リベラルアーツ5学園入試相談会in成城大学
主催・運営 成城大学・ライオン企画株式会社
日時 2021年9月19日(日) Zoomオンライン開催
学習院・成蹊・成城・武蔵・甲南大学の5学園は、旧制高等学校をルーツに持ち、教養と語学の涵養を掲げた総合的な人間教育「リベラルアーツ」を日本で最初に行った学園群だ。60年以上の交流があり、近年は大学フェアに「リベラルアーツ5学園」として参加している。新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が続く9月、成城大学での入試説明会の代替として、オンラインによる大学別入試説明会ならびに代々木ゼミナール講師による受験対策講演を開催した。
教育総合研究所 教育情報企画推進室副部長
川崎 武司 氏
①秋からするべき勉強法
現役合格のために受験生はどういうモチベーションで立ち向かうべきか。入試まであと4〜5ヵ月、すでに受験勉強を「実行」していると思いますが、「実行」の前に改めて「意識」と「目標」を確認してほしいです。
「なぜ、その大学に行きたいのか」「入学後、どのような4年間を過ごしたいか」、進学目的とその先まで見通す意識が低いままだと、受験する意義や自分に必要なことが見えず、モチベーションにつながりません。
次に、志望大学合格のためには、具体的にどれくらいの点数が必要であるかの目安として、目指す学部・学科の合格最低点は知っておきましょう。また、配点割合の大きい科目に時間を割いて勉強するのも一つの方法です。入試までを逆算して、限られた時間内で何を埋め合わせるのか「目標」を明確にしてから勉強を「実行」しましょう。過去問に取り組む際も、合格最低点と比べて「いまの自分の力がどれくらい足りないのか」明確に把握した上で、どの問題で得点すべきか計画しておかねばなりません。それは併願校の過去問でも同様です。
モチベーションを高めるために大学見学を勧めますが、新型コロナの影響で直接訪問が難しい状況です。オンライン相談などを活用して、大学と心の距離を縮めてほしいです。
昨年からの大学入学共通テスト導入に伴い、入試問題の質が変容している大学も見られますが、制度や大枠が変わっても、受験生がやるべきことはあまり変わりません。学校の授業を疎かにせず、基礎基本を大事にすること、焦らずに土台をつくり学力を積み重ねてください。そのためにも集中して勉強できる時間を確保し、睡眠・休息時間も含め継続できる生活リズムを整えましょう。
万が一、体調不良などで当日試験を受けられなかった場合の振替措置として、共通テストの得点で選抜をする大学がいくつかあります。特に私立大学専願の方は、共通テストを受ける必要性の有無を認識しておいてください。
②2022年度入試動向
昨年の私立大入試では、合格者を増やした大学が大半でしたが、これは「受かり易かった」ということではありません。コロナ禍のなか、一人あたりの出願校数が激減し、私立大全体で志望者数が約14%減。入試レベル別の減少幅は、上位校ほど少なく下位校ほど大きいです。受験生が受験校数を絞った結果、しっかり準備して挑戦校に臨んだ、あるいは自分の力に見合った大学選びをしたことが伺えます。
私立大全体に見られる傾向に、以前と比べ追加合格者数を極めて多く出しています。大学側としては合格者数の確定が非常に難しく、正規合格者の数を増やすよりは、追加合格者の数を増やしながら入学者を確定する方法を取らざるを得なかったことが推測できます。そんな背景から、実質倍率が過去3年間で最低、という私立大は多いですが、合格最低点に大きな変化はありません。実質倍率が下がった大学・学部・学科ほど、今年は受験者が多く集まりボーダーラインも上がる可能性があります。過去のデータから確実な合格圏を見極め、そこに届くための勉強をしてほしいです。
英語外部試験を利用した入試枠は確実に拡大、また利用する受験者も増加傾向が見られます。入試から過去2年間のスコアが有効なので、高校生にとっても準備に時間をかけられることは大きなメリットになるでしょう。
大学側の利用方法には、①出願要件②みなし満点③得点換算④加点、があります。②③④の場合、当日の英語試験のみで外部試験と同等、またはそれ以上の得点を確実に獲得することは難しいのではないでしょうか。事前に上位の資格・高得点を持っておくことは強力なアドバンテージになります。
学長室広報センター 酒井 秀一 氏
一般選抜は「コア試験」「プラス試験」「大学入学共通テスト利用入学者選抜」の3種類です。共通テスト得点のみで合否が決まる「大学入学共通テスト利用入学者選抜」は、全国の受験生が受験しやすい枠です。「コア試験」は各学部独自の試験問題。志望学部のコア試験日に加えて、別日に「プラス試験」もあり、複数の受験機会を設けています。
受験機会を増やして多様な学生の受け入れを目指す「プラス試験」では、その日行われている別学部のコア試験の問題で選抜を行います。例えば文学部のプラス試験(心理学科と教育学科のみ)では、理学部のコア試験の問題で選抜を行います。今年は国際社会科学部でプラス試験を再開。英語で外部の英語資格・検定試験の点数換算表が更新されているので、必ず要項などをご確認ください。
本学では記述力・表現力も評価するべく、各分野の専門教員が問題を作成し、受験生一人ひとりの答案を丁寧に採点します。対策ポイントは①基本的な問題が中心②記述式の対策は必須③志望学部以外の過去問をチェックすること、です。
※一般選抜の募集要項は10月下旬に学習院大学HPにて公開予定(冊子配布はなし)。
入学センター 書記 山岸 雅典 氏
一般選抜は、大学独自問題の「S方式(全学部統一選抜)」、「A方式(学部別選抜)」、そして大学入学共通テスト利用選抜(後期日程は文芸学部と法学部のみ実施)「B方式」の3種類です。
S方式は2教科・マークシート、全学部共通の試験日・試験問題です。全学科に出願でき、学科ごとに配点・ライバルが違います。一度の受験で複数合格も可能で、全国8会場で実施、2月2日は私立大一般入試で最も早い入試の一つです。ぜひ腕試しにご活用ください。
A方式は4学部で問題・日程が異なり、3教科。外国語・国語、地歴公民数学から1科目選択(一部学科で2教科併願が可能)・記述式です。英作文や論述問題などは部分点も加味され、学力が正確に得点に反映されるのが最大の利点です。成城大学のみで実施、一般選抜の中で募集人員が最も多いです。
S・A方式とも基礎問題を中心に出題、得点率は60〜70%と毎年安定しており、過去問対策がしやすいと思います。一方で読解力を問われる問題が多く、対策が必要です。特に英語は、大学入学共通テストより長文なので、長文問題に慣れておくと良いでしょう。
※募集要項は11月上旬に入試情報サイト「成城ブリッジ」にて公開。
【その他、本誌で掲載中!】
2021年11月号の塾ジャーナルでは、今年9月に愛媛で開催された『千樹会』に注目。全国から会員の塾の先生方が集まり、よりよい塾経営について議論されました。主催の小林弘典氏は「専門性を打ち出し塾のブランド化を進める」ことを提案しています。塾長さん必見です!
●2021年11月号目次はこちら:
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