文部科学省特別教育課程編成指定校として
関西初の全日制普通科「フリーアカデミーコース」
(学びの多様化学校)始動!
精華高等学校
1926年、精華高等学校の前身である精華実践女学校が設立された。以来、教育目標に「自立」「協調」「創造」を掲げ、1998年には共学化し「地域に貢献できる学校でありたい」「一人ひとりの挑戦をサポートできる学校でありたい」「生徒にチャンスを与えられる学校でありたい」との思いを具現化する教育活動を実践している。2022年に多様な進路に対応する5コース制がスタートしたが、今年度からよりチャレンジできる「学びの多様化学校・フリーアカデミーコース」が始動した。開設に至るまでの経緯、特長について詳しいお話を伺った。
多様な学習ニーズに対応!
柔軟で質の高い学びを求めて
令和6年4月、精華高等学校「フリーアカデミーコース」がスタートした。現在1期生20名が学んでいる。「文部科学省特別教育課程編成指定校」認定と数々の法令を組み合わせることで、全日制普通科の高等学校でありながら、特別の教育課程とオンラインやオンデマンドを用いた多様な単位認定が可能となったのだ。
「本校では、平成10年度より『学習室』(適応指導教室)を立ち上げ、不登校生徒への合理的配慮の取り組みを組織的に開始しました。以来、毎年10名前後の生徒を見守り続け、この教室から100名以上が卒業。ほとんどの生徒が進級・就職という進路を得ています。令和5年度は『学習室』担当教諭4名、特別支援教育コーディネーター3名、スクールカウンセラー1名、養護教諭はじめ3名の保健室スタッフと各所属教室の担任および授業担当者が子どもたちに携わりました。『学習室』を訪れる理由はさまざま。本校では心因性の対人恐怖や社会不安などの事由が多くみられました。
合理的配慮により、このタイプの子どもたちの多くは問題点をクリア、登校を再開できましたが、ここ10年ほどはコロナ禍もあり、起立性調節障害や過敏性腸症候群という疾病系の子どもたちが多くなっています。登校してくる時間が昼になり、進級や卒業が難しい。従来の学習室ではフォローができない。これらをなんとか救えないかと、関係諸機関と相談を重ねてまいりました」と校長の正川昌彦先生は話す。
「不登校生徒救済」
に特化したコース運営を実現!
フリーアカデミーコースコース長の小西一誠先生にその特長を説明していただいた。
「登校すべき時間内に登校できないときは自宅にてオンライン学習、登校したらグループ学習や協働作業を楽しむ。『中学時代に経験できなかったすべてのものを取り戻す』を目標に、全日制普通科にこだわり何ができるのか、令和3年度から『特別教育課程編成指定校』の申請作業を進めてまいりました。1年生は2人担任制。定期考査は5日間行いますが、1日1科目、負担のないように勉強してもらいます。
実技系以外の授業では日常的にiPadを使用。本コースの始まりは2時間目からで、1日5時間授業です。基本的には登校し、通常の学校生活を送ってもらうことを目標としていますが、通常登校・オンライン参加・オンラインから登校・参加できなかった授業のオンデマンド(録画配信視聴による学習)を併用しながら、各々の心と身体のバランスで学びのスタイルを選択できます。
実技・実習系の授業への出席がまったくできない、年5回の試験を受けられないなどの状態になった場合は、通信による単位修得へ学びのスタイルを変更します(さまざまな要件あり)。授業以外でも、今まで参加の機会の少なかった課外活動や宿泊研修への参加、友だちづくりもサポートします」
「中学生のときになかなか出席できず、別室で個別に指導を受けていた生徒たちがほとんどです。どのくらい来てくれるだろうかという思いがありましたが、蓋を開けてみれば現在多くの子が登校してくれています。みんな同じような悩みや辛さを抱えてきた生徒たち。
しんどかったらオンラインを使えますし、可能なときは登校できるという安心感が大きいです。オンラインは使えるけれど、学校生活を送ることができなかった子たちが登校できるようになり、友だちをつくり、人間的に成長してほしいと願っておりますし、最良の方向に進んでいるのを実感しています」と体育科教諭の荒井優華莉先生は語る。
安心して登校できる環境が整い
信頼できる先生がいる
「生徒・保護者は誰しも不安を抱えています。スタート当初は保護者からの連絡も頻繁にありましたが、2名の担任が生徒たちの様子をきめ細やかにすり合わせし、共有を密にしているため、対応はスムーズにできています。また、学習進捗や定着状況には個々で差があるなか、きちんと理解できる授業展開を心がけています」(小西先生)
「私は、生徒たちが毎日楽しくなるような日常会話を心がけています。他人の目を気にする子が多く、できているのに『できてない』ととらえるケースがあります。『これでいいのだろうか』と心配しがちなとき、ちょっとしたことでも『できたやん!』と声をかけると嬉しそうにします。達成感を積み重ねる一方で、決して甘やかすことなく指導していきたいと思っております」(荒井先生)
「生徒たちへのアンケートを見ると、多くの子が進学したいと考えています。学習面のフォローはもちろん、本人たちの希望に沿った進路指導をしなければなりません。1学期のテストでは、生徒みんなが一生懸命頑張り、褒めてあげられる結果を達成しています。意欲を継続させ、個々が思い描く出口に近づけていけるよう努めてまいります」(小西先生)
「1年生の間は、テスト前はコツコツ、行事は楽しむ。今できることを頑張り、苦手な部分を一つひとつ解消することが将来へとつながっていくと思います。ストレスはよくないので、『起きられません!』となる前の心身の様子などを見守りながら、一方で、ストレス解消法も身につけてもらうよう心がけていきます」(荒井先生)
心因性(対人恐怖、社会不安等)の不登校であることを中学校が理解し確認書を提出する。または、起立性調節障害、過敏性腸症候群、強迫症等の医療機関による診断書を有していること。出願までに複数回の面談を実施(第3学年第1学期終了時より受付)。募集は専願30名で、入学試験は国語・英語・作文となります。
問い合わせ先 TEL:072-234-3391 e-mail:info@seika-h.ed.jp
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