地域No.1塾を目指す☆10月の業務ポイント

PS・コンサルティング・システム 小林 弘典

毎月の業務に焦点を当て、塾コンサルタントの小林弘典さんがアドバイスをします。
効率の良い年間スケジュールを組み立てる際にお役立てください。

冬期講習の方針

まずは表①をご覧願いたい。直近5年間の、教場あたり月末受講生数の推移が示されている。経産省「特定サービス産業動態統計調査」から算出した(調査対象は学習塾業界大手160社)。最下段は9月末の受講生数に対する冬期講習生をも含めた12月末の受講生数の比率である。19年から2・4%増、3・6%増、2・1%増、2・3%増と来ていたものが、昨年は0・4%の減少に転じている。

減少に転じた理由は種々考えられる。が、主因は各地で生じている公立高校の定員割れと大学における年内入試の拡大であろう。それまでかなりの割合を占めていた冬期講習時点からの受験生の飛び込み需要が、一気に少なくなったとみて間違いあるまい。

加えて、経済的要因も小さくない。表②をご覧いただきたい。厚労省「国民生活基礎調査」から引いた「18歳未満の児童のいる世帯」の生活意識である。23年は「大変苦しい」が28・5%で22年の22・9%から5・6ポイント増加。「やや苦しい」が36・5%で31・7%から4・8ポイント増加。

「普通」「ややゆとりがある」「大変ゆとりがある」がそれぞれ7・5ポイント、2・3ポイント、0・5ポイント減っている。ここまで家計が逼迫してくると、冬期講習にも大きな影響が出てくるのはやむを得ない。


では、この冬はどうなるか。

対象の児童・生徒数に関して言えば、今年はメインターゲットの公立中3生が1万8千人減り、高3生が3万8千人増えている。差し引き2万人の増加で、多少なりとも受験生の飛び込み需要が増加する可能性もないわけではない。

とはいえ、高校の定員割れ、年内入試の拡大、連続する実質賃金のマイナス、さらには非受験学年児童・生徒の減少等々を併せ考えると、よくてせいぜい昨年並み、場合によっては幾分減少するとみておくのが妥当なところではあるまいか。

ならば、冬期講習についてどんな方針で臨むのが得策か。

①塾生に関しては全員受講を徹底する(早めに日程を提示)
②ありきたりの「薄く広く復習を」はやめ、単科でもよいので十分時間を確保した充実したカリキュラムを組む(実感できる成果の出る講習)
③昨年度の講習生数を確認のうえ、少なかったら広告費をつぎ込んでまでの公開募集を取り止める
④代わりに塾生紹介・保護者紹介等を活用して、とりわけ継続入塾が期待できる非受験学年の児童・生徒の参加を促す

 時代は大きく変わっている。これまでの常識がこれからの常識ではないことを肝に銘じつつ方針を立てていただきたい。

11月の業務ポイントは10月公開予定です

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