毎年行われる交流会を通じ、不安を抱きながら学校生活を始める生徒たちが打ち解け合う

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前・中西美繪理事長の「一人ひとりの迷える子羊にたくさんの大人が係わり、成長へと導いていきたい」の思いから、2016年にスタートさせた賢明学院高等学校の通信制課程。大阪府でも唯一の全日制併設校として、少人数制など特徴的な取り組みを行って約６年。その指導法や成果などについて長瀬達也教頭に話を伺った。

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少人数制や登校、特別活動で
生きる力を養う

同校の特徴のひとつに、入学試験が挙げられる。特に面接を重視し、真面目で頑張る意志があるなどの人間性を判断して入学を認める。そして全日制と同じく校則を厳しくし、中学時代にいじめなどを経験した生徒が安心して登校できる環境を目指している。

「通信制課程に通う生徒には、不登校の経験者が多いです。そういった生徒たちが『安心安全』に思えるような学校づくりを心がけています」と長瀬達也教頭は話す。

特筆すべきは、大阪府で唯一、全日制と併設であることだ。そのため、体育館やグラウンド、図書館、食堂などの施設を使用できる。また、制服や学生証も全日制と同じものを使い、卒業証書にも「賢明学院普通科卒業」と記される。不登校だった生徒はこれらにより、自ずと自己肯定感が高められるそうだ。

この自己肯定感を高めるために同校は全力をあげているが、その一つに少人数制での取り組みがある。全校で約150人、１学年約50人で、１クラス約25人。この生徒数に８名の通信制専属の専任教員がつき、また全日制教員も教科指導として兼任で通信制の生徒に関わる。まさに「たくさんの大人で一人ひとりの生徒に係わる」ことを実現。少人数制を生かし、水曜日と金曜日には１クラス約５人の学習サポートを実施。中１レベルの学び直しから、高３の大学受験対策まで習熟度別の指導があり、さらに英検対策も行われ、生徒は各々の目標を達成していく。

月2回の木曜に行われる特別活動で二上山登山を実施。コミュニケーション力を鍛える

また通信制課程として個性的なのは、週１の土曜日に登校することで単位を取得できるというシステムだ。

「当校はオンライン授業やレポート提出だけで単位を与えることはしていません。必ず登校してもらって単位を与えています。そうやって生徒と教員との関係性を深めています」

ただ、登校がままならない生徒のために、夏休みや冬休み、年度末に補講を用意。手厚いサポートにより、単位の取得率は90％を誇る。また、月２回の木曜日には特別活動がある。陶芸や乗馬、手打ちうどんなど多彩な活動を通し、友達をつくってもらうのも狙いだ。これ以外にも、年２回の芸術鑑賞会を実施。宝塚歌劇や劇団四季、吉本新喜劇などを観賞し、ホンモノに触れ、「自分も何かやりたい」と頑張る気持ちを高めることが目的である。

「少人数制の学習サポートで学び直しや大学受験などの目標を達成し、週１の登校や特別活動などでコミュニケーション力をつけ、生きる力を養います。まさに、それが自己肯定感の向上につながります」

（左）大阪市立自然博物館の常設展やネイチャーホール大阪の自然誌、長居植物園などを見学
（右）春季芸術鑑賞会では宝塚歌劇を観賞。ホンモノに触れることで自らの意欲を高める

難関私立大学合格や
企業訪問に教頭が同行

「通信制課程を始めて、不登校だった生徒の表情がどんどん変わっていく手応えを感じています。自己肯定感を高めたら、次は自分の夢を持つようになります」

生徒の夢の実現のために、同校が手厚くサポートするのはいうまでもない。その端的な表れが、2022年度の進学実績である。卒業生の80％が進学し、水・金の学習サポートの成果として、立命館大学や関西大学といった難関私立大学への合格者を輩出。３年前には慶應義塾大学への現役合格者も出している。

就職面でも、企業訪問には必ず長瀬教頭が担当の教員とともに生徒に同行。生徒と企業との相性をしっかり見るようにしている。また、幼稚園から高等学校まで擁する強みを生かし、保育士志望の生徒には幼稚園での実習も行うことができる。

「生徒が夢を持ち始めたら、たくさんの教員が一緒に悩み、たずさわり、多様な方法でアプローチしていきます。今後も、そういう学校でありたいと願います」

ただ卒業さえできればいい。それだけでなく、生徒の自己肯定感を高め、夢の実現に伴走する。ここに同校の大いなる魅力を感じた取材となった。

英語検定の表彰式。学習サポートの成果で毎年5級から2級まで多くの合格者を輩出

賢明学院高等学校通信制課程　https://kenmei.jp/

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