マナビネットオープンスクール2023 ●掲載:塾ジャーナル2023年9月号/取材:塾ジャーナル編集部

今春、大学キャンパス内に新校舎完成
「高大一体教育」で生徒の可能性を広げる

北海道科学大学高等学校

北海道科学大学手稲前田キャンパス内の新校舎が完成し、2023年4月から新たな歴史がスタートした北海道科学大学高等学校。インパクトのある三角形の校舎に四角い教室を配置したデザインが特徴的で、それによって生まれたフリースペースは生徒の憩いの場となっている。
来年には、北科大への進学希望者を対象とした「系列大進学コース」が始動する。橋本達也校長に新校舎での生徒の様子や、新たなステージでチャレンジを続ける同校の取り組みについてインタビューした。


大学の図書館で熱心に勉強
友だちと過ごす居心地良い空間

「昼休みになると、生徒たちはフリースペースに出てきて、友だちとお弁当を食べながら楽しそうに会話をしています。自分の教室にいる生徒は半分もいませんね。放課後はここで自習する生徒も多いですよ。すでにお気に入りの場所ができた生徒もいるようです」と嬉しそうに話す橋本校長。

早くも新キャンパスでの生活を謳歌している生徒たち。高校生は大学の図書館や学食などを利用できる。「生徒たちは良い表情で、大学の図書館や学食に行っていますね。高校の校舎を飛び出して、自分たちの意思で行動することに楽しさを感じているようです」

6月の定期テストの前には、勉強する高校生で大学図書館はいっぱいになった。校舎内のフリースペースも放課後や休み時間に、自習の場として活用されている。

教室をはじめ、体育館やサブアリーナを含めて全館に冷暖房を完備。近年北海道でも夏の暑さは厳しいが、年間を通して快適に過ごせる環境が整っている。大学と共用の運動施設も多く、部活動に熱心に取り組む高校生を見て、大学生も刺激を受けているようだ。

北科大進学希望者対象の
「系列大進学コース」

大学と同じキャンパスで学ぶメリットは施設面だけではない。大学との連携を強化した高大一体の学び「HUSリンクス」も、北海道科学大学高等学校の教育の大きな特徴だ。

3年間通して行われる「総合的な探究の時間」では、北科大の先生をはじめ、多彩なジャンルのプロフェッショナルを招いて講演を開催。生徒たちは講義の内容から刺激を受け、探究のテーマを決定。プロのサポートを得ながら、成果をポスターにまとめて発表する。

3年生の前期から北科大への系列校推薦進学希望者を集めた「系列大進学コース」を設置する。このコースは「特別進学コース」と「進学コース」のどちらからも選ぶことができる。

同コースで学び、北科大進学が内定した生徒は、3年生の後期に「コンカレントプログラム」を受講できる。大学の講義をひと足早く学び、単位は高校と大学の相互で認定されるこのプログラム、第1期生は現在の2年生で、北海道の高校としては初めての試みとなる。

「系列大進学コース」は、北科大の全学部(工学部・薬学部・保健医療学部・未来デザイン学部)が対象。近年は看護学科や理学療法学科などがある保健医療学部の人気が高まっている。最終的には国家試験合格を目指す学部になるため、「国家試験合格に必要な基礎学力を高校時代に身につけさせたい」と橋本校長は話す。

「系列大進学コースでは、大学進学に向けて前向きに勉強する姿勢が求められます。進学が決まったからもう勉強しなくてもいい、ということではありません。そのことは折に触れて生徒たちに伝えていますが、予想以上に興味をもつ生徒が多いので、期待しています」

今年から「HUSリンクス」の新企画として、北科大の大学生・院生との「座談会」がスタート。大学生の代表から「大学生活の実態」などについて話を聞いた後、学科ごとに小グループに分かれ自由に話をできる機会が設けられた。

「大学生からは『数学のこの分野を勉強しておくと役に立つ』といった具体的なアドバイスや、国家試験に向けての勉強法など、リアルな話が聞けると生徒には好評です。北科大というフィルターを通して、大学に行ったら何が必要なのか理解し、進路を決めてほしいと思っています」(橋本校長)。

「総合選択」の授業で
得意分野の力を伸ばす

2023年の大学進学実績では、国公立大学に26名が合格。私立大合格者302名中79名が北海道科学大学に進学しており、着実に進学実績を伸ばしている。

土曜日は授業ではなく、数学と英語を中心とした「土曜講習」を実施。希望者が参加するスタイルで、講座内容は生徒のニーズに沿って細かく設定している。人数が多い場合は大学の広い講義室を使うなど、大学キャンパス内にある利点を最大限に活かしている。

進学コースの2・3年次には「総合選択」という科目を設置。検定対策やハイレベルな情報の授業など、興味のある科目を取ることができる。生徒それぞれの得意なことを伸ばし、総合型選抜など多様化する大学受験にも対応していきたい考えだ。

部活動も活発な同校。今年、北海道で開催されるインターハイには、7種目(男子バレーボール部・ソフトテニス部・卓球部・硬式テニス部・自転車競技部・水泳部・空手部)で出場する。文武両道を実践している生徒も多く、2年前には春高バレーに出場した後、大学受験に臨み、北海道大学に合格した生徒もいた。

新校舎や教育内容への期待から、入学希望者が増えている北海道科学大学高等学校。入学する生徒の学力レベルも上がってきている。

「今後は国公立大学の合格者を増やせるよう、学習面でのサポートをさらに強化していきたいと考えています。それと同時に、本校で充実した3年間を過ごし、国公立大に限らず、それぞれの生徒が希望する進路を実現できるよう力を注いでいきたいと思っています」と橋本校長は将来を見据えている。


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北海道科学大学高等学校 https://hs.hus.ac.jp