マナビネットオープンスクール2023 ●掲載:塾ジャーナル2023年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

生徒自ら主体的に考え取り組む「探究活動」
人間力と真の学力を育み一人ひとりの未来を拓く

雲雀丘学園中学校・高等学校

豊かな自然と文化の薫りが溶け合う閑静な住宅エリアに位置する雲雀丘学園中学校・高等学校。今春の国公立大学合格者は139名、関関同立にも362名が合格。昨年に続き過去最高の合格実績を更新中だ。同校では、多彩な探究活動を通じて、将来活躍したい分野から志望学部・学科を決めることを大切にしている。一人ひとりの未来を描くストーリーに寄り添うきめ細やかな指導には、教育理念である「孝道(親孝行)」と「やってみなはれ」精神が脈々と受け継がれている。同校の原動力でもある探究活動について取材した。


課外での取り組みを支援
3つのプログラムで本物の学びを体験

「本校では授業としての探究活動と、課外で実施する探究活動を中2、中3、高1で行っています。課外での取り組みを支援しているのがグローバル探究部で、3つのプログラムがあります」と入試広報部部長の今岡祐資先生。

「探究ゼミ」は、教職員がそれぞれの専門性を活かした、オリジナリティあふれる課外講座だ。興味をもった生徒たちが学年の垣根を越えて放課後に集まる。

「探究プロジェクト」では、大学の研究室や企業を訪問。「事前学習+講義(実習・見学)+事後学習(レポート・ポスターの作成)」をひとつのユニットとし、多様なプログラムを実施している。

「グローバルプログラム」は、国内外の異文化理解・異文化交流を中心に、SDGsなど国際的な課題をからめながら独自に実践しているプログラムだ。日本に来ている留学生を招いてグループを組み、世界が直面している課題についてのディスカッションも行っている。

「これらのプログラムから、生徒一人ひとりが探究活動につなげ、ポスターセッションまでもっていく。そのポスターセッションを集め、年に2回『グローバル探究EXPO』を実施しています」とグローバル探究部部長 森川大伍先生は話す。

探究活動について
生徒さんにインタビュー

■事例1 「チーズと微生物」

高1 篠田 さくら さん

──参加された探究プロジェクトの内容と感想を聞かせてください。

篠田さん 微生物の基礎的知識を学び、興味のある食材から微生物を取り出し分離培養して顕微鏡で観察、分析、結論までをポスターにまとめました。チーズによって、微生物が出るものと出ないものとがあり、出なかったのは「プロセスチーズ」、出たのは「ナチュラルチーズ」でした。さらにつくり方を調べたら、プロセスチーズはナチュラルチーズに乳化剤などを加えて加熱して溶かし再び成形したもの。加熱する時点で微生物が死滅するためプロセスチーズには微生物が現れなかったことがわかりました。

私は、将来やりたいことがはっきりとは決まっていないので、都市開発に関するものなどさまざまな「探究プロジェクト」や「探究ゼミ」に参加しています。フィールドワークや実験などで、実際に体験したことと調べたことがつながると、とても楽しいです。

■事例2 マイナビキャリア甲子園「未来の自分に“持続可能な未来”の贈りもの
*TtoSN(*Trash to Sustainable eNergy resources)」

(チーム名:右向きのベクトル)
高3 今井 七さん、北山 桜花さん、湯川 智仁さん、吉川 友萌さん

──提言した内容について教えてください。

吉川さん マイナビキャリア甲子園は、参加企業が提示しているミッションの中から好きなテーマを選び、新しい価値を社会に提言するコンテストです。

今井さん そこでのテーマが、僕が大学、社会で研究したい分野と重なっていたので挑戦しました。

北山さん ネットなどで企業の取り組みを調べ、みんなでディスカッションしながら効率的な循環サイクルを創りました。問題点は、すべて気体なので圧縮しないと運搬できないこと。運搬の手間なくその場で循環させる施設をつくることを提言しました。

──今回の経験から学んだことは。

湯川さん ひとつのテーマを掘り下げる経験はすごく勉強になりました。環境問題というのは、科学技術だけでなくさまざまな問題が絡んでいるので、いろいろな方向から考えないといけないのだなと改めて感じました。

北山さん 4人で案出しから始めて、最終的にまとめることができ、大きな達成感を感じています。みんなで話しているだけで、どんどんアイデアが浮かんでくる。社会人になったら、答えのない問いに毎日向きあっていかなければならないと思いますし、そういう経験を高校生のうちにできてよかったです。

吉川さん 同じ高校生で、こんなにも熱心に環境問題について考えている人たちがいるのだということを間近に見て、私ももっとやってみたいという気持ちになりました。

──将来の夢を聞かせてください。

湯川さん 高1からいろいろな大学のオープンキャンパスに参加しています。まだ将来の方向性は絞れませんが、公務員の親からいろいろな話を聞き、市民のために何かできたらいいなと。町づくりイベントに参加したとき大変面白かったので、町づくりには携わりたいです。

今井さん 僕は炭素循環と水素循環を駆使し、社会全体で完全なエネルギー循環を産み出すための技術研究をしたいと思っています。特に注目しているのは下水や生活ごみです。それらの処理の際に発生する二酸化炭素などの、現時点では資源としてあまり注目されていないものからエネルギーを産み出し供給できる、大きな循環をつくりたいです。

北山さん 新しい学問としてデータサイエンスが必要とされています。日本は少子高齢化、地球ではエネルギー問題など課題は山積。それらを解決するには新しい技術もそうですが、今私たちがもっている技術でなんとかするためには、過去のデータから考えていかなければならないと思います。データを駆使して貢献できる大人になりたいです。

吉川さん 幸せに生きることを大事にしたい。自分や大切な家族、友だちや仲間を守り、サポートするために食物栄養を極めて、たとえば共働き世帯の食生活を支えるような、いろいろなサービスを提案してみたいです。


過去の記事もご覧になれます
https://manavinet.com/west/2022_7hibari/
雲雀丘学園中学校・高等学校 https://www.hibari.jp/