マナビネットオープンスクール2022 ●掲載:塾ジャーナル2022年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

目指すのは、共感力としなやかな人間力
「躍動する香里」としてさらなる革新へ

同志社香里中学校・高等学校(大阪府)

1875年、新島襄が京都に設立した同志社英学校から大きく進化した同志社大学。その系列の附属校として1951年、大阪の地に唯一誕生したのが、同志社香里中学校・高等学校である。新島襄が掲げた「良心の養成」を理念に、キリスト教主義、自由主義、国際主義の3つの柱を受け継ぎ、革新的な教育を展開してきた同校。2022年度のテーマは「躍動する香里」である。アフターコロナへ向け、教員が躍動し、共鳴する生徒が躍動し、そして学校が躍動する。そのためにはどのような取り組みが必要か。校長の瀧英次先生に話を伺った。


受験にとらわれず自由に学べる環境
3つの柱を受け継ぐ教育の充実を

2022年度、同志社大学・同志社女子大学への進学率が実に97.6%である同志社香里中学校・高等学校。推薦制度があるために大学受験にとらわれず、様々なことに自由に挑戦できる学習環境が整っている。8万㎡の広大なキャンパスにはメディアセンター「繋真館」を中心に多彩な施設が点在し、生徒は勉強に励みながらクラブ活動等の課外活動で人間力を養う。

様々な取り組みを充実させている同校において目指すのは、「共感力」、それに「しなやかな人間力」を持つ人材の育成である。「しなやかな人間力」とは昨年度のテーマでもあったが、コロナ禍であっても、一本筋の通ったぶれない対応力を持つことを言う。

正解が一つではないこの時代には、他人と協調しながらも自分の意見を持ち、良いところは受け継ぎ、悪いところは捨てていくといった精査が必要である。それができるのが「しなやかな人間力」であるという。

「共感力」と「しなやかな人間力」を併せ持つ人材育成を掲げながら、同志社大学から継承したキリスト教主義、自由主義、国際主義の3つの建学の精神にも重きを置くのが同校の特徴である。

キリスト教主義とは、人を思う隣人愛である。礼拝や聖書の時間を通して養い、前述した同校が目指す共感力を身につける。自由主義では、責任を伴う自由について教育する。周囲に流されず、自ら考え、判断し、行動する自立心を育む。そして国際主義では、海外での経験を積むことに重きを置く。海外で直接見て触れて学ぶことを中高で経験し、それらを大学で糧にして、世界へ羽ばたく人材を育成する。

「幼稚園、小学校、中学、高校、大学を通し、創立当時から変わらないのが、この3つの柱です。これからも時流の中で微調整しながら、いかに教育を充実させていくかが学校の使命です」と瀧英次校長は抱負を語る。


感染症予防対策がとられるなか、受験にとらわれない自由な環境で多彩な学びができる

コロナ禍でもアクティブに
「躍動」テーマに国際教育に注力

昨年度の「しなやかな人間力」に引き続き、今年度は「躍動する香里」をテーマとして掲げている同校。

「『躍動』とは、時流を掴んでアクティブであることです。コロナ禍における制限が徐々に緩和されつつある今、『躍動』することに出遅れてはなりません。そのためには、自分で問題を発見し解決する力を身につけ、トライアンドエラーで失敗から学びつつ、挑戦することです。動きを止めず、『躍動』しながら努力を惜しんではなりません」と瀧校長は話す。

コロナ禍であっても躍動することに注力する。その一環が中2から高3までを対象にしたバンクーバーへの語学研修だ。コロナ禍のためここ2年間は実施できなかったが、ようやく今年度に実施予定。35名の募集に倍以上の応募があった。

「実施できなかったここ2年の間に国際教育の火が絶えないでほしいと願っていたので嬉しいです」と瀧校長。

同じく再開を予定しているのが、ニュージーランドターム留学である。中3を対象に3ヵ月間、ニュージーランドで現地の学校に通う。2019年度に留学した1期生は帰国後英検準1級を取得するなどの結果を出しており、今後も留学をきっかけに英語力が飛躍的に伸びることが期待される。

また、今年度からは、Weblioの英会話オンラインを導入。フィリピン・セブ島のインストラクターとのマンツーマン英会話が可能となり、実践的な英語力を鍛える。


中3の3学期をニュージーランド・オークランドで過ごす、ニュージーランドターム留学

静と動の学びができる「繋真館」
探究学習にも多大に活用

「躍動する香里」としてその勢いは止まらず、2021年春に竣工され、図書館とラーニングコモンズを備えたメディアセンター「繋真館」は、今年に入っても活発に活用されている。7万冊の蔵書を擁し、調べ学習や自習できるスペースも設置。ラーニングコモンズではグループでのプレゼンテーションも可能だ。

「静と動の学びができるのが特色です。“動”はアクティブラーニングなど動きのある教育のことで、“静”は読書です。生徒にはしっかり本を読んで知識を身につけてほしいですね」と瀧校長。完成して1年以上経つが、校舎の真ん中である中庭に位置することもあり、積極的な活用がされている。

また、「繋真館」にはプレゼンテーションができるスペースがあることから、探究学習にも大きく貢献している。その探究学習だが、以前から教科横断的な授業に取り組んでいたのが同校である。

例えば中1では旅行のプログラムを考えたり、中2ではチームティーチングを導入し2人の先生が作文の添削をしたり、中3では様々な職業に就く同志社OBの話を聞いたりする。また高校では論文の書き方からテーマ設定、検証、結論の導き方、まとめなどを学ぶ。今年度からは、探究学習担当のチームも新しく編成され期待が高まる。


ICTを活用するスペースと図書館を融合させた、新しい学習空間である「繋真館」

人生100年時代へ向け
学び続ける姿勢を大切に

人生100年時代に突入し、大学を卒業し、働き、定年を迎えるだけの人生は終わった。大学を卒業したからといって、一生が安泰する時代ではない。学びはそこで終わらず、学び続ける姿勢が必要だと瀧校長は力説する。そのため、受験生にも中学受験だけをゴールとしてほしくないという。

「アフターコロナを見据えて、歩みを止めずに一歩一歩、目標を持って頑張ってほしい。ぜひ、ともに学べる機会が与えられることを願っています」と、瀧校長は最後に受験生へエールを送ってくれた。

昨年度に創立70周年を迎えた同校。伝統と革新を併せ持つ学び舎から、数多の素晴らしい人材が羽ばたくことは間違いないだろう。

同志社香里中学校・高等学校 https://www.kori.doshisha.ac.jp


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https://manavinet.com/west/kori-doshisha/