩なプログラムを設定している。
「海外の人と交流する機会を増やし、英語力だけでなく、文化や考え方の違いを受け入れられるグローバルマインドを育てたいと考えています」と山田校長。こうしたグローバル教育や、先述のキャリアデザイン教育、21世紀型教育は、先生たちにとってもチャレンジだったと振り返る。
「教師は答えを教える職業ですから、答えのない課題に取り組む指導は未経験でした。しかし、大学や社会が課題を発見して解決できる人材や、外国の方と意見を交わして協働できる人材を求め始めているのですから、教師も変わるべきです」
そのために、探究型の21世紀型教育でSDGs学習を支援できる公認ファシリテーター資格を取得した先生が3名いるなど、指導力の向上も図っている。
多様な進路を応援するコース設定
「学園内大学進学クラス」も新設
同中学校には、難関国公立・医歯薬系大学を目指す「特進選抜コース」と、高校で国公立・難関私立大・学園内大学を目指す「未来探求コース」がある。さらに2023年度に高校で始動した「学園内大学進学クラス」は、学園内大学のひとつである摂南大の文系学部に進学するクラスだ。摂南大での短期留学に参加することもでき、探究学習で完成させたレポートが認められれば大学入学後、大学での単位を取得できる制度もある。
摂南大は、現代社会学部や農学部食農ビジネス学科といった新しい学部・学科が関心を集めていることもあり、「本校と摂南大での継続した学びで、現代の社会が抱える課題解決に取り組める人材を送り出したい」と山田校長は考えている。
こうした先進的な取り組みと好調な大学進学実績が知られ、中学・高校ともに入学希望者は増進中。2050年を力強く生きる世代が集う学校、それが常翔啓光学園だ。
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常翔啓光学園中学校・高等学校 https://www.keiko.josho.ac.jp/