マナビネットオープンスクール2023 ●掲載:塾ジャーナル2023年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

中学高校入試出願数・大学合格数ともに実績アップ!
理想の学校をめざす「未来プロジェクト」進行中

京都橘中学校・高等学校

JR、近鉄、京阪の各最寄り駅から徒歩圏内。明治天皇が眠る伏見桃山陵を臨み、豊かな自然に恵まれた京都橘中学校・高等学校。明治時代中期、女性の社会的自立を目的に「京都女子手芸学校」として開学以来、多くの人材を世に送り出してきた伝統校だ。これからも未来を見据えて進化し続ける意志を込め「変化を楽しむ人であれ」という新たなタグラインを策定した。昨年120周年を迎え、2020年より教師が一丸となって取り組んできた「未来プロジェクト」も結果を出しつつある同校の今を、安田文彦校長にお聞きした。


高校は3コースから2類型へ
進路実現に向けて柔軟な選択が可能に

独自の大学進学プログラムや探究教育、ICT教育の充実など、2025年のゴールに向けて、着々と進行している「未来プロジェクト」。新たな取り組みが次々と行われている。

中学校は60人から90人へと枠を拡大、過去最高の515名の志願者を迎えての入試となった。学力にもこだわった結果、入学者は定員を少し割ったが、意欲的な生徒が集まった。

高校は従来の3コースを「選抜類型」「総合類型」の2類型へと変更。1年生はどちらかの類型に入り、2年生・3年生は進路別クラス編成になるため、枠に縛られず自分の進路を考えて選択できるようにすることが目的だ。

進路別クラスは、難関国公立大学をめざす「国公立α(アルファ)」、国公立大学および難関私立大学をめざす「国公立大学・難関私立大学」、指定校推薦や京都橘大学内部進学をめざす「私立大学」の3つのクラス。「看護医療」も含まれる。

また、昨年から平日は全クラス45分・7限授業を導入。それによって放課後と土曜日の活動の自由度を高め、生徒自身が“なりたい自分”の実現に向け、クラブ活動、「ASTM」、探究活動などから必要な学びを自発的に選び取れるよう配慮した。

導入から5年目となる「ASTM」とは、独自の大学進学プログラム。外部講師と同校教員で展開する「TSゼミ(放課後進学講座)」「土曜ゼミ(土曜学習講座)」と、難関大学に通う同校卒業生らがチューターとして在校生の学習アドバイスをする「スタディルーム(自習教室)」で構成される。志望校受験に向けて、きめ細かく、手厚くサポートするのが信条だ。

そんな中、今年度の合格実績は東京大学1名、大阪大学4名、神戸大学2名、九州大学1名など、難関国立大学・医学部医学科に10名が合格。中高一貫生が全体を牽引する形で、好結果を残した。また、関関同立179名、早慶9名、MARCH12名、そして私大合格者数1,248名と過去最高を記録した。

「生徒たちが将来どう生きていきたいかを考えられる教育をめざしています。進路実現は生徒一人ひとりの目標達成の手段でしかない。勉強だけでなく、探究活動やクラブ活動もしっかり取り組めば進路に生かせます。昨今は、早期進路決定の傾向があるのですが、やはり妥協はしてほしくないので、励まし寄り添いながら教師・生徒ともに歩んできた中で、結果が出始めているのだと思います」(安田文彦校長)。

探究学習で学外の起業家らと連携
「クエスト」全国大会出場

中学では昨年、探究学習「クエスト」の全国大会に2チームが出場した。これは企業から提示される課題をもとに、現実の社会と関連させながら、企業で働くことの意味や社会での課題についてグループで研究する学び。市場調査、企画会議を経て、企画案を作成し、校内で発表する。

その一環として、京都市で活躍する若手起業家グループ「U35」の代表者が学校を訪れ、生徒たちと話し合いながらアイディアを練っていった。実社会で活躍する起業家との交流を通じ、その熱量に触れることで良い刺激になったと語る校長。全国大会に出場した2チームは、全国の中学・高校チームと切磋琢磨する機会となった。

また、高校1年の3月に行われる研修旅行も探究型となった。旅行先は沖縄またはカンボジアを選択、現地の起業家たちと交流する。さまざまなアイディアを出し合いながら、地域活性や商品販売などの取り組みを行う。

海外交流も再開されており、ニュージーランドに9週間滞在するターム留学が新たにスタートした。今年度からは中高一貫校ならではの取り組みとして、中学生もターム留学に参加できるようになる。

吹奏楽部、台湾で圧巻のパフォーマンス
世界・全国で活躍するクラブ活動

昨年10月、吹奏楽部が台湾での「双十国慶節」に海外の団体として初めて招待された。「オレンジの悪魔」と称される圧倒的なパフォーマンスで台湾中を魅了し、国内外の多くの人々に賞賛された。また2025年にはアメリカのローズパレードにもエントリー。吹奏楽部をめざして受験する生徒も多く、さらなる世界的活躍が期待される。

吹奏楽部以外にも全国区で活躍する部活動は多く、陸上競技部は昨年度、全国高校主要大会で3冠を達成し、2023年6月U20アジア選手権に400mハードルの日本代表として出場し優勝した。インターハイ常連の女子バレーボール部や男子サッカー部も有名だ。昨年はAIカメラなど最新鋭の設備を導入した新スタジアムが完成し、生徒たちのモチベーションアップにつながっている。クラブ活動と勉強は相互に影響しあって人間的成長を促すとして、「文武不岐」を唱えている。

「学校を楽しくするには、やはり教員がどれだけ京都橘の教育活動を楽しんでいるかということが大切なのではないでしょうか。昨年からは、教員研修推進チームをつくって、教員の学びの会を実施しています。教育活動を楽しみ、そして『チーム橘』として一丸となって生徒たちの未来に取り組むことが重要だと思っています」(安田校長)。

教員たち各々が話し合い、理想の学校をめざした活動が、今後どんどん花開いていく。さらに進化し続ける京都橘中学校・高等学校の活躍から目が離せない。


過去の記事もご覧になれます
https://manavinet.com/west/2022_7tachibana/
京都橘中学校・高等学校 https://www.tachibana-hs.jp/