マナビネットオープンスクール2024 ●掲載:塾ジャーナル2024年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

新校長が就任!
ここ数年の改革が奏功
さらに文武両道を極める

春日部共栄中学校・高等学校

「困難な時代にあっても至誠(至高の誠実さ)の心を一生涯貫くこと」を自ら実践した創立者の精神「至誠一貫」を建学の礎とし、「文武両道」を実践している春日部共栄中学校・高等学校。昨年(2023)年、中学校が創立20周年を迎え、数年前から行っている改革も定着してきた。そんな2024年春、6代目となる新校長が就任。独自の教育改革が継続中で、中学校の新コース設立3年目を迎えた今、主に高校で社会科の教諭として教鞭を執ってきた新校長の加藤和己先生に、同校の現在の様子と抱負について伺った。


高3の秋まで大会に出場も
数々の難関大学へ現役合格

加藤和己新校長は同校勤務40年目となる。高校の社会科の教諭から生徒指導部長を10年、その後、教頭を4年、副校長を2年務め、今年の4月に新校長に就任した。

「私が本校に勤め始めたのは1985(昭和60)年、高校開校後5年のことでした。当時はやんちゃな子が多かったですね。野球部が1991(平成3)年に甲子園初出場、93(平成5)年に甲子園で準優勝した頃から全国的に知名度が上がりました。私も野球少年でしたからとてもうれしかったです。そして知名度がアップした頃から、進学実績も伸びてきました」と振り返る。生徒指導部長を10年間務め、副校長の時には中学校を回って募集の仕事もしていた。

「生徒一人ひとりが『文武両道を実現できる学校です』とPRしていました。本校は勉強だけでなく部活動を頑張りたい生徒にも最適です。例えば他校では、高3になるとほとんどの生徒は引退します。しかし本校では、部活によっては高3の10月まで引退せず、全国大会に出場する生徒もいます。私が担任をした生徒の中にも高3の秋まで部活動で活躍し、現役で埼玉県立大や立教大、津田塾大など難関大学に合格した子がいます。文武両道で頑張っている生徒ほど伸びるし、結果を残しています」

部活動は運動部・文化部合わせて36。水泳部や陸上部、吹奏楽部など伝統的に全国レベルの部も多い。

「最近では私が顧問をしていた男子ソフトボール部も関東大会に初出場を果たしました。またHIPHOP部、茶華道部、囲碁将棋部、競技かるた部も人気ですね。とくに茶華道や囲碁将棋は全国大会に出場するなど文化部の活躍もめざましい。中学生でやりたいことや入りたい部活がはっきりしている子はもちろんですが、『やりたいことや入りたい部活が決まっていない子でも本校に入ったら必ずやりたいこと、入りたい部活が見つかるよ』と話しています」

中間テストをなくすことで
「自学自習」を身につける

文武両道を可能にしているのは生徒たちの「自学自習」だ。

「今の時代は知識だけでなく『思考力』が必要です。実際に大学入試でも推薦入試の枠が拡大し小論文、プレゼンの機会が増えています。『思考力』を養うには『自学自習』の力が重要だと考えた本校では、数年前から独自の『教育改革』を行ってきました」

同校では2020年度から中間テストを廃止し、各学期の定期考査は期末試験のみにしている。22年度からは「二期制」、土日が休みの「完全週5日制」となったのに伴い、授業時間を「45分7時限制」とし、3学期制のときよりも総授業時間数を増やすことに成功した。

「定期考査は半分に減りましたが、授業進度に合わせて適宜小テストを行っているため、学力の定着ができていると思います。また、自学自習の意識も高くなっています。小さな目標を達成し続け、やがて大学入試など大きな目標に挑む。自学自習のスモールステップのしくみが定着してきています」

自学自習は学習意欲を向上させている。多くの生徒が利用する春日部駅西口からすぐの「学習センター」は生徒の要望から設置されたもので、ここはほぼ年中無休で毎日16時から21時まで開放。部活終了後、帰宅する前に利用する生徒も多いという。

「そのほか、朝の7時40分から8時15分ぐらいまで『0時限』講習、補習に昼休みの再テスト、チューター制などで学習をサポートしています」。自学自習の意識は、高校での「探究」へとつながっていく。

大いなる目標を抱き
セカンドステージに移行

2022年からスタートした中学校の「プログレッシブ政経コース」と「IT医学サイエンスコース」も1期生が中3になり、中1から中3まで全学年が揃った。

「中学生のうちから高い意識をもって将来に備えてもらいたい」という思いから新設したというこれら2つのコースは、高2までの5年間に及び、通常の教育課程の授業を受けたうえで、銀行員や証券会社社員、医学博士などのプロによる授業や講演会、研究などの専門性の高いプログラムを受講。簿記検定などの検定試験にも挑む。

「今年は1期生が中3になり、中1・中2のファーストステージからセカンドステージに移行しました。この2年間は大成功だったと思います。セカンドステージでの活躍と成長が楽しみです」

一方グローバル教育では中1・2年生のGEP(グローバルイングリッシュプログラム)や、中3のK-SEP(共栄サマーイングリッシュプログラム)で英語力やプレゼンテーション能力を育成し、高1ではイギリスへの海外研修が計画されている。

「ここ数年の教育改革が定着してきていると感じています。本校では今後も改革の成果の検証を逐次行っていく予定です」

最後に校長としての抱負を伺った。

「生徒には『目標をもつことが大事』と伝え続けていきたいです。たとえば山を登るのには険しい道もあれば緩やかな道もある。どの道を選んだとしても、もつべき目標をもって進んでほしいと期待しています。学校としては、これからも時代を見据えた教育を行っていきたいと思っています」

改革の成果が現れ始めた今、春日部共栄中学校・高等学校の今後に目が離せない。


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