塾長のためのマンスリー☆スケジュール
地域No.1塾を目指す☆10月の業務ポイント
PS・コンサルティング・システム 小林 弘典
毎月の業務に焦点を当て、塾コンサルタントの小林弘典さんがアドバイスをします。
効率の良い年間スケジュールを組み立てる際にお役立てください。
冬期講習の企画
一部の中学受験専門塾を除き近年、冬期講習の講習生集めが厳しくなっている。
経産省「特定サービス産業動態統計調査」によれば、ここ10年間の「12月末の教場当たり受講生数(講習生を含む)」は平均で「8月末受講生数」の3・43%増に過ぎず、さらに直近の21年は1・66%増、22年は1・72%増と増加幅が一段と縮小している。
同調査の対象は全国レベルの中堅・大手塾なので、地方の中小規模塾も同様の傾向とは断定できないが、それにしても一時期に比べて冬期講習生が少なくなっていることは間違いあるまい。
一般論で言えば、減少の主因はおそらく各地で頻発している公立高校の定員割れであろう。冬期講習でもっとも動くのは、かつても今も高校受験を控えた中3生と思われるが、昨今の公立高校受験生の大半は12月下旬の時点ですでに合格がほぼ約束されている。
釈迦に説法を承知で申し上げると、公立高校の合否はどこでも「内申点+学力検査」で判断される。その内申点はほとんどの場合12月中旬までに確定し、受験生は通常、その点数に応じて受験校を割り振られる。
割り振られた受験校が定員ギリギリか定員割れと予想できれば、学力検査で落とされる恐れはほぼなくなり、学力検査のために時間とカネを使って冬期講習に参加する必要もなくなるわけである。
加えて要因のひとつとして、私立高の多い都市部の場合は私立の単願もある。こちらも内申点確定の12月時点で内申点相応の高校を受けると決めれば落とされる可能性はほぼ皆無となり、冬期講習に行く必要はない。
要するに近年は、「高校受験生をメインターゲットに据えた冬期講習」というこれまでのビジネスモデルが崩れてきたとみてよかろう。ならば講習の中身を換えるよりほかあるまい。
「受験する学校に特化した対策」48・6%、「苦手科目の集中講座」44・9%、「重要部分の総復習」40・8%、「基礎固め」40・1%、「応用力強化」39・2%。ちょっと古いが、(株)ネオマーケティングが19年秋、冬期講習に通わせる可能性がある小1生~高3生をもつ保護者848名を対象に行った調査での、「冬期講習に期待する内容」の回答トップ5である(複数回答)。
これらを参考に特色ある冬期講習プランを作り上げていただきたい。
なお、以上はあくまで一般論である。内申点比率は自治体によって大きく異なる。同じ自治体の同じ公立でも、受験校によって異なる場合もある。内申点比率が低い場合(5割未満)、「高校受験生中心の冬期講習」はまだまだ有効であり、私立の併願や一般入試受験者が多い地域でも有効だと思われる。
地域状況と自塾の生徒の志望先とを勘案して判断するようお願いしておきたい。
学校見学
塾の仕事を「教科学習の教授」と捉えている塾関係者は少なくないが、「学習意欲の喚起」、「勉強の仕方の提示」、「学習時間の確保」の3つも塾の大切な仕事である。
このうち志望校の見学は意外なほど学習意欲の喚起に効果がある。子どもたちを塾外に連れ出すことも考えていただきたい。
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