マナビネットオープンスクール2023 ●掲載:塾ジャーナル2023年9月号/取材:塾ジャーナル編集部

難関私立大合格者が2年前から倍増
5年後の100周年に向け、新校舎建設へ

大阪産業大学附属高等学校

いざとなれば、おのれを捨てでも人類社会に貢献するような「偉大なる平凡人たれ」が建学の精神。100年近くの歴史を刻むなかで、時代のニーズに合わせて機能や役割は変われども、挨拶の励行とともに、同校の良き風土として根付いている。抜群のアクセスの良さや、連携する大学への内部進学もさることながら、近年は難関私立大への合格者数でも実績を挙げ、人気が高まっている同校。平岡伸一郎校長、国際コース主事の合田早加江先生、入試統括主事の髙岡忠史先生に今年度のトピックスを聞いた。


専願者が急増
丁寧な学校説明会が功を奏す

2023年度の入試状況はいかがでしたか?

平岡校長 ありがたいことに、3年ぶりに志願者数、入学者数とも増加に転じました。本校は比較的併願率の高い学校ですが、専願者が約70名増えたことが今年の特徴です。とくに、学業とクラブ活動を両立し、系列の大阪産業大学を中心とした大学進学をめざす「Uコース」の人気が高く、専願だけで定員オーバーとなりました。

それはすごいですね。V字回復の要因はどこにあると分析されていますか?

平岡校長 やはり、対面で学校説明会を開催できるようになったことが大きいですね。私立でありながら、大阪市内のほとんどの場所から自転車で通える地の利や、「就職に強い!」と定評のある大阪産業大学の附属校であるという安心感がもともとの強みですが、加えて、国公立大学・難関私立大学への進学実績が年々右肩上がりであること、グローバルコースの多彩なメニューなどなど、説明会でじっくりご理解いただけたことが功を奏したと思います。

髙岡先生 昨年は8月1日~6日の1週間、1日2回実施し、遠方からも含めて500組近くにご参加いただきました。コロナ禍で断念していたクラブ活動の見学・体験もようやく実施でき、それがお目当ての方も多かったようです。運動部だけでなく、文化部の体験会も盛況でしたよ。

この時期に開催される理由は?期間も長いですね。

髙岡先生 中3生にとって夏期休暇期間は、受験勉強に向かいつつ進路選択を進めていく、あるいは情報を入手してスタートを切る大切な時期だと思います。1週間にしたのは、なるべく多くの方に気軽に足を運んでいただくためです。本校への理解を深めていただき、受験生・保護者の方々にとって有益な情報提供の場となれば幸いです。今年も7月31日~8月5日で開催。ご要望にお応えして、施設見学の時間を追加しました。

高大連携の充実に加え
“入ってから伸ばす教育”に自信

大阪産業大学との高大連携の魅力は?

平岡校長 系列の大阪産業大学は、就職に強いという点では関関同立に決して見劣りしません。国際学部、スポーツ健康学部、経営学部、経済学部、デザイン工学部、工学部の6学部13学科で構成する、府内でも数少ない文系・理系両方の学部をもつ大学で、幅広い進路に対応しており、本校からは特別推薦入学試験制度で260名の枠を確保しています。

入試以外ではどのような連携をされていますか?

平岡校長 大阪産業大学の国際学部の生徒と本校の2年生(希望者)が合同で、来年3月、ニュージーランドに16日間渡航する予定にしています。これもコロナ禍で見送っていたイベントで、4年ぶりの開催です。大学生側はリーダーシップを養うプログラム、高校生側は約20時間、大学で一緒に講義を受けたあと、海外でその総仕上げを行うというプログラムです。参加した本校の生徒が大阪産業大学の国際学部に進学した暁には、履修した分の単位が認定される取り決めもしています。

グローバル(G)コースでは関西外国語大学とも連携していますね。

合田先生 はい。これはGコースだけの高大連携プログラムなのですが、この特別入試制度を目的に本校を志望される受験生もいらっしゃいます。

プログラムの具体的な内容を教えてください。

合田先生 学内考査による選抜制で、2年3学期から専用プログラムがスタートします。関西外国語大学の授業をオンラインまたは対面で受け、課題とテストを所定の成績でクリアできれば進学できるというものです。2023年度はGコースから指定校推薦、公募推薦も含めて、関西外国語大学に19名が合格しました。

特別入試制度を利用しない生徒にも連携の恩恵はありますか?

