マナビネットオープンスクール2023 ●掲載:塾ジャーナル2023年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

探究学習で地元企業とタッグ
静岡にイノベーションを起こす!

静岡学園中学校・高等学校

「中高生と地元企業が力を合わせて、静岡の未来を切り開く!」
そんな「静岡愛」に溢れる探究学習プログラムに、静岡学園は取り組んでいる。生徒たちが新たな視点で地域や地元企業について学び、「静岡の豊かな未来の創造」をめざしている「シヅクリプロジェクト」(主催 一般社団法人シヅクリ)に昨年から参加。それとともに、同校独自の特別プログラム「SGT(SHIZUGAKU GOLDEN TIME)」も部活動とのコラボレーションをスタートさせた。
生徒の好奇心を刺激し、これからの時代を生き抜く「生きる力」を身につけさせるべく、進化を続ける静岡学園。魅力的な2つのプログラムについて紹介する。


中学1、2年生が
静岡の未来を真剣に議論

「シヅクリ」とは、静岡県内の中高生が地元企業と協力し、地域をより良くするための革新的なアイデアを出し合う探究学習プログラム。生徒・教員・企業が力を合わせて、静岡の未来を創造しようというプロジェクトだ。静岡学園中学校では2022年から1年生が「フューチャー」、2年生が「エンジン」という探究プログラムに取り組んでいる。

「フューチャー」とは、10年後の未来に生きる自分をイメージする探究活動。生徒は地域で活躍する職業人たちに、生き方をインタビューするプロセスを経て、なりたい自分像を描いていく。夢中になって話し合いをしている姿は、中学生としての頼もしさが感じられた。

「エンジン」とは、地元企業と地域のリソース(能力や資源)を掛け合わせ、地域をよりよくするためにイノベーションを起こすという探究活動。単に企業を訪問して職業観や勤労観を学ぶだけではなく、生徒が4人のチームで新たなビジネスを創造する、より実践的な学習活動だ。

全15回の授業の後、全チームが企業に向けて5分間のプレゼンテーションを行う。審査員となった企業がそれぞれ1チームを選出し企業賞を授与。以前、「このプレゼンを社長が聞いたら、すぐ取り組めというだろう」と企業が高く評価するアイデアもあった。企業賞に選出されたチームは、校種や学年を越えてアイデアを発表し合う「静岡カップ」に出場する。

こうしたプログラムの中で、生徒はコミュニケーション能力や創造力などの「見えない学力」を育んでいく。担当の青山貴弘先生は「このような力を学校の中だけで育むのは難しい。社会の最先端をいく企業に入ってもらい、本物の『生きる力』を生徒に身につけさせたい」と話す。

このプログラムには「自分を否定しない」「他人を否定しない」「思いついたことは何でも言う」という3つの約束がある。どんなアイデアも受け入れる空気があるので生徒たちは安心して発言できる。教師は必要以上にアドバイスせず、企業側も生徒を子ども扱いしない。「ダメ出しされて壁にぶつかった生徒が次にどうするかを懸命に考え、使命感をもって挑戦するときにこそ、大人の発想を超えていく瞬間がある」と青山先生。

今年も6月からプログラムがスタート。静岡新聞SBS、青島文化教材社の2社が中学2年生と一緒に熱いイノベーションを起こすべく探究を進めている。「静岡県は若い人の転出率が高く、やりたい仕事が地元にはないと考える中高生は多い。でも、生徒が知らないだけで、静岡には魅力的な企業がたくさんある。地元を愛し地元を支える人材を育てることは大事な学校教育の使命」と青山先生は話している。

部活動と一緒にSGT
多くの生徒が参加しやすく

静岡学園の特色ある学びの一つである「SGT(SHIZUGAKU GOLDEN TIME)」。陶芸やプログラミング、フラワーアレンジメントや大学や企業の専門家による講義など、多彩な講座が用意されている特別プログラムだ。

生徒は数ある講座の中から、興味あるものを選んで受講。材料費などの実費はかかるが、講座自体は無料で受けられる。

SGTは放課後や土曜日に実施していることから、部活動と重なる生徒は参加しづらいという声があった。そこで、2022年からは部活動とSGTのコラボがスタート。まず女子テニス部と一緒に「メンタルトレーニング講座」を実施。講師は系列校の静岡産業大学スポーツ科学部の先生で、自分の性格を理解した上で、試合当日の心の整え方などを教えてくれた。この講座は好評で、陸上競技部でも同じ内容で開催。他にも、男子バレーボール部をはじめ複数の運動部と合同で「テーピング講座」も開いている。

文化部とのコラボも進んでいる。写真部や写真に興味のある生徒向けには、プロのカメラマンから撮影方法を学ぶ講座を用意。吹奏楽部では、静岡学園の卒業生で現在はジャズサックスプレーヤーとして活躍している中山拓海氏を招いて公開レッスンも開催した。「生徒のニーズに合った内容のSGTを行うことで、より多くの生徒が参加できる機会を提供したいと思っています」と話すのは、SGT担当の和田典久先生。

今年から校内の掲示板に加えて、生徒や保護者のタブレットやスマホにSGTの情報を直接配信することも始めた。紹介する際のフォーマットも統一し、「こんな生徒におすすめ」という項目も追加。中学生向けのプログラムではキャンセル待ちが出るほど、参加者が増えている。

「ホームページにもSGTの様子がわかるよう、写真を多めにアップしています。ホームページを見るだけでも体験しているような気持ちになってもらえたら嬉しいですね」と和田先生。

人気講座の「静学オリジナルのラジオCMを作ろう」では、FM放送局・K-MIXのスタッフと一緒に20秒のCM作りに挑戦。優秀作品はK-MIXのスタジオで録音。生徒がナレーションを務め、実際の放送で流される。マスコミ業界に興味のある生徒にとってはワクワクする経験だ。

「だけじゃないチカラ。」で
あらゆることにチャレンジ

静学のキャッチコピー「だけじゃないチカラ。」には、勉強だけでなく、部活動や学校行事など、あらゆることにチャレンジできる生徒という意味が込められている。

鈴木啓之校長は「SGTでの体験は、生徒にとって好奇心の起爆剤になると考えています。SGTがきっかけで大学選びや将来の職業を決める一石になればいいですね。シヅクリは探究プログラムではありますが、キャリア教育にもつながると考えています。世界や日本全国で活躍できる人材を育てることはもちろんですが、地元・静岡でも活躍できる人材になってほしい。地域のつながりの中で、自分のやりたいことを見出してもらえたと思っています」と話している。


過去の記事もご覧になれます
https://manavinet.com/east/shizugaku-3/
静岡学園中学校・高等学校 https://www.shizugaku.ed.jp/