マナビネットオープンスクール2022 ●掲載:塾ジャーナル2022年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

来春、倉敷市に移転
岡山県作陽高等学校は「作陽学園高等学校」へ

作陽学園高等学校(現・岡山県作陽高等学校)(岡山県)

岡山県津山市の岡山県作陽高等学校は1930年に開学。サッカー、柔道、ゴルフの強豪校として全国区の知名度を誇る。進学実績では国公立大学、難関私大に多くの合格者を出し、ミュージックコースからは音大、音楽学部へ進学する生徒も多い。多彩な魅力を持つ同校が、来春、創学の地から倉敷市へ移転し、「作陽学園高等学校」に生まれ変わる。学科コースを再編し、県内に教室展開する明修塾との協働で、進学コースを強化する。大きな改革に挑む伝統校の狙いを学校長と先生方、そして明修塾の代表者に話し合ってもらった。


参加者

(左から)野村雅之校長、松本賢治教頭、塩見尚史教諭、明修塾・山下典男会長、明修塾・竹本睦俊専務

倉敷市に移転し、明修塾との協働も
学校改革で目指す新しい学園像とは

——岡山県作陽高等学校の歴史をお聞かせください。

野村校長 本校は1930年に岡山県津山市で女子の専修学校として開校し、1963年に男女共学になりました。県内でも早くに特進コースを創設し、スポーツでは特にサッカー、柔道部、ゴルフ部が全国区の活躍をしており、文武両道を目指す学校です。

建学の精神である「大乗仏教に基づく豊かな人間性の涵養」に基づいて「和と礼」、「慈悲と智慧」の人を養成してきました。また、人を思いやる「利他の心」を育てる情操教育を継続して行っています。来年度の倉敷市への移転と校名変更は本校の新たなストロングポイントをつくりたいという思いで取り組んでいます。

——今回の改革でタッグを組まれる株式会社明友社についても教えてください。

山下会長 岡山県倉敷市を中心に岡山県で明修塾を運営しています。始まりは1973年に創業者の村上宏典が倉敷に開校した個人塾でした。来年で50周年という節目に作陽学園から校内塾のような形で生徒さんを指導するお話をいただきました。このご縁を励みに頑張りたいです。

竹本専務 明修塾にとっても学校の生徒さんを長期でお預かりするのは新しい取り組みです。進学実績に貢献して、倉敷市を教育都市として盛り上げたいと思います。

——今回の学校改革の目指すところを伺いたいです。

野村校長 1996年に系列のくらしき作陽大学・作陽短期大学が倉敷市に移転し距離が離れたために高大連携がしづらくなっていました。大学の近くに移転して連携を深め、校名も「作陽学園高等学校」に改めて作陽学園の高校であることをアピールしていきたいです。また、本校は運動部の活躍で知られていますが、これを機に明修塾との提携で文武両道の文をより強化したいと思っています。

——コース編成も新しくなりますか。

野村校長 Proud(プラウド)コース、Progress(プログレス)コース、Professional(プロフェッショナル)コースの3コースに再編します。Proud(プラウド)コースには現在の「スーパー特進」の上に「スーパー特進Leader(リーダー)」を新設して、より難関校を目指します。Progress(プログレス)コースは部活動とともに勉強や探究活動も頑張るコースです。Professional(プロフェッショナル)コースは、本校は運動部と音楽系の活動も強みですので、スポーツ&ミュージッククラスにする計画です。

——Proud(プラウド)コースで明修塾とのコラボレーションが始動するのですね。これは校内塾と捉えてよろしいのでしょうか。

松本教頭 放課後の補講で塾と学校が協力したハイブリッドな授業ととらえています。明修塾の講師に来ていただき、一人の生徒に対して多くの大人がかかわり、放課後の補講や学習相談を手厚くすることで学力を高めていきたいと計画しています。

竹本専務 最初は私たちも校内塾のイメージでした。けれども先生方とお話を重ねて、学校と塾が生徒さんについて情報共有し、個別最適化した指導とカリキュラムを提供したいと今は考えています。週5日のうち3日は授業をして、残り3日は生徒さんへのカリキュラム指導に充てるペースで、AI教材を使った演習と学習管理も行いながらトータルな学力伸長を考えています。

これまでも塾講師を呼んで補講をする学校はありましたが、数年くらいで教育の方向性が違うと袂を分かつケースが多いです。作陽学園の先生方はとても柔軟なので、さらに議論しながら、価値を感じてもらえる新しい仕組みをつくりたいですね。


新校舎鳥観図(敷地面積/約70,330㎡/校舎/約6,430㎡・3階建)

来たれ、新制・作陽学園高等学校へ
目標に向かって自分らしい3年間を

塩見教諭 私は本校の卒業生ですが、高校時代を振り返ると、勉強も部活動も課外活動も、頑張る生徒には先生方が柔軟に環境を与えて下さり、少しでも良い環境となるよう尽力してくださいました。生徒の向上心を醸成し、成長を全力でサポートしていく校風があります。その結果、強い選手が集まり、スポーツで知名度が高まったと思います。また、部活動の生徒は学習面で頑張る生徒から刺激を受けていました。今回、学習と進学を強化することで、そういう相乗効果が生まれればと思います。

——新たな作陽学園高校の受験を考えている生徒さんにメッセージをいただけますか。

野村校長 本校の卒業生には各業界の第一線で活躍されている著名な方々がいます。一芸に秀でて突き抜ける生徒が育つ風土があると思います。生徒が夢を実現できる学校です。ぜひ一緒に頑張りましょう。

松本教頭 目的意識を持った生徒を応援する学校です。本校でその目的を達成してほしいと思っております。

塩見教諭 高校生活で自分の強みを見つけたい生徒をサポートして、成長できる学校をつくっていきます。

山下会長 ある調査で「自分は駄目な人間だと思う」と答えた日本の高校生は調査対象全体の75%で、他の国よりも高かったそうです。自己肯定感が低いんですね。そういうムードを変えるには目標を持ち、それに向かって成功体験を積み上げていくことだと思います。そういう3年間を過ごしてもらいたいです。

また、近年の大学受験は覚えたことの中から正解を出すのではなく、正解のない問題に対して自分の答えを持っているかを問うものになっています。作陽学園が探究活動に力を入れていらっしゃることは強みになると思います。

竹本専務 3年間で生徒さんが目指すものを勝ち取れるように、先生方と私たちが応援しますので一緒に頑張りましょう。


(左から)野村雅之校長、塩見尚史教諭、明修塾・竹本睦俊専務、明修塾・山下典男会長

作陽学園高等学校(現・岡山県作陽高等学校) https://www.sakuyo-h.ed.jp/