新型コロナウイルスに関する緊急アンケート
アンケート「休校・休塾中に感じていること」
コロナウイルス感染拡大による影響を受け、2020年4月7日から5月25日に渡って発出された「緊急事態宣言」。全国では約9割の学校が休校措置を取り、また学習塾においても一部が休業要請対象となるなど、対応と対策に迫られる事態となった。
塾ジャーナルでは関係する全国の学校・学習塾へ緊急アンケートを行い、休校・休塾中の対策や新型コロナによる影響を受けて感じていること等、得られた回答の集計結果をまとめた。
(意見の多かった内容を一部抜粋)
■先が見えない不安と対応の難しさ
〇休校期間の延長が続き、学校行事のスケジュール調整がつかず試行錯誤の連続である。オンライン授業の活用を検討しているが家庭の環境整備がされていないところもあり、うまくいかない面もある(東京)
〇生徒たちの生活の乱れを心配しています(千葉)
〇本学は大学なので、国家試験の日程や就職について早々に情報及び案内を示してほしいです(兵庫)
〇休校中の授業料支払いに関する問い合わせが多く、対応に苦慮した(宮城)
〇学校行事、高3の受験に関連することに不安や心配事が絶えない(山口)
〇県外での説明会ができない(愛媛)
■教育格差への懸念
〇休校期間中にオンラインでの学習を試みたが、インターネット環境が整っていないご家庭もあり、そういったハード面での対応についても難しく感じている(愛媛)
〇公立と私立との間で教育格差が拡大傾向にある。家庭の経済力に左右されるのは言うまでもないですが……(大阪府)
〇YouTube、Classi、オンラインで授業の補いをしても、正規に授業を行うのと現時点では格差あり。9月入学などが本格化したら、2021年度入試や説明会の予定を白紙化して再検討しないといけない(決定時期によってはパニック)(三重)
■取り組みや役割が変化するきっかけに
〇学校等の役割やあり方が変化するきっかけになるのではないか(神奈川)
〇学校の先生の働き方改革が言われているが、テレワークや配信授業などといった取り組みがキーになるかもしれない。これをウイルス終息後も活用し働きすぎをなくす一助になればと思っています(埼玉)
〇教師・生徒・保護者とも非常に厳しい環境下ですが、連絡を取り合って頑張っております(大阪)
〇過去例のない出来事です。生徒の安全を第一に、また、学習の機会を極力失わないようにできるだけのことはしたいと思っています(兵庫)
■ICT教育・オンライン授業の実施例
〇「学力の保証」を意識して、4月より全授業において、オンラインで実施しています。朝終礼、LHRもオンラインで実施しています(東京)
〇学校のICT化が一気に進んだ。それなりにかたちにはなってきたが、以前からPCやタブレットを生徒、保護者に持たせ、活用している学校と、そうでない学校で差が大きく出たと感じた。(因みに本校は中高一貫校で、中1・中2はSurfece Goを購入させている)(東京)
〇スタディサプリのメッセージ機能を使い、連絡や動画配信ができた。今後も課題配信と授業をうまく組み合わせてやれる気がする(愛知)
〇全校生徒約(1500人)にタブレットを配布しているという環境があったので、比較的スムーズに対応できました(兵庫)
〇オンライン授業・ICT教育化の進展。当校はiPad全員配布でしたので、4月頭からスタートできました(福岡)
■オンライン授業への可能性について
〇オンラインによる説明会を行うと受験生の需要が多いことがわかった(東京)
〇在宅でのオンライン授業は、ようやく軌道に乗り、生徒とのやり取りも一応できるようになった。教員は動画制作・Zoomでの授業やホームルームなども経験し、技術も向上し、新しい授業形態の可能性を感じている(東京)
〇ICT機器、オンライン学習等への依存度が極めて高まっている。これに対応できないとこの局面は乗り越えられなかった。授業が正常通りできなかったことで、大学入試へのコンサバティブな動きが見られるだろう(静岡)
〇平素から情報公開の必要性を感じていた。学内や家庭環境でもオンライン化を急ぐとともに、教員も全員がIT技術の習得をして、遠隔授業を推進していきたい(大阪)
〇これまで学校が取り組んできた部分のICT化が一気に進み、またさまざまな取り組みで合理化やペーパーレス化が進みました。一方、学校を再開する生徒の声も多く、「場」というものの重要性も改めて認識しました(奈良)
■オンライン授業の負担やリスク
〇教員の出勤は日数を減らしながらも、オンライン授業をするのはなかなか大変。プリント、宿題など普段手渡しできるものが、送付しないといけない。オンライン授業も、機材トラブル、受信不調など問題がまだまだある(大阪)
〇現状やれることをやるだけではありますが、オンライン(ネット回線)の利便性のみがクローズアップされ、そのリスクが無視されているような雰囲気には今後の恐さを感じます(和歌山)
