マナビネットオープンスクール2023 ●掲載:塾ジャーナル2023年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

独自のグローバル教育とSTEAM教育を軸に
中高大一貫体制で「京都発世界人財」輩出へ

京都先端技術大学附属中学校高等学校

「世界のどの舞台に立っても堂々と自分の意志で行動できる人を育てる」。1925(大正14)年に京都商業学校として創立した建学の精神は、まもなく100周年を迎えようとしている令和の現在も、色あせることなく息づいている。時代のニーズに合わせて進化を遂げてきた学校は、2021年度から京都先端科学大学(KUAS)附属中学校高等学校となり、中高大一貫教育を始動。実業家でもある永守重信理事長がめざす「京都発世界人財」を輩出するための数々の取り組みについて、最新動向を中学校教頭の山田尊文先生に聞いた


10代の世界経験は人生を変える!
海外連携校との交流が再開

「京都発世界人財」の輩出を目標に掲げ、グローバル教育に注力する同校。コロナ禍で高校・国際コースの長期留学以外の渡航はすべてストップしていたが、ようやく自慢のプログラムが本来の姿を取り戻している。

ひとつは、中3生全員、つまり“海外経験100%”のカナダ研修旅行だ。提携するカナダ・ノバスコシア州教育委員会の全面協力のもと、交流校の生徒やホストファミリーとともに約10日間を過ごす。中学2年間での学びを実践しながら、ホンモノの海外を四六時中全身で味わうことは、刺激に満ちた経験であるに違いない。6月上旬、かけがえのない経験と思い出を胸に、ひとまわり成長した子どもたちが元気に帰国した。

この3年間、オンライン交流だったスウェーデン連携校とのリアルな交流も、2019年の初回以来、4年ぶりに再開した。4月にストックホルムの名門「ビィクトル・リュードベリ記念学校」の生徒10名、教員3名が来校し、1週間滞在。秋には逆に、京都先端科学大学附属中学校から希望者がスウェーデンを訪問する予定だ。
「10代での世界経験は宝物。人生を変えるといっても過言ではありません」と山田教頭。

実際、今年の卒業生の1人は「カナダ研修がきっかけで海外の大学をめざそうと思った」と言い、最新の世界大学ランキングで24位のニューヨーク大学アブダビ校(ちなみに東京大学は39位)に合格し、さらに奨学金も獲得。高知大学医学部に合格した生徒も「海外研修で英語が通じなかった悔しさがバネになった」と明かす。2人は、「京都発世界人財」の発掘・育成をテーマに設けた「GN(グローバル・ナビゲーター)コース」の1期生。それぞれが選んだ道で、将来、世界を舞台に活躍することが期待される。

中学全学年「W担任制」は2年目
ネイティブ教員による
イマージョン授業もスタート

中学では、日本人教員と英語ネイティブ教員が一つのクラスを担任する「3年間W担任制」が2年目に入った。これまで高校の国際コースで培ったノウハウを、本格的に英語の授業が始まる中1のみに導入していたが、永守学園となった2022年度から中学3年間に拡充している。

週6時間の英語の授業のうち、2時間はネイティブ教員が担当。加えて、毎朝20分間、クイズなど楽しく取り組める要素も取り入れた英語アクティビティ「ボキャブラリー・ビルディング」は、少しずつ楽しみながら語彙力がつくと好評だ。

「20分と短い時間ですが、毎日継続することで“英語に触れることが当たり前”になります」

さらに今年度からは、体育、音楽、美術の3教科を英語で学ぶ「イマージョン授業」がスタートした。

「英語のハードルをさらに下げながら、実践的な英語を身につけてほしいと考えています。これからの社会で活躍するには、コミュニケーションツールとしての英語力が不可欠です。単にテストの点数アップが目的ではなく、英語を使って社会にどう貢献するのかを主眼に置いています」

こういった多彩なグローバル教育が評価され、文部科学省がイノベーティブなグローバル人材を育成するために構築した「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム」の全国30校のひとつに同校が採択され、カリキュラム開発拠点校となっている。

独自のSTEAM教育と
進化する中高大連携

2000年の中学開校時から「探究学習」に取り組んできた同校は、ホンモノに触れ、学ぶことの意味、学ぶよろこびを知る機会を数多く設けてきた。2010年に、これを「地球学」として体系化。2020年からは従来の枠組みにとらわれない独自のSTEAM教育へと発展させている。

一般的にSTEAMは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術・リベラルアーツ(Arts)、数学(Mathematics)の5領域をいうが、同校はさらに、スポーツ(Sports)、チームビルディング(Team Building)、起業(Entrepreneur)、農業(Agriculture)、医療(Medical)を加え、より生徒の可能性を広げるSTEAM教育を実践している。

なかでも日本画家でもある美術教員を中心として展開するアート教育は、同校の特長がもっとも表れている分野だ。“未知の才能を探せ”を合言葉に、絵画、音楽、ダンス、写真、書道など、ジャンルを問わず、生徒が作品を投稿する「アート・コンペティション」は、コロナ禍のなか、芸術科教員のアイデアで始まった。昨年は中高で約800点もの投稿があったという。審査には、京都芸術大学の先生方も加わる。

「アートを切り口に、自分の個性・強みを表現・発信してもらいたい。この取り組みがきっかけになり映像関係に興味をもち、総合型選抜入試で進学した生徒もいます」

また、工学、食や農、医療の分野は、京都先端科学大学に関連学部があり、中高大の連携が徐々に始まっている。

「人生100年時代。大事なのは社会に出てからで、そのための中高大の学びであるべきです。一昨年、京都先端科学大学附属となりましたが、内部進学制度で生徒の可能性が広がっただけでなく、STEAMを軸に、大学の学びを中高にも取り入れていきたいと考えています。基礎学力を身につけるとともに、生徒が将来、世界で活躍するための礎となる経験、すなわち成長する場を提供し、サポートすることがわれわれの最大のミッション。豊かな経験は、必ず人生にプラスとなるはずです」


過去の記事もご覧になれます
https://manavinet.com/west/2022_9kuas2/
京都先端技術大学附属中学校高等学校 https://www.js.kuas.ac.jp/