マナビネットオープンスクール2021 ●掲載:塾ジャーナル2021年9月号/取材:塾ジャーナル編集部

先駆けたICT化、諦めないコロナ対策で
多彩な学びと安全な学校生活を取り戻す

大成中学・高等学校

カンボジアでのボランティアで活躍する旧インターゼミ生


大成中学校・高等学校は創立94年の伝統を持つ学園の愛知県一宮市に所在する新進気鋭校。校訓の「正明和信」に基づく人間教育と、生徒一人ひとりと向き合うテーラーメイドの学習・進路指導を推し進めてきた。「一宮から世界へ」を掲げ、英語教育と国際理解教育、SDGsへの取り組みにも力を入れている。昨年来のコロナ禍にあっても学びを止めないこと、課外体験に富んだ学校生活を守ることに尽力してきた。工夫を重ねての生徒ファーストの実践と、ポストコロナ時代への展望を校長の足立誠先生はじめ6人の先生たちに聞いた。


コロナに負けるな!を合言葉に
明るい学校生活を取り戻す

昨年度は全国の教育現場が新型コロナウイルス対策に追われた一年だった。多くのことが中止や縮小を余儀なくされた中で、同校では最大限の感染対策をとった上で、できる限り平常時に近い学校生活を送れるよう腐心した。

コロナ禍の前から学校設備のICT化や体育館の冷暖房の整備を進めていたことは幸いだった。その結果、休校中のリモート授業をすぐ始められ、中学・高校ともに多数の授業動画を配信した。卒業式、入学式を換気した体育館で行うこともできた。

足立誠校長は「コロナ禍は想定外でしたが先行投資が実を結びました。現場の先生たちも学校と生徒を守ろうと工夫してくれて、制約のある中でもさまざまなチャレンジができた一年でした」と振り返る。

その一つが、生徒たちが萎縮しないように「コロナに負けるな! 連続キャンペーン」と題した楽しい催しだ。「読書の秋リクエスト大キャンペーン」では全校生徒から図書館で読みたい本の希望を募った。700冊以上のリクエストが寄せられ、50冊の図書を購入した。「映画鑑賞会」は密を避けるため体育館で3回に分けて話題作を上映。

そして強豪の柔道部による「大成柔道部最強王者決定戦」を開催。学年男女も混合でエキサイティングな対戦が繰り広げられた。柔道部総監督で中学第一・高校教頭の神谷先生は「久しぶりに試合ができて部員たちの励みになりました。今年は各大会が開かれますので健闘したいです」と意気込んでいる。

また、入学志望者向けの学校説明会は感染対策のため少人数、予約制で行った。中学第二教頭の杉浦先生は「キャンセルがなく、真剣度の高い保護者の方たちが参加してくださいました。例年よりも丁寧な説明ができたと思います」と手応えを語る。今年度も同じスタイルで開催する予定だ。


(左)iPadの導入、全教室にプロジェクターを配置するなどICT環境の整備を進めてきたおかげでコロナ休校時のリモート授業がスムーズに開始できた
(右)後列左から近藤裕介渉外部長、城金明生高校部長、大岡正樹中学部長
前列左から髙木浩正高校校長補佐、足立誠理事長・学校長、神谷兼正中学第一・高校教頭、杉浦和彦中学第二教頭

自分らしい学び方ができる
4つのコースから進路実現

同校の学びのコースは4つ。「ステューディアコース」は中高6年一貫教育で国公立・難関大学をねらう。昨年度は東京外大、名古屋工業大学などの国公立大や私大医歯薬系に多くの現役合格を出した精鋭コースだ。このコースへの編入コースである「ラトナディアコース」からも国公立大を含め多くの生徒が4年制大学に合格した。

「プラウディアコース」は部活動と大学進学の両立を目指す。同校では生徒の9割以上が部活動に所属し、学校は文武両道を応援している。昨年度、「プラウディア特別講座」を開講した。もともと同コースの小論文講座が生徒の満足度が高く、これにプログラミング、英文対策の2講座を加えて、これまで以上に進路実現をバックアップする。


「グローバルフューチャーコース」は1年間カナダ留学をしても3年で卒業できるのが魅力。進学先は語学系学部、国際系学部、海外大学と幅広い

「グローバルフューチャーコース」は英語力強化とともに異文化を理解し国際的に活躍できる力を育むコースだ。目玉は高校1年次の1年間のカナダ留学で、昨年度も今年度も諦めることなく受け入れ先を探し、生徒を送り出している。

どのコースの生徒も多くは4年制大学に進学する。昨年度は全コース合わせて国公立大に29名、私立医歯薬系に9名が現役合格した。一人ひとりの能力を引き出す、テーラーメイドの学習・進路指導の成果だ。高校部長の城金先生は「日頃から生徒との信頼関係を築き、学習の不安や進路の迷いに対応できるようにしています」と言う。

学校推薦型選抜、総合型選抜など大学の選抜方法は多彩になっているが「行ける大学で満足するのではなく、行くべき大学を生徒と一緒に考えて応援していきます」と高みを目指す。


国際的な社会貢献を行うインターアクトクラブは地元ロータリークラブと連携。SDGsを達成するための問題解決を考え、行動する

校内でも国際交流や語学研修
学ぶチャンス広げる支援を始動

「グローバルフューチャーコース」では留学に送り出すことができたものの、それ以外の海外語学研修は中止を余儀なくされた。代わりに中学3年生はオールイングリッシュの校内英語キャンプ、中学2年生はイタリア、ニュージーランド出身の一宮市国際交流員に来校してもらい交流した。こうした学校の取り組みを見て、生徒からもアイデアが出始めた。

「体育祭では人が接触せずにできる新競技を考案して運営していました。成長してくれていると感じましたね」と中学部長の大岡先生は嬉しそうだ。また、このような状況でも楽しみを見つけようとベランダ菜園を育てるムーブメントが生徒に起きている。

公立校でのキャリアを経て就任した高校校長補佐の髙木先生は「時勢に合わせ、生徒の成長のために次々と実行していく。このスピードと機動力は本校の強みだと思います」と言う。その強みで、いち早く導入したiPadを生徒たちは授業や学級通信に使いこなしている。「これを機に生徒のITマナーやリテラシーを向上させたいですね」(大岡中学部長)

また、コロナ対策とは別だが「教育活動支援金制度」を設立する。特待生の特典をさらに拡充し教育活動に必要な費用として制服代や修学旅行費などに充てられる。

昨年の私立学校授業料軽減制度の改正で私立高校に通う生徒への支援が手厚くなり、私立校で学ぶチャンスが広がるのを見通して決めたという。足立誠校長は「意欲ある生徒に本校で学んでもらう一助になれば」と期待している。


大成中学・高等学校
https://www.aichi-shinwa-taisei.ed.jp/junior/(中学校)
https://www.aichi-shinwa-taisei.ed.jp/high/(高等学校)