3年ぶりのアメリカ・ボストン研修再開
期待を寄せる生徒たちの思いと未来への夢
帝塚山中学校高等学校
近鉄学園前駅から徒歩1分。小高い丘陵地に幼稚園から大学までの学舎が広がる名門・帝塚山中学校高等学校は、一人ひとりをダイヤモンドの原石と見立て、教師も生徒も互いに切磋琢磨し、グローバルに生きる力を磨き育てていくことを目指す。東大・京大を始め国公立大学への現役合格者を多数輩出し、広くその実力が知られている。そんな同校が3年振りに海外研修「グローバルアカデミックプログラム」を再開。研修への期待を中心に、今年4月に就任した小林健校長先生と、参加予定の4名の生徒たちの対談をお送りする。
自分の可能性を広げたい!
大きなチャレンジに踏み出した4人
「グローバルアカデミックプログラム」は、アメリカのボストン近郊の大学寮に滞在し、マサチューセッツ工科大やハーバード大などの学生と大学のキャンパスで、グローバルリーダー養成のためのディスカッションを行うハイレベルな9日間。 参加を決めた高校2年生の鉄野さん、赤澤さん、廣島さん、伍々さんの思いは?
小林健校長(以下、小林校長) 海外研修は学校の座学とは違って、一気にハードルが上がりますよね。皆さんは今回どんな思いで、何を期待して参加を決めたのでしょう?
鉄野真幸さん(以下、鉄野) 日本語が通じない海外で、どうしたらコミュニケーションが取れるのかを経験しておきたかったという思いがあります。つい失敗を恐れてしまう自分がいるのですが、失敗しないと乗り越えられないという思いもあって。英語がめちゃくちゃでもなんでも、とにかく自分から話しかけて頑張って伝える。そういうチャレンジをする機会だと思っています。
赤澤太一さん(以下、赤澤) 海外に興味があって、実際に行くことで刺激を得て、将来の自分のやりたいことを考えるきっかけになればということで応募しました。英語でのコミュニケーションはもちろん、自分の意見をどんどん出していったり、自分から発信していったりする、そういう体験ができればと思っています。
廣島あかりさん(以下、廣島) 私は昨年夏に「エンパワーメントプログラム」という、国内でできる海外の大学への留学体験に参加し、その時にこの研修のことを聞いて、行ってみたいと思いました。私は「スプラトゥーン」というゲームが好きで、海外の方々ともゲームでつながれたらいいなと思っています。漫画や映画にも興味があるのですが、「ナイトミュージアム」という映画も好きで、実際に海外の博物館に行けるのは楽しみです。
伍々和奏さん(以下、伍々) もともと留学に興味がありました。中3の時にその機会があったのですが、コロナで中止になってしまい、「次の機会には絶対行こう」と思っていたのが一つと、自分には中途半端な部分があると思っているのですが、今回の海外研修を後悔のない体験にすることで克服したいという思いもあります。
今回は高校1年時に開催される「エンパワーメントプログラム」から研修に参加する生徒が多いという。このプログラムはハーバード大学などの外国人留学生とともに課題に取り組む探究型学習で、自分の内面を深めていく内容になっている。この度のボストン研修はさらにそれを進化させ、自分の外側にも目を向け深めていくというもの。日常とは全く異なった環境で自分の力を試してみたいという頼もしい発言に、校長の頬が緩んだ。
コロナ禍だったからこそ育まれた
生徒たちの興味と心の成長
小林校長 ようやく再開できたボストン研修ですが、やはりこの3年間は、学校側もできなかったことがいろいろあり、申し訳ない思いがあります。思い描いていた学生生活が送れず不自由だったと思いますが、それなりにできたことはありますか。
鉄野 僕は今まで学校生活が忙しくてなかなか自分の時間が取れませんでした。でもコロナ禍で通学がなくなって、普段とは違うことができたり、新しいゲームやSNSにはまったり、インターネットが活用できるようになったりと、そういう面ではプラスでした。
赤澤 コロナ禍前の学園祭を体験しているので、今の学園祭は文化祭みたいでちょっと残念です。以前のような学園祭が復活できたらいいと感じています。
廣島 中学の時、野外活動部に入っていたのですが、楽しみにしていた長野の山に登ることがかないませんでした。山から降りてきた時に先生がアイスをおごってくれるというので楽しみにしていたのに……(笑)。それ以外は素晴らしい学生生活でした!
伍々 結局どんな時代を生きていても、コロナ禍みたいなことはきっとあると思うので、全部をそのせいにしていたらすごくもったいないと思います。休み過ぎても、自分の中で逆に良かったと思えることもあるし、苦労したとか、困ったことがあったとかいうのは、あまり思い当たらないです。
小林校長 パンデミックの中でも、それぞれが前向きに過ごしていたようで、ちょっとほっとしました。コロナ禍でできなかった体験はたくさんあると思うので、今回のボストン研修はぜひ思いっきり体験して、外には見えなくても、1ランクも2ランクも上がるような学校生活を送れるようになってほしいと願っています。
未来への第一歩を踏み出す生徒たち
それを見守る校長先生の願い
コロナ禍においても、たくましく自ら成長している様子がうかがえた4人。これからの夢を聞いてみた。
伍々 中学2年生のとき、本当に精神的に辛かった時期があったのですが、徹底して自己分析をし、自分を掘り下げて、掘り下げて、結果起き上がってこられました。1回きりの人生だからできることは何でもやりたい。仕事に関しても、国連への出向や翻訳、人の権利を守る仕事とか、海外で法律をつくる仕事もやってみたいです。
廣島 小学校とか幼稚園の先生、あとマスコミにも興味があります。「紅白歌合戦」の裏方として駆け回るスタッフとかもやってみたいです。
赤澤 仮想空間というか、メタバースに興味があります。ちょうどK‒POPでメタバース空間をモチーフにしたグループがあって、それがすごくカッコいいのです。その場にいるだけで全世界とつながることができます。利便性もそうですが、これからの社会で先端の技術、そういう特殊なことをできるようになりたいです。
鉄野 僕は宇宙が好きです。辛いときにも宇宙のことを思うと、ちっぽけな悩みだと感じさせてくれます。壮大で、魅力があります。宇宙と僕たちがどうつながっているかを研究してみたいです。
「『変える力』を常にもってほしい」と語った小林校長。そこには生徒たちに対する広く暖かく力強い思いが溢れている。自分を変え、世界を変えていく大きな志をもった生徒たちを育てたいと願う新校長のもと、さらなる変化が期待できそうな帝塚山中学校高等学校だ。
過去の記事もご覧になれます
https://manavinet.com/west/2022_7tezukayama/
帝塚山中学校高等学校 https://www.tezukayama-h.ed.jp/