マナビネットオープンスクール2024 ●掲載:塾ジャーナル2024年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

男女共学化・普通科改編から3年
成長する進学実績を支える真摯な取り組み

修文学院高等学校

修文学院高等学校の前身は、愛知県一宮市出身の医師・政治家だった吉田萬次氏が1941年に開校した一宮女子商業学校。地元商工界に教養ある女性人材を送り出してきた伝統は、情報会計科、家政科、食物調理科の専門学科が受け継いでいる。一方で、進学校としても成長し続け、特に2022年度の男女共学化を機に、従来の普通科を「特進クラス」と「進学クラス」の2クラスに改編して進路指導を強化。その1期生が今年度、大学受験に挑む。学習・進路指導に取り組む先生方に、進路実現のサポート体制を充実させてきた足跡とこれからを語っていただいた。


■出席者
◇普通科主任 英語教諭  平原 澄夫先生
◇進路課長 進路指導主事 数学教諭 三澤 徳久先生
◇理科教諭  特進クラス3年生担任 會田 好希先生
◇数学教諭  特進クラス2年生担任 戸田 正智先生
◇英語教諭  特進クラス3年生担任 森  博司先生
◇英語教諭  特進クラス2年生担任 大西友一朗先生

男女共学校として3年目
理系進学志向が高まる

──男女共学校になって3年目。従来の指定校推薦の実績に加え、一般入試にも積極的に挑戦されています。進学指導のうえでは補習を強化されていると伺いました。

三澤徳久先生(以下、三澤) 「特進クラス」は以前から補習を展開していましたが、部活動と受験の両立をめざす「進学クラス」の生徒に向けても、今年度から週3回、7時間目の補習を設けました。また、特進クラスでは8時間目の補習もスタートして、進学意欲の高い生徒のために難易度の高い補習を展開していきます。

平原澄夫先生(以下、平原) 女子校時代には文系進学者が多い傾向がありましたが、共学化で理系進学者が増えつつありますね。

會田好希先生(以下、會田) そうですね。数年前まではみられなかった理学部、歯学部、理工学部を志望する生徒が多数出るようになりました。

平原 3年生に比べて、2年生の方が理系の生徒が多い印象です。

戸田正智先生(以下、戸田) はい。特進クラスでは理系が20名、文系が13名です。理系の生徒の進路希望で多いのは薬学部や看護学部、理学部。工学部志望の生徒はまだ少ないです。

平原 いまのお話は特進クラスのケースですが、進学クラスの理系志望者は男子生徒の比率が高いこともあって、工学部進学者が出てきそうです。今年の3年生からは過去の進学実績と傾向が変わるのではないかと予想しています。

系列大学への推薦入学枠が拡大
資格や英検を活用しての進学も

──系列の修文大学・修文大学短期大学部への内部進学の仕組みについてお教えください。

三澤 来春から、修文大学への修文学院内部進学選抜という制度がスタートします。いわゆる指定校推薦ですが、その枠が大幅に増えます。修文大学は医療系学部に重きを置いた大学ですので、理系科目の成績が重視されるのですが、本校からの内部進学者は若干、寛容に評価してもらえるので間口が広くなります。

平原 本校には伝統ある3つの専門学科があり、その特色を生かした進学・進路指導を展開できるのも強みです。専門学科の生徒が、資格を活かして大学に進学する道も拡がっています。

三澤 専門学科では例年、卒業生の半数以上が大学に進学しています。簿記や情報処理関係の資格を評価する大学も増えていますから、資格取得のための補習を実施して、総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦入試に活かすことを推奨しています。

平原 英検を入試に活かした進学も広がっていますね。

森博司先生(以下、森) 英検取得に意欲的な生徒は多いです。今年度の第1回検定に20名が2級に申し込みました。推薦入試において英検を評価したり、一般入試でも英語の試験を免除したりする大学が増えていて、そうした制度を活用して昨年、愛知県立大学に進学した生徒がいます。今、在校中に準1級まで取得しようとしている生徒もおります。

個別指導開始で学習支援を強化
放課後の自習・CYタイム実施

平原 新しい取り組みとして、個別指導も始まります。特進クラスはもちろん、進学クラスで部活に打ち込みながら優秀な成績を維持している生徒や、専門学科の生徒も参加したいと言ってくれています。この取り組みで学科の異なる生徒が交われる環境ができ、学校として一体感が生まれたらいいなという期待もあるのです。

三澤 補習や個別指導の他にも、放課後、教室の一部を自習の場として提供しています。Challenge yourselfの意味で、CYタイムと名付けました。

 家庭で自学自習できるのが理想ですが、家庭にはゲームやインターネットなどの誘惑が多いですから(笑)。CYタイムなら教員に質問することもできますし、こういう機会を長期休暇や年末年始にも設定して、参加を促していきたいですね。

會田 CYタイムや補習を提案すると、希望者が予想以上にいます。この3年間で模試に対する姿勢がさらに真剣になってきました。模試終了後、生徒同士で確認し合う光景が見られて、進学校としての校風が醸成されているのを感じます。

戸田 模試の結果と一人ひとりの目標に応じた課題を与えています。模試では目標に何点足りなかったのか、それはどの問題で落としたのかを振り返り、克服して次の模試に臨めるようにサポートしているところです。

──大西先生は香川県の私立高校で長く進路指導を担当され、今年度から着任されました。新鮮な目で見た感想はいかがですか?

大西友一朗先生 担任の先生と教科の先生が、よく連携を図っているのがとても印象的です。強化したいのは復習ですね。模試の後ですぐ復習、1カ月後にも復習、大型連休や長期休暇中にもう1回と、定期的に復習して学習を定着させるように呼びかけています。また、近年の模試は小問ごとに達成度が分析されますから、足りないところを見極めて、攻略するように指導していきたいです。

平原 大西先生をはじめ、この3年間で40人近く教員が増えました。さまざまなキャリアをもつ先生方のスキルと価値観を統合して、生徒たちの進路実現を応援し、新しい修文学院を育てていきたいですね。


過去の記事もご覧になれます

男女共学化を機に進学指導をバージョンアップ 多様な進路実現で、“新時代”がスタート


修文学院高等学校 https://www.gakuin-hs.shubun.ac.jp/