〇オンラインの授業が有効な面はあるが、教員の準備という点ではとても大変である(福岡)
■今後の課題・対策等
〇ICTの導入、活用を加速させる必要がある(愛知)
〇休校となった場合の、学習支援の方法をもっとよく考えておくべきであった(愛知)
〇学校再開後も感染拡大防止対策を取らねばならず、慎重に対応していかなくてはいけない。学びに関しては、オンライン授業での準備を生かして、発展させた深い学びができるようになると良い(三重)
〇安定度の高い「授業配信」システムの必要性(大阪)
〇生徒と密に連絡をとることの重要性(和歌山)
〇学校としてはオンラインによる学習指導をしているが、臨時休業としているため授業と認められない。何か良い手立てはないでしょうか(京都)
〇6月から登校になりますが、授業時間数の確保、広報行事の変更等、安心して頂けるように、全校あげて取り組んでまいりたいと思います(岡山)
(意見の多かった内容を一部抜粋)
■厳しい現状
〇5月11日現在、新規入塾者無し、自粛して休んでいる生徒が半数近くいる(東京)
〇保護者の方の不安やフラストレーションがとても高い(埼玉)
〇先行き不安の一言に尽きる(大阪)
〇入塾が半減した(和歌山)
〇募集時期と重なり、例年に比べ厳しいスタートとなった(高知)
■大きなチャンス
〇オンライン授業の利便性や可能性が感じられてよかった面もある。模擬試験の実施に不安がある(東京)
〇子どもがかわいそうと思う反面、学習に対する自立心を育てる良いチャンスになっていると思う(静岡)
〇ウィズコロナ、アフターコロナで小・中・高生の生活スタイルは激変する。学習塾は児童・生徒の新しい生活スタイルに即応すれば大きな商機を迎える(茨城)
〇授業形態の練り直しのチャンスになるかもしれない(大阪)
〇チャンスです!(兵庫)
■オンライン指導の有効性
〇Zoomを利用した個別指導、対応がどこまで有効なのか。これまでの受講料を頂けるレベルでできるのか。やはり一時的な対応になるのか(富山)
〇オンライン授業を受けている生徒と、受けていない生徒の間での学力格差が顕著に表れるようになり、心配だ(富山)
〇双方向オンラインWEB授業は、講師・生徒の不慣れもあり、短期間だけ安易にツールとして実施するにはリスクを感じる。夏休みがなくなれば、夏期講習が十分にできず、売り上げにも多大な影響が出る(大阪)
〇コロナで塾は大変ですが、集団授業でないと勉強する気持ちになれない子どもたちは多いと思います。今後はオンラインだけで成り立つ生徒ばかりではないと思います(岡山)
〇塾でオンライン授業導入の準備を進めているが、すでに一部の高校で終日オンライン授業を受講させている。その後で、塾でもオンライン授業となると、生徒の疲れと効果が心配なところ。それと、導入費用の助成金で適切なものがない(鳥取)
〇オンライン授業では受講意識の高い生徒には効率よく活用できるが、生徒の関心を高め、継続的に受講してくれる授業展開は、学習内容が時間的に削減せざるを得ないのが、ライブ授業より落ちてしまう。小・中学生は特に難しい(佐賀)
■今後の課題・対策等
〇受験生の授業を学校ができないのなら、塾がやらないと大変なことになる。学力の格差がつきすぎて、再開後に子どもたちが困るし、学校も困る。そして塾も受け入れができなくなるかもしれない(東京)
〇個人塾においては、情報収集と冷静な判断、そしてスピーディな実行が必要な状況が続いていると感じている(千葉)
〇まめな対応①テレワークや個別にLINE②オンライン③掃除・消毒④時間帯を多く⑤少人数かつ席を離すなど個別の対応がより細部に(静岡)
〇保護者の方は、ウイルス感染の危機感よりも、むしろ学校休校による学力低下を心配なさっており、休塾のお申し出はまったくありませんでした。休校措置前から徹底した塾内の消毒を図り、最大限の感染防止策を保護者の方に周知しました(栃木)
〇私たちは新型コロナウイルスから生徒を守ること、生徒の学力を低下させないこと、塾の健全経営化、この3面からバランス良く努力していくことが必要になるのではないかと考えます(長野)
〇何事も早めの準備が必要だと痛感しました(岡山)
〇映画の世界でしか見たことのない、ウイルスによる社会崩壊の実態と、それに対する行政の無力さ、専門性のなさ、脆弱さを目の当たりにして、いかに民間・個人が力を合わせて立ち向かうことが必要かを痛感しております(岡山)
〇本来自分が最も得意とする授業スタイルが、コロナの影響で取ることができなくなっている。が、しかし自分のニーズを我慢してでも、保護者のニーズ時代の変化を取り入れていくことが長期での存続につながると思う(香川)
〇本県(徳島)はほとんど影響を受けていないのに、知事が全国知事会長をしているため、中央に迎合的で、とばっちりを受けていると感じている塾が大半を占めています(徳島)