マナビネットオープンスクール2024 ●掲載:塾ジャーナル2024年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

キリスト教精神に基づく学びのフィールドは宇宙へ
伝統の英語教育と独自の探究学習が拓く次代のミッション

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校

1956年、アメリカのカロンデレットの聖ヨゼフ修道会から修道女4名が来日。1959年にセントヨゼフ女子学園高等学校、1961年に中学校が開校し、日本における女子教育の先鞭を切った。同校は現在、三重県内で唯一の女子校として「愛と奉仕の精神」に基づき、物事の本質をみつめ主体的に行動する、自律した女性リーダーの育成に努めている。創立以来柱となっている英語教育と探究学習を基盤に、今年度から「宇宙」という大きな視点に立つ新時代の学びが始動。校長の原田泰宏先生、教頭の伊藤和美先生、学校広報センター長の小菅真司先生にお話を伺った。


創立当時から英語教育を柱に
自ら学び探究する力を育む

伊勢平野の中心に位置する三重県津市にあるセントヨゼフ女子学園高等学校・中学校は、近鉄津新町駅からスクールバスで10分という好立地。キャンパスは四季の変化が感じられる豊かな植栽に彩られ、上質感が漂う校舎は品位と知性あふれる校風を体現している。

豊かさの根底にあるのは「心の教育」だ。1年から6年までの6年間、祈りを通して自分を見つめる時間を大切にしている。マリア祭や募金活動、奉仕活動をはじめ、多彩なカリキュラムによって社会人としての基礎力を育みながら、進路実現のためのキャリア教育を実践する。

特筆すべきは、創立以来教育の柱になっている英語教育だ。同校では68年前から「使える英語教育」に取り組んできた。

「私たちは英語を『ツール』と捉え、英語とさまざまな分野をリンクさせる学習に取り組んできました。国内の外国人の方との日常的な会話はもちろん、ひろしまジュニア国際フォーラム、アーティスティックスイミング世界大会など、英語を必要とする場所で生徒たちが活躍しています。『教室で学び、実生活で使い、自分の可能性に気づく』ことが本校の学びのスタイルです」と教頭の伊藤先生は話す。

「2020年から毎年、本校の生徒は『ひろしまジュニア国際フォーラム』に三重県代表として参加し、“平和な世界の実現に向け私たちができること”というテーマで、海外から集まった同世代の参加者と講義やグループディスカッションを行っています。活動はすべて英語で行われ、高度な英語力が求められますが、平和のメッセージを真剣に考え、世界に発信する広島宣言の作成に取り組んでいます」と学校広報センター長の小菅先生。

同校は、難関国公立大学・難関私立大学を目指す「SAC(スーパーアドバンスコース)」と、国公立大学・私立大学を目指す「AC(アドバンスコース)」の2コース制。原田泰宏校長は、「SACでは、中学3年間は日本人教員とネイティブ教員の2人担任制です。中1生から高1生まではSAC特別講座を開講。体験的な内容を多く取り入れ、思考力・判断力・表現力と主体的に学ぶ力を身につけます。ACでは学力の3要素の土台となる『知識・技能』をじっくり培うことを主眼としています」と説明する。

学びのフィールドは「宇宙」
始動する新時代の女子教育

今年度は、新たな教育のコンセプトとして「宇宙教育」を策定した。国際社会に生きるしなやかなリーダーシップを発揮し、チーム活動のマネージメントができる女性リーダー育成を目指す“新時代の女子教育”のスタートである。

原田校長は、「カトリック教育は『人間とは何か』を問い続けながら、それにふさわしいあるべき人間の姿を求めていきます。最終的に行き着くのは宇宙。宇宙は生命の源であり、宇宙に思いを馳せると私たちの本質が見えてきます。宇宙を知り、自分を含めあらゆる事象の本質を探り、新しい発見をしてほしい。宇宙教育はすべてのベースになります」と話す。

現在、MASIP(みえ・航空宇宙産業推進協会)をはじめ、JAXA(宇宙航空研究開発機構)などとのコラボ計画が進行中だという。

「現在本校は文系7割・理系3割ですが、現代社会の理系職には、女性らしい柔軟できめ細やかな視点や繊細な考え方が求められ、『女性理系職の世界』は広がっています。本校においても医療系の保護者が増え、理系女性のニーズが高まっている背景もあり、今後は理系7割・文系3割へと展開していくつもりです」(原田校長)

もともと同校には、周辺の豊かな里山や池、川などの観察・調査、分析などを中心に、身近な問題や自らの興味・関心を軸に理系の探究学習を続けてきた素地がある。宇宙教育は既存の枠組みを超え、新しい価値の創造と新時代に求められる学びとして、好奇心・創造力・探究心を生み出す取り組みなのである。

「本校は令和6年度のDXハイスクール指定校に採択されました。情報や数学等の教育を重視するカリキュラムを実施するとともに、ICTを活用した文理横断的な探究学習を強化してまいります」と伊藤先生。

「英語教育においては英語×他教科の学び(CLIL)のメリットを生かし、英語4技能をバランスよく身につけていきます。また、STEAM教育を強化。例えば、鮎の個体数を算出する方法を学び、実際に川に行って調査をしたり、三重県の測量会の方に指導していただき、昔の地図の作り方と現代の地図の作り方を学びながら、ドローン撮影などの最新技術に触れたりするなど、多彩な学びを計画しています」と小菅先生。

高3の9割以上が英検準2級以上を取得
高大連携協定校への合格率は100%!

中高一貫校ならではの6年間スパンで生徒たちの成長を見守り、進路指導とキャリア教育を推し進めている同校。

「進路を考える上でも、探究学習を通してスモールステップを積み重ねていくことで自己肯定感を高め、自ら学ぶ積極的な姿勢を育んでいます」(伊藤先生)

「一般的な受験方式に加え、大学の指定校推薦や本校との連携協定校入試など、さまざまな方式で生徒の夢や希望を実現に導く仕組みを充実させています」(小菅先生)

同校では高校3年生の90%以上が英検準2級以上を取得している。

心の豊かさと、確かな実力を兼ね備えたセントヨゼフ女子学園高等学校・中学校だからこそ、高大連携協定大学への合格率も100%という実績を誇る。

「宇宙教育」という新たな視点で、同校に課せられた使命は世界規模、宇宙規模で期待されている。


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セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校 https://sjjg.ac.jp/