マナビネットオープンスクール2024 ●掲載:塾ジャーナル2024年9月号/取材:塾ジャーナル編集部

文理の枠にとらわれない「SOAR(ソアー)」2コースが始動
グローバル・サイエンス両面から世界に羽ばたく「GSコース」
高2・3で大学と合同で探究活動に取り組む「探究コース」

武庫川女子大学附属中学校・高等学校

時代のニーズに伴い、今年度の募集から文・理が融合した「SOARグローバルサイエンス(GS)コース」と「SOAR探究コース」の2コース制となった武庫川女子大学附属中学校・高等学校。「SOAR」は英語で「飛翔する、舞い上がる」「高まる、高揚する」を意味し、「一生を描ききる女性力」を養う武庫川女子大学独自の未来教育プログラムだ。大学との連携をより一層強めるための取り組みとして、中高のコース名に「SOAR」の名を冠した同校。現在進行形で進化するプログラムの内容について世良田重人校長に伺った。


高校時代に北欧研修を実施
“真の地球人”育成に自信

「SOAR グローバルサイエンスコース」は、専門的な学びを深めることで、さまざまな分野でグローバルリーダーとして活躍する女性の育成をめざす高度な理数教育に加え、充実した海外研修が自慢で、英語力の向上はもちろん、異文化への理解を深めることで国際感覚を身につけられる。

「SOAR グローバルサイエンスコース」と「SOAR 探究コース」いずれのコースの生徒でも希望できる海外研修も充実している。中学ではタイ王国とアメリカでの研修を隔年で実施する。中学3年生ではGSコース全員がアメリカのワシントン州スポケーン市にある武庫川女子大学の分校での研修に参加する。高校ではオーストラリアと北欧研修を隔年実施する。

「中学は2・3年生、高校は1~3年の合同募集です。隔年実施であらかじめ行き先を明確にしているので、ご家庭の事情に合わせて、お子さんをいつ・どこに参加させるか計画的な検討が可能です。全部参加されれば、武庫川で過ごす6年間で世界の主だった4地域を体験することになります」

目玉となる北欧は、今年発表されたSDGsランキングでトップ3に輝くフィンランド、スウェーデン、デンマークの3か国を約2週間かけて訪問する。いずれもウェルビーイング(心身および社会が健康的で良好な状態)な好循環型社会の先進国として知られる。

フィンランドでは、提携校で授業に参加し生徒宅にホームステイするほか、職業学校「オムニア」を訪問。スウェーデンでは北欧モダニズム建築や独自のバリアフリー施設を訪れ、野外教育を体験。

デンマークではジェンダーレスな公共トイレやレクリエーション機能を併せもつ廃棄物発電所「コペンヒル」見学のほか、試験や成績が一切関係なく民主主義的思考を育てる北欧独自の教育機関「フォルケホイスコーレ」での宿泊研修など、盛りだくさんな内容となっている。移動中であっても、五感からかならず多くの刺激を得ることだろう。

「私学でも北欧に行く学校はあまり聞きませんが、高校生の段階でこれらの国を知ることに意味があると思っています。例えば経営学部や建築学部に進学する生徒たちは、既成概念を超えた新しい提案できっと社会に還元してくれることでしょう。“真の地球人”の育成には非常に良いコースだと自負しています」

「総合的な探究の時間」は
高校3年間で週5時間
大学の全面協力を得てゼミ活動も

「SOAR探究コース」では、通例週1時間の探究学習を高2・高3では週5時間にすることが決まっている。「武庫川女子大学の経営学部と教育学部が、学部をあげて全面的に協力すると言ってくださっており、相当密度の濃い探究活動ができると思います」と世良田校長は胸を張る。

6年間を通しての探究学習の教育設計も固まっている。中1では鳴尾地区や甲子園など学校周辺の郷土史を通じ、街の成り立ちを学ぶ。中2は滋賀・長浜での宿泊研修。自分の街と比較することで地元をさらに深く知る機会が得られる。中3ではさらに範囲を広げて長崎に赴き、平和を学ぶ。これらに並行し、中1から中2にかけて鳴尾特産のいちごの栽培から収穫までを体験学習。自然に触れながら環境づくりについて考える。

高校に入ると、校外学習の行き先自体をグループで発案し、企画力・提案力を養う。同時に自分が何を探究したいのかを見極め、高2・高3のテーマごとのゼミ活動につなげる。ゼミには武庫川女子大学教育学部・経営学部が大きく関わり、具体化が進められていく。

「ゼミ活動は縦割りにして、いろいろな人との関係性を知る機会とします。10月に校内で全グループによる中間発表会を開催し、中学生にも見てもらおうと考えています。1月末の発表会には保護者や近隣学校など外部の方もお呼びする予定です」
このほか同コースでは、高校のカリキュラムで日本文化、外国文化(フランス・中国・韓国)を強化。より深く学べるようにしている。

説明会参加者は1割増
積極性溢れる生徒たちが集う

非常な注目を集めている2つの新コース。「さまざまな説明会への参加者が前年度から110%アップ」で、中高とも増員となった。
中学1年は、「SOAR探究コース」が3クラス、「SOAR GSコース」が1クラス、高校1年では外部受験による入学者約100名を含め、それぞれ5クラスと2クラスが始動している。

これまで以上に積極性の高い生徒が集まったといい、毎年夏休みに募集している「科学交流研修会」には「SOAR探究コース」の生徒が数人、さっそく手を挙げた。
「理系に特化したイベントのイメージがあったようですが、文理の垣根がいい意味で下がった証ですね。同様に夏休み恒例のイングリッシュキャンプには、GSコースの1年生が臆することなくたくさん参加してくれて、新コースは順調な滑り出しをみせています」

飛翔し、高揚する、武庫川女子大学附属中学校・高等学校の未来を、世良田重人校長はしっかりと見据えている。 


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武庫川女子大学附属中学校・高等学校 https://jhs.mukogawa-u.ac.jp/