マナビネットオープンスクール2023 ●掲載:塾ジャーナル2023年9月号/取材:塾ジャーナル編集部

4年後に創立100周年
教員のスキルアップ、施設のさらなる充実に挑む

学校法人京都西山学園 京都西山高等学校

2027年11月に創立100周年を迎える京都西山高等学校。社会の変化に応じ、長く続いた女子校の歴史にピリオドを打ち、昨年度から共学化に移行。1期生で73名、2期生で70名の男子生徒を受け入れ、全校生徒の約22%が男子となった。さらに5コースから2コースへの変更、クラブの新設、放課後学習支援プログラムのスタートも同時に実施し、大変革の時を迎えている。「夢を見つけ、挑戦できる学校」をめざす森川弘仁校長に、それぞれの取り組みの動向などをお聞きした。


コース変更を機に
教員のスキル共有も活性化

昨年度、共学化とともに5コース制から「特進コース」と「総合進学コース」の2コース制に変更。森川校長は、「共学化については、いざやってみると不安は杞憂に終わり、男子生徒が委縮することもなく、女子校時代から続く落ち着いた雰囲気も継続できています。それよりも、この1年で大きく変化したと実感しているのは、教員のスキル共有が活発化したことです。職員室自体が明るくなりましたね」と語る。

コースを凝縮した結果、教員一人ひとりの守備範囲が広くなった。例えば、旧グロリア探究コースで実績を積み上げてはいたが携わっていたのは一部の教員のみ。新コースでは大学進学希望者の増加により、全教員がノウハウを積極的に吸収している。ベテラン教員には長年の経験があり、若手教員には新しい入試制度や学びの実体験がある。こういった年代を超えたスキルの共有も、自然発生的に図られているという。

創立100周年に向け、同校では一昨年にプロジェクトチームが発足した。「まもなくビジョンを発表しますが、ここでも教員が一体となってスキルアップを図ることが鍵となっています」

京都初の放課後学習支援で
「自学自習」習慣を定着化

昨年度スタートした「放課後学習支援プログラム」は、メンター教育を受けた現役大学生が委託企業から派遣され、放課後の午後4時から7時まで常駐して生徒の学習を支援するもの。校内塾のように個別指導をするのではなく、自学自習の習慣の定着が狙いだ。新学習指導要領に沿った「主体的で対話的な深い学び」を実践しており、“京都初”の試みだ。

月・水・金の実施から、今年度は月・火・水の週前半にかため、土日に試合が多いクラブ活動に参加する生徒も活用しやすくした。また、利用者が各日30~50名程度に定着してきたことから、会場はより広い多目的ホールに変更した。

現在メンターは12名(京都大学、同志社大学、立命館大学など)。あえて、さまざまな学部の学生に来てもらい、各曜日に4名ずつ振り分けている。「生徒はメンターの自己紹介を見て、自分の進路に合った人が来る日を選び、勉強の手順などアドバイスを受けることができます。多彩な進路のニーズに応える本校のコンセプトにも合致しています」

定期試験前にはメンターを1人追加するなど柔軟に対応。年度ごとや学期ごとの振り返りから、当日の反省会まで、常に委託企業と教務担当者がコンタクトし、ノートのとり方講習や小論文の書き方講習など、生徒のニーズを汲んだイベントを随時実施している。

どのコースの生徒も出入りは自由。「その日の授業でわからなかったことを聞きにくる生徒も多いですよ。生徒同士の対話から学び合うことも。そうやって自分の勉強したいタイミングで解決して、生涯にわたる学習習慣を身につけてほしいですね」と森川校長。

調理室、ピアノレッスン室など
生徒の満足度が高い施設群

学校に入ってまず驚いたのが、2019年に竣工した「皐(さつき)館」。ガラス張りの調理室は、街のクッキングスクール顔負けのオープンキッチンで、中庭の緑を臨む併設のダイニングルームはまるでカフェのよう。テレビドラマのロケにも使用されたという。白とオレンジ色を基調とし、皐館から各校舎を結ぶ3層吹き抜けの「キラキラコンコース」は同校随一の“映えスポット”だ。吹奏楽部や和太鼓同好会がゲリラライブを開催することもあるという。

また、グランドピアノ2台にデジタルピアノ64台を有するピアノレッスン室は壮観で、個別にピアノレッスンを受けられる部屋も5室ある。

「本校は過去から幼児教育系の教育には注力しており、調理室やピアノレッスン室は先生方のアイデアを反映しています。生徒のアンケートでも、施設に対する満足度が高いことが示されています」。施設については、創立100周年に向けてさらに充実させていく方針だ。

共学化2年で
4年制大学志望者が倍増

共学化1期生は、先輩男子生徒がいないということで強化クラブを中心に募集。73名の男子生徒が入学し、うち37名がスポーツ推薦だった。

新設した男子サッカー部、男子バスケットボール部にはいずれも20名程度が入部。「サッカーもバスケも京都は激戦区。1年生だけのチームにもかかわらず、どちらも無事に1勝できました。これからに期待ですね」と森川校長は笑顔。また、少林寺拳法部に入部した1期生は全国選抜大会で入賞を果たした。

2期生ではあえてスポーツ推薦を絞った。入学した男子生徒70名のうち、一般入試が53名だったこともあり、クッキング部やeスポーツ部など、さまざまなクラブで男子生徒が見られるようになった。男子バレーボール部はまだないため、女子バレーボール部にマネージャーとして入部し、クラブ活動に励んでいる男子生徒もいるという。

授業の場でも全クラスに男子生徒を配置し、自然な融合を図っている。

「共学になったからといって、学校の方針は変わりませんが、積極的に学校づくりに加わる生徒が増えてきたのはプラスの作用だと思います。刺激を受けたのか、4年制大学志望者が倍増しました。そういったニーズの変化も、100周年ビジョンに盛り込んでいきたいと考えています」


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京都西山高等学校 https://kyotonishiyama.ed.jp/