マナビネットオープンスクール2023 ●掲載:塾ジャーナル2023年5月号/取材:塾ジャーナル編集部

世界を学びにアフリカへ!
志を育むグローバル教育

足立学園中学校・高等学校

「志を持ち、自ら将来を切り拓いていける全人教育」を目指している足立学園。新たなグローバルプログラムとして、タンザニアを訪れる「アフリカスタディーツアー」がスタートした。2022年12月、中学生と高校生計9名がツアーに参加。大自然だけでは語れない、貧困や民族紛争等、様々な課題を抱えるアフリカで、生徒たちは様々な経験を積み、たくましく成長して帰国した。
 全世界レベルの「志共育」をさらに発展させた足立学園に、今後も熱い注目が集まりそうだ。


課題を抱えるアフリカで
これから何をすべきか考える

野生動物を身近に感じる大自然の中でのキャンプ、ライオンに食べられたシマウマの死骸、初めて木に実っているところを見たバナナ、子どもたちとダンスや歌で交流、「最初の出産は12歳だった」と語る女性の話……。

これらはすべて足立学園の「アフリカスタディーツアー」に参加した生徒の体験だ。見ること聞くことすべてが刺激的。欧米などの海外研修では体験できない、文化や自然の違いを肌で感じることができた。

「出発する時はサングラスに帽子、マスクを付けていた生徒たちも、アフリカに行ってからは、一枚ずつそれが剥がれていき、最後は心の中のバリケードもなくなったようでした。自分から積極的に現地の人に話しかけ、一緒に笑って、ガイドの人たちのお手伝いもするようになりました」と話すのは、このツアーの発案者の原匠先生だ。

原先生は2017年からのJICA(国際協力機構)の「現職教員特別参加制度」を使い、青年海外協力隊としてラオスに2年間着任。帰国後の2019年、JICAの仲間がいるナミビアを訪れた。「アフリカのイメージは砂漠や野生動物ですが、実際は都市部もあります。しかし、街外れにはフェンスがあって、バラックが建ち並ぶ貧困地域と中心部は明らかに線引きされ、行き来できないようにしていました。その光景に衝撃を受けました」

2050年には世界人口の4分の1を占めると言われ、経済的発展が期待される一方、貧困や人種差別、紛争問題など多くの課題を抱えているアフリカ。「世界の縮図とも言われているアフリカに行くことによって、生徒たちが『自分はこれから何をすべきか』を感じることができるのでは、と考えました」と原先生。

原先生がアフリカスタディーツアーを井上実校長に相談したのは2022年のこと。井上校長は「最初に話を聞いた時は『生徒をアフリカに? 何言っているの?』と思いました」と笑う。「でも、詳しく話を聞いていくと、本校の理念である『志共育』に通じるものがありました。『志共育』を充実させていくには、英語圏だけではなく世界のレベルで視野を広げていくべきだと考え、ツアーを実施することに決めました」

その後、アフリカ事情に詳しいジャーナリストの大津司郎氏の講演会や募集説明会などを行ったところ、中学3年生5名、高校1年生3名、2年生1名がツアーに参加することに。「本校には志を持とうと入学してくる生徒が多いので、アフリカという場所は生徒の心に響いたのだと思います」と井上校長は話す。

植林体験を国営放送が取材
子どもたちと笑顔で交流

タンザニアで生徒が最初に行なったのは、農村の見学と地元NGOとの植林活動。その様子はタンザニアの国営放送で二度にわたって放送された。

翌日からは現地農業とバナナ農園を見学。学校訪問では80名以上の子どもたちの歓迎を受け、生徒たちはマジックやゴルフ、歌とダンスを披露した。

この他にも野生動物の宝庫である、世界遺産「ンゴロンゴロ保全地域」や同じく世界遺産の「セレンゲティ国立公園」を訪れた。そこではキャンプとサファリツアーを体験。シマウマやヌー、バッファロー、フラミンゴ、ライオン、ゾウ、カバの群れやヒョウ、チーター、ハイエナ、キリン、ダチョウ、ペリカン、ガゼルにも遭遇した。

電気もガスもない生活をしているマサイ族の集落では、マサイ族の人々とジャンプ対決。集落の暮らしを守る一方、英語を使い工芸品の販売で外貨を獲得しているマサイ族がいることも学んだ。すべての日程を終えたのはちょうどクリスマス。現地のガイドやドライバーと抱き合って別れを惜しみ、日本に帰国した。

「生徒たちは当初学年も離れていたので、疎遠な感じもありました。それが今ではとてもいい先輩後輩関係になっています。予想外のトラブルもありましたが、自分たちの力で乗り越えられたことも新鮮に感じたようです」と原先生は語る。

「アフリカをもっと知りたい」
目標とする進学先が明確に

ツアーを終えて、井上校長も原先生も「私たちが思っていた以上の教育効果があったと思います。ここまで変わるとは思っていませんでした」と手応えを感じている。

生徒たちはあらかじめ自分の研究テーマ(「アフリカの貧困」「トイレ事情」など)を決めてツアーに参加。帰国後に報告書をまとめたが、2万字も書いた生徒もおり、予想を上回る充実した報告書が出来上がった。

さらに、アフリカでの経験から自分の進路を決めた生徒もいた。高校生の一人は、大学の進学先をアフリカ関係のことが学べる学部に決めた。もう一人の高校生は生物系(虫)の学部を目指す。

このスタディーツアーのもう一つの目的は「経験したことを周囲の人に還元する」こと。ツアーの様子の一部は、足立学園の生徒にライブ配信で伝えられ、ツアーに参加しなかった生徒も、アフリカのリアルな姿を知ることができた。

すでに来年のツアーの参加希望者が出ている。このツアーがあるから、足立学園を受験する受験生もいたそうだ。

原先生は「今回は現地スタッフがテント設営をしてくれましたが、次は自分たちでテントを設営してのキャンプも計画しています。同行したコックさんがつくってくれたタンザニア料理がとてもおいしかったので、今度は一緒に料理をつくる体験もさせてあげたいです」と話す。

井上校長は「志をベースに、世のため人のためになるよう崇高な思いを持った若者を育てていきたいというのが、私たちの想いです。それには勉強も大事ですが、学校から飛び出して体験を積むことも大切。そうしたチャンスが本校にはありますよ。新しい世界に触れることで、生徒たちはどんどん成長していきます。それを制限することなく、見守っていきたいです」と話している。


過去の記事もご覧になれます
https://manavinet.com/east/5834/
足立学園中学校・高等学校 https://www.adachigakuen-jh.ed.jp/