マナビネットオープンスクール2024 ●掲載:塾ジャーナル2024年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

国公立大合格者が50名以上増加
生徒と教員の信頼関係で、大学合格実績を大躍進

静岡学園中学校・高等学校

2024年の春、大学合格実績が飛躍的に伸びた静岡学園中学校・高等学校。国公立大に118名(2023年は67名)、難関私立大(医学部医学科含む)に185名(2023年は105名)が合格。国公立は50名以上、難関私立は80名以上増加と大躍進を遂げた。その快進撃の秘密は何だったのか。鳴嶋吉彦校長、進路部長の三上勇司先生、昨年の高校3年の学年主任・相馬直人先生、同じく副主任で探究系クラス担当の良知(らち)紘行先生に静学の進路指導の強みについて、語ってもらった。


教員の言葉を信頼し
素直に勉強に励んだ高3生

──素晴らしい大学合格実績です。良かった点は?

鳴嶋𠮷彦校長(以下、鳴嶋校長) 先生方が生徒一人ひとりの気持ちや状態をよく把握してくれていると感じています。生徒の考えを汲みとりながら、一歩一歩学習を積み上げていった結果だと思います。

三上勇司先生(以下、三上先生) 私は進路担当として、毎年高校3年生を見ていますが、昨年の3年生は例年以上に落ちついて勉強に集中していました。高1・高2の段階で「人間性の土台」が育っていたというか、進路指導室の赤本の借り方などのマナーもとても良かった印象があります。落ちついて受験に臨めたことが最後に大きく伸びた要因だと考えています。

相馬直人先生(以下、相馬先生) 本校の校是は「孝友三心」。親子の間に通う情愛を人間教育の基本としています。三心とは「服する心」「感謝する心」「全うする心」。なかでも「服する心」において、昨年の3年生は教員の言葉を素直に受け入れ、やるべきことに取り組んでいました。実績が良かったのは、高1の段階から教員と生徒の信頼関係ができていたことに尽きると思っています。

良知紘行先生(以下、良知先生) 探究系クラス(選抜クラス)の担当だった私は、生徒に「勉強だけできてもダメ。 応援される人になろう」と伝えてきました。学歴は人間性や将来の成功を担保するものではありません。そのことを言い続けてきたので、どの学力層の生徒も劣等感を感じることがなく、受験に臨めたと思います。

もうひとつ、高1の頃から「等身大の自分と向き合おう」とも言ってきました。なりたい理想の自分に対して、今の自分の状況を自覚する。その上で、次の模試や定期テストでどの順位を目指すのか数値目標を定め、何をすべきか具体的に考えさせるようにしました。

相馬先生 一般クラスでは部活動を引退してから受験勉強を頑張り、想定以上の結果を残した生徒が多かったと思います。模試でE判定が続いていても「何をすべきか」を教員も一緒に考え、時間をかけて粘り強く伴走しました。そういう意味では本校の教員は「しつこい」んですよ(笑)。

総合型選抜対策は
学年を超え教員が個別指導

──特別な進路指導や、講習を行ったのですか?

相馬先生 実は、特別なことは何もしていないのです。放課後や土日、自発的に学校で勉強する生徒が例年よりも多かったのは確かです。良知先生はよく「凡事徹底」と言っていましたが、教科指導、共通テスト対策、生徒と教員の信頼関係など、当たり前のことを徹底していたことが相乗効果を生んだと思っています。

三上先生 そうですね。「凡事徹底」によって基礎学力がしっかりついたと思います。

良知先生 本校はある程度までは、教員が引っ張る形で勉強させる学校です。そこから自発的に勉強に取り組むようになるまでが大事なのですが、昨年の3年生は早い段階から自立して勉強できていたと感じます。

──近年、総合型選抜による合格が増えています。対策は?

三上先生 総合型選抜を志望する生徒には、個別に小論文や面接の指導を行なっています。担当は高3の担任に限らず、学年問わずお願いしています。先生方には指導可能な得意ジャンルを3つほど担当してもらい、生徒が志望する大学や学部、生徒との相性を考えて指導をお願いしています。本校でも総合型選抜による合格者が増えており、一般クラスの私立大学進学者の約半数が総合型または学校推薦型選抜です。

良知先生 探究系クラスは、一般入試が約95%で、学校推薦型選抜で合格した生徒は数名でした。制度が変わった2021年度当初は、総合型選抜は専願が多かったのですが、現在は複数出願する生徒が増え、私立の一般入試に近い感覚です。一般入試か総合型選抜か学校推薦型なのか。生徒の適性を見極め、中途半端にならないように指導していきたいと思っています。

生徒一人ひとりを理解し
進路を切り開く

──静岡学園の進路指導の強みをお教えください

三上先生 本校は部活や生徒会活動、学校行事に一生懸命に取り組み、自分を磨いている生徒が多くいます。しかし、勉強に当てられる時間には限りがあります。限られた時間の中で効率的に学力を上げられるよう、生徒のことを理解し、必要なアドバイスができる教員がいることが、本校の強みなのかなと思います。

良知先生 大学受験では、生徒・保護者・学校の三者が同じ方向を向くことが大事だと考えています。保護者会にはなるべく全員の方に来ていただきたいと思っていますが、本校は県外生も多いので、来られない時は電話やZoomなどで対応しております。丁寧に保護者の意向を聞くことで、保護者の方が学校の方針を応援してくれていることも強みだと思います。

相馬先生 やるべきことを明確にして、誠実に実行する。受験勉強に特効薬はなく、ひたすら学習を積み重ねるしかありません。教員は生徒のことを深く理解し、生徒も教員の熱意を受け止め努力する。その信頼関係の強さが静岡学園の良さだと思います。

鳴嶋校長 3人の先生方の話を聞いていて、学習の積み重ねや学校と生徒・保護者との信頼関係の大切さを再確認しました。今年の3年生にもそうした良い流れを継承し、自ら伸びていく姿勢を身につけてほしいと思います。


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