合田先生 本校だけの見学会の時間を設けていただいています。食堂で学生さんたちに交じって、キャンパスライフの空気を味わうことで、あらためて受験へのやる気が湧いてくるようです。

連携大学とのパイプを強めながら、難関私立大の合格者も軒並み増えています。

平岡校長 2年前と比較すると関関同立の合格者が計22名から51名、産近甲龍が計69名から137名と、いずれもほぼ倍増しています。これは単に、特進コースの授業時間数が多いからということだけでなく、先生方の指導力と生徒の努力の賜物だと思っています。大阪産業大学の受験に有利ということで入学された生徒さんが、3年間本校で学ぶなかで学力が上がり、他の大学をめざすというケースも少なくありません。

丁寧な指導が学力の底上げにつながっているのですね。

平岡校長 そうですね。これは今年の卒業生の例ですが、ある有名私立大付属の中高一貫校で勉強についていけなくなり、基礎から学び直そうと本校にあえて入学してきた生徒がいました。特進コースで3年間過ごし、志望していた国立大学にみごと合格。「ここまでサポートしてくださるのと、感動する先生ばかりでした」と喜んでいました。本校では基礎力の確実な定着をまず図って、「わからない」で終わらせず、その上で応用力を積み上げることを実践しています。どのような生徒に対しても、“入ってから伸ばす教育”には自信があります。

Gコースは海外修学旅行が再開
寮宿泊で将来の本格留学の練習に

いよいよ海外の修学旅行が再開するそうですね。

合田先生 ひと足先にGコースだけ再開することになりました。コロナ禍前は、普通科はオーストラリア、Gコースはアメリカのポートランドに行っていたのですが、沖縄への国内旅行に変更を余儀なくされていました。ただ、物価高を鑑み、今回の行き先はオーストラリアです。12月中旬に実施するので、南半球の現地は夏真っ盛りです。海のきれいなケアンズ方面なので、生徒たちはアメリカと同じくらい楽しみにしてくれています。

従来の修学旅行との違いはありますか?

合田先生 普通科のオーストラリア旅行は観光ツアーでしたが、グローバルな活躍をめざす生徒が集まるGコースは、いずれ留学することを検討している者も多いことから、練習になるように宿泊はホームステイや、現地の生徒たちと交流が図れる学校の寮にこだわりました。

留学生交流プログラムも修学旅行実施に向けた内容になっているとか。

合田先生 はい。2年生は毎年、年3回の留学生交流プログラムがあるのですが、今年はこの3回を修学旅行に向けた準備に充てています。5月の第1回では、主にホームステイ先での自己紹介を練習しました。生徒たちも実際にホームステイ先で話すことになる内容だと理解し、一生懸命取り組んでいましたよ。

そして長期の留学も復活しました。

合田先生 3カ月の留学は2020年のみ中止で、ずっと継続していましたが、1年間の留学は実に4年ぶりです。ひとつ大きく変化したことがあります。コロナ禍の間に学習環境はリモートが当たり前となり、語学実習室のWi-Fi環境を利用して、現地の先生とオンラインで面接をする機会をもつようになりました。従来は現地のエージェントが来校して面接をしていましたが、現在は説明会を複数回行っており、事前に互いの顔がわかり英語力もわかるので、実際に会ってからもスムーズだと思います。来年6月、ひと回り成長して帰国する生徒に会うのが今からとても楽しみです。

5年後の創立100周年に向け
キャンパス整備計画が進行中

2028年の創立100周年まで5年を切りました。

平岡校長 90周年を過ぎた頃から、もう私の中ではカウントダウンが始まっていて(笑)、とくに今年はキリのいい5年前にあたりますので、ことあるごとに「100周年」を口に出してきました。歴史を積み重ね、総合学園へと発展してきた学校法人としての創立100周年でもありますが、その発祥の場である本校自身の創立100周年でもあります。そこをぜひ前面に出していきたいですね。

ご計画されていることはありますか?

平岡校長 現校舎が建設から60年ほど経過し、老朽化が否めません。OBの方々の悲願でもある校舎、体育館の新設を含め、100周年に向けてキャンパス整備計画が動き出しています。

あらためて、学校として「変わらないもの」「変えていくもの」をどうお考えですか?

平岡校長 昭和3年に「大阪鉄道学校」として開学した当時、社会は即戦力を求めており、卒業生のほぼ100%が機関士や運転士、業務係、鉄道マンとして巣立っていきました。時代は変わり、もう本校に「鉄道」の面影はなく、卒業生の9割が大学へ進学するようになりました。

社会に有為な人材の育成をめざすという最終目標は今も同じですが、生徒の多くは高校を卒業後、すぐに社会に出るわけではなく、「大学」というステップを踏みます。また、テストで高得点を取ればいいという時代でもなくなり、自身の希望する将来に近づくには、高校の3年間でどんな力をつけてきたのか、どんな経験をしてきたのかということが問われるようになりました。

学校ではそういった機会をできるだけ多く提供していきます。いい友だちをつくり、先生と一緒に泣いたり、笑ったりといった、かけがえのない時間を大切にしてほしいですね。

コロナ禍での規制が今年になってようやく外され、対面での学校説明会や海外への修学旅行など、いろいろなイベントが再始動し、活気づいている同校。5年後の100周年には校舎も新しくなるとあって、志願者の増加にますます拍車がかかりそうだ。


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