マナビネットオープンスクール2024 ●掲載:塾ジャーナル2024年9月号/取材:塾ジャーナル編集部

普通科Ⅰ類の3コース改編から3年
多彩な学びと希望進路を叶え、湖国の伝統校は新時代へ!

滋賀短期大学附属高等学校

滋賀短期大学附属高等学校は琵琶湖を見晴らす丘陵地帯にある。その歴史は古く、前身は大正7年(1918)に創立された女性のための裁縫学校だ。共学進学校に進化した現在も、建学の精神を受け継ぐ生活デザインコースがあり、2022年には全国に先駆けてスポーツ健康コースを新設。これらの専門科と、合格実績が伸び続ける進学クラスを有し、さらに系列の滋賀短期大学と連携して学べる個性的な伝統校だ。2022年に普通科Ⅰ類を大きく改編してから3年が経ち、勉強も部活動もますます盛んな“滋賀短”の今についてお話を伺った。


新設・改編から3年
多様な希望進路に応える普通科Ⅰ類

滋賀短期大学附属高等学校は、系列校に滋賀短期大学と附属幼稚園、附属すみれ保育園があるなか、創立106年目で最も歴史が長い。その始まりは、創設者の中野冨美氏が、手に職を持ち自立する女性の育成を目指して開校した裁縫学校で、戦後は家政科の実業高校となり、1970年に普通科を開設。2008年からは共学化し、男女協働の時代を見据えて進化してきた。

2022年にも大きな改編を行っている。それまでは、難関私立大や国公立大への進学を目指す普通科Ⅱ類、部活動と進学の両立を志向する普通科Ⅰ類、衣食住を専門的に学ぶ生活デザイン科という編成だったところを、普通科Ⅰ類に生活デザインコースと新設のスポーツ健康コースを組み入れた。

その狙いは、生活デザイン科は女子生徒が多いため、男女協働参画社会にふさわしい環境をつくることだった。この改編から3年、普通科Ⅰ類は総合進学・生活デザイン・スポーツ健康の3コース体制となり、さまざまな目的をもった生徒が共に学ぶ学科となっている。

新設のスポーツ健康コースは、スポーツを通じて社会貢献や健康・医療分野に携わりたいというニーズに応え、創設時から関心を集めてきた。このコースでは、さまざまなスポーツを体験し、スポーツ栄養学や運動生理学、応急処置などの専門知識と技術を学ぶ。

同コースについて募集企画部主任の神原啓人先生は、「学びを活かした交流活動にも積極的で、地域イベントで出店したり、障害のある方たちと一緒にできるスポーツをしたりして、地元のみなさんに認知していただいています」と喜ぶ。

実業高校時代からの伝統を汲む生活デザインコースには保育分野と食分野があり、前者は保育士・幼稚園教諭、後者はパティシエ・栄養士を目指す生徒たちが学んでいる。このコースから滋賀短期大学への特別推薦制度を活用してデジタルライフビジネス学科や幼児教育保育学科に進学し、学びを深める生徒も多い。

そして、総合進学コースは地域社会とつながる学びを重視しているのが特色だ。観光振興や町の活性化などの課題に目を向け、地域の人たちに取材して解決策を探り、プレゼンテーションする探究学習に力を入れている。

「中学時代は人前で話せなかったけれど、取材やプレゼンテーションで力をつけ、学校説明会で司会を務めるまでに個性を伸ばす生徒もいます」と神原先生は話す。

この普通科Ⅰ類がユニークなのは3コースの生徒が同じクラスで学ぶことで、3年間で絆を深め、それぞれのコースの学びから刺激を受けている。

右肩上がりの合格実績
入学後の学力伸長が目覚ましいⅡ類

普通科Ⅱ類は、関関同立などの難関私立大や国公立大の合格実績が年々上昇している精鋭クラスで、勉強合宿や大学見学などの受験を意識したカリキュラムで学ぶ。一方で、8割近い生徒が部活動にも励んでいるのが文武両道の「滋賀短」らしさだ。もともと進学意欲の高い生徒が入学するのだが、全国模試の結果を分析すると、普通科Ⅱ類全体で入学後さらに学力が伸びているという。

その背景には、担任だけでなく教科担任の先生も面談で生徒と向き合う親身な指導や、充実した自習スペースで勉強する生徒が多い校風がある。自習の様子は、小林昌彦校長が「励ましたいけれど、声をかけるのを遠慮してしまいます(笑)」と話すほど真剣だ。

こうした学習環境の中で、普通科Ⅱ類、Ⅰ類ともに進学実績が伸びている。特に2022年度は4年制大学への合格者が前年を100人上回り、進学校として存在感を増していることがわかる。

さらに、Ⅱ類Ⅰ類の生徒たちは部活動でも活躍しており、特に女子バスケットボール部や女子バドミントン部は強豪だ。

合格はゴールでなくスタート
生涯、学び続ける姿勢を育む

小林校長は、コース改編からの3年間を「成績上位の生徒だけでなく、集団で学力向上や進路実現の結果を出せるようになってきました」と振り返る。異なるコースに在籍する生徒が刺激し合いながら、それぞれの部活動や進路を応援する学校文化が出来つつあるという。

「受験シーズン前に系列大学への推薦入学が確定した生徒も、一般入試に挑戦する仲間の姿を見て、大学入学までにひとつでも多く資格を取得しようと励んでいます」(小林校長)

こうした学園風土は、本校の教職員が以前から「大切なのは卒業しても学び続けること。それが叶う進路を見つけてほしい」と指導し続けてきた成果だと小林校長は捉えている。

多彩な学びと進路を応援し、進学校として成長し続ける滋賀短期大学附属高等学校から、今年度は改編後初の卒業生が巣立つ。

新制カリキュラムで学習や部活動、地域活動に取り組んだ生徒たちは、これまで以上に多様な進路を実現してくれるに違いない。


過去の記事もご覧になれます

進学クラスと専門科を持つ湖国の伝統校 来年度改編、スポーツ健康コースを新設


滋賀短期大学附属高等学校 https://www.sumire.ac.jp/highschool