マナビネットオープンスクール2024 ●掲載:塾ジャーナル2024年9月号/取材:塾ジャーナル編集部

広い視野とグローバルな感性を磨く語学研修
海外生活を体験したメンバーが語るその魅力

賢明女子学院中学校・高等学校

創立70年以上の歴史をもつ賢明女子学院中学校・高等学校は、「いつの日か燈台の光のような人になることを目指す」を教育目標とするカトリック系学校だ。ここ数年で図書館メディアセンターLIBRAはじめさまざまな改修工事や、探究活動“Create the Future”をスタートさせるなど多くの変化を遂げてきた。国際交流に力を入れ、充実した留学制度が用意されているのも同校の特徴である。今回は実際に海外へ出た3名の生徒さんと、国際交流担当の玉岡亜有子先生にお話を伺った。


新鮮な異文化体験
積極性を培う海外での日々

賢明女子学院の海外語学研修制度は、短期(2週間)・中期(3ヵ月)・長期(1年)がある。
今回はニュージーランドへ短期で参加した吉田芽衣さん(高1)と中期で参加した牧愛理さん(高2)、カナダに長期留学をした伊藤明日香さん(高3)にお話を聞いた。

最初は文化の違いに驚き、なかなかコミュニケーションをとれなかった3人も、ホストファミリーと暮らしたり現地の学校へ通ったりするうちに、少しずつ自分から意見を言うようになったという。今回の留学から得たものをお聞きした。

吉田 いろいろなことにチャレンジしたので、少し成長できたと思います。日本にはないような授業があり、とても新鮮でした。授業中にいきなり皆が教室で寝転びはじめた時があって、びっくりしたのを覚えています。

 以前より社交性が高くなったと思います。周囲の方々が皆協力的で、助けてくれるのがわかるので、安心してコミュニケーションできました。

伊藤 私は1人で行ったので、最初は心細くて泣いていたこともあったのですが、もしつらいことがあっても、自分から発信しないと誰も気づいてはくれません。現地の学校の先生方は、そうした私の積極性を見てくれていたのです。どれだけテストの点数が悪くても、 授業を一生懸命聞いていたり、質問に行ったりすると、その過程を評価してくれます。そういう面で、1年を通して社会性や積極性がすごくついたと思います。

その先の未来は無限大
留学を足掛かりに一歩を踏み出す

今回の体験が、自分の今後にどのような影響があると考えているか尋ねてみた。

吉田 留学に行ってからは、さらに英語に興味が湧いています。社会科も好きなので、英語系か社会科系のどちらかに進みたいと考え、大学を調べるきっかけになっています。

 小学生の頃から将来はエンジニアになりたいと考えています。目標としている会社に入るためには、エンジニアになるのが一番現実的だと思うからです。そして英語は、その目標のためのツールと捉えています。英語が日常としてある海外での生活は、英語力も積極性もともに身についたと感じています。

伊藤 私は社会問題にとても興味があり、将来は世界規模で諸問題に取り組める国際機関で働きたいと思っています。それには英語ができるのがまず最低条件。今は社会問題や環境問題が学べる大学を目指しています。特に今回、留学先のカナダでいかに自分が恵まれているかを実感しました。私が普通にできると思っていたことが、向こうではすごく特別なことだったり、簡単にはできないことだったりするのを知り、みんなが幸せに生きられるようにしたいと改めて感じました。発展途上国などで教育が受けられない方々のために、現地に行き、状況を知りながら解決策を考えていく、そういう仕事をしていきたいです。

海外でのさまざまな体験で明らかに視野が広がった3人。夢に向かって着実に歩み、海外語学研修がその大きな足掛かりとなっているのは間違いないようだ。
短期で参加した吉田芽衣さんは、留学がとても楽しく、また体験したいということで、中期留学への参加を家族で話し合っている最中だという。

アクティブに世界と触れ
自己を育むベストな環境

「これからは、何が起きるかわからない不透明な時代になっていくので、自分で考えて行動できる力をつけてほしいという思いがあります。語学はもちろん、いろいろな考え方に触れ、他者を知って自分を知る。キャリアに繋がるような考え方や、自分の生き方をしっかり持つ、そういった価値観を身につけてほしいです」と、海外語学研修を推進する国際交流担当の玉岡亜有子先生は話す。

参加者には必ず感想文を書いてもらい、振り返りを促す。今回登場した3人の体験にもあったように「大変な面もあったけれど、自分をよく知ることができた」「自分はとても恵まれていることがわかった」といった成長を思わせる内容がほとんどだ。

何より海外では、自分から動かないと何も起こらない。生活の中で不便に思っていることも、はっきり伝えないと解決しないため、自分からアクティブに発信することが基本となる。玉岡先生も生徒たちの相談には「自分から伝えること」をアドバイスとしたが、結果それが問題解決につながることを3人の生徒たちは体験した。

「積極的・社交的になるという点では、海外語学研修に参加した生徒ほぼ全員が達成できていると感じています。そういう交流が楽しかったという生徒もいるので、ぜひ殻を破ってチャレンジしてほしい。アクティブに世界を見て、いろいろ考え、将来や自分のために成長してほしいと願っています。自分がいる場所と比べ、世界はもっと広いということがわかります」(玉岡先生)

さらに、「人の目を気にしないで自分をアピールでき、いい意味で素の自分を出せるのが女子校の良さ」だという。英語だけに留まらず、他の授業でも発表する機会が多いため、自信や自己肯定感につながる多くの場が用意されているのだ。多感な時期に自己を育てる環境が整っている証といえよう。

世界遺産・姫路城と同じ住所で、姫路城中濠の内側にある賢明女子学院中学校・高等学校。
歴史と伝統が身をもって体感できる同校は、姫路城を訪れた外国の方々を招いて校内研修を開催し、英語で案内しながら海外留学生と姫路を回るなど常に国際交流が盛んだ。

他に類を見ない環境で、世界的な視野とともに自分を表現する力がここで養われていく。


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賢明女子学院中学校・高等学校 https://www.himejikenmei.ac.jp/