マナビネットオープンスクール2024 ●掲載:塾ジャーナル2024年11月号/取材:塾ジャーナル編集部

秋の一大イベント「星河祭」
学校全体がひとつのことに集中する1週間

東海大学付属大阪仰星高等学校・中等部

1983年、大阪府枚方市に開校した東海大学付属大阪仰星高等学校・中等部は、東海大学の関西地区における唯一の教育機関。強豪校として名高いラグビー部をはじめ、サッカー部、野球部も全国レベル、文化系では吹奏楽部の活躍がめざましい。一方で、国立大学・難関私立大学に毎年多くの合格者を出しており、大学建学の精神に基づく「真の文武両道」を体現している。中高一体での活動が多いのも同校の特色で、秋の恒例行事「星河祭」はその魅力を凝縮した一大イベントだ。当日の模様を鞆安孝郎中等部副校長のご案内で取材した。


体育祭・文化祭が合体した大イベント
「星河祭」は1週間開催

ひところの残暑がおさまり晴天に恵まれた9月26日、東海大大阪仰星の名物行事「星河祭」の体育の部が開催された。普段はラグビー部やサッカー部などが練習に使う人工芝グラウンドと陸上トラックもある総合グラウンドを舞台に生徒の笑顔がはじけ、テントの下にはカメラを構えた保護者らが集っていた。

同校は何かと「星」に縁がある。校名の「仰星」は、東海大学建学の精神「若き日に汝の希望を星につなげ」に由来するもの。また、学校周辺には「天野川」が流れ、枚方・交野地域は古代から“七夕伝説”の地とされてきた。「星河祭」の名は、これらにちなんでいる。

「『星河』とは無数の星の集まりが成す天の川や銀河のことです。生徒一人ひとりを星に見立て、みんなが力を合わせて一つのことに取り組もうという思いも込めました」

星河祭は体育祭と文化祭が合体したもので、土日をはさみ、たっぷり1週間をかけて行うビッグイベントだ。

「体育の部のリハーサルも本番の動きに合わせて、半日使って行っています。こんなに時間をかけている学校は、もう少ないでしょうね」

毎年、秋分の日を過ぎたあたりで開催。この間、授業は一切行わない。それを見込んだ授業計画を立てているという。

「この時期の開催は1983年の創立当初からの伝統で、前倒しにすると準備が間に合わず、後ろ倒しすると高3生は受験に差し障る。そのあたり、保護者からもご理解いただいています」

準備から運営まで生徒が主導
団体競技で団結力を養う

1996年に中等部を開設以降、星河祭は中高共同開催で、準備から当日の運営まで生徒が主導。体育の部では運動部の高校生が中心となり、生き生きと指揮を執っていた。また、放送部員は競技中のインタビューで盛り上げに一役買っていた。「先輩から細かく引き継がれているので、慣れたものです」と鞆安副校長も手放しで目を細める。

中学は3団、高校は4団にそれぞれ人数調整して分かれ、全25種目の得点を競う。リレーはクラブ対抗、クラス対抗、中学全員など、さまざまな形でバトンをつなぐ。「マッスルパワー」「うずしお」「おさるのかごや」「40人41脚」「みんなでJump」など、ユニークなネーミングの競技も目についた。

「名前は体育科の先生方が考えました。中1生の『40人41脚』は1期生が40人だったことから始まったものです。現在は1クラス20~30人程度ですが、名前はそのまま残しています。体が小柄なので、ケガもしにくい。

かつては手拭いで足を結んでいましたが、現在はすぐ外れるマジックテープを使用し、ケガ予防しています。中2生の『みんなでJump』はクラス対抗の大縄跳びです。クラスによって人数が違いますが、多いからといって必ずしも不利とは限りません。全員が息を合わせるところに意義があります」

こういった団体競技が多く、「とくに中学生は夏休み明けから、体育の授業はもっぱら星河祭に向けた練習をしていますね(笑)」。

全校生徒に演劇部などが部活成果を披露
研修旅行で学んだSDGsで地域貢献へ

文化の部初日の9月28日(土)は、全校生徒を観客とするクラブの成果発表会。軽音楽部、バトントワーリング部、演劇部、チアリーディング部、吹奏楽部に加え、選択科目で音楽を選択した高3生が舞台に立った。

全校生徒約1300名に対し、講堂の収容力が800名のため、入場を午前は中学生全員と高1生、午後は高2・高3生に分け、同じ演目を2部構成で毎年実施している。

翌29日(日)は一般公開。中等部は美術展、書道展のほか、6月の研修旅行やSDGs総合学習のまとめなどを展示披露した。

同校はSDGsが提唱される以前から清掃活動に取り組んでおり、研修旅行も中1生は東海大発祥の地である静岡・美保に赴きビーチコーミング(浜辺に打ち上げられた漂着物を拾い集めたり観察したりするアクティビティ)に取り組む。

中2生はSDGs未来都市に選定されている徳島県上勝町を訪れる。そこでは町内から出るごみの「焼却・埋め立て」ゼロをめざした「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」の見学などをプログラムしている。

展示では、この取り組みを枚方市に応用するために、生徒たちが出した様々なアイデアが発表されていた。

「6月の研修旅行を機にクラスがぐっとまとまり、『星河祭』でさらに団結力が強まるという効果があり、秋開催の意味がここにもあります」

体育祭では近隣の幼稚園児も演技披露
キッチンカーが初登場し地域連携も進む

体育の部では午前の競技の中に、春日東野幼稚園の組み立て体操がプログラムされていた。聞くと、同校教員の子どもが同幼稚園に通っていた縁で、「地域の有名なイベントなので、ぜひ参加させてほしい」という依頼があった。

それがきっかけとなり継続しているという。「卒園児が本校に入学してくださるケースもあるのですよ」と鞆安副校長は笑顔。園児らのかわいい演技に観衆もひととき和んでいた。

さらに、文化の部では今年初の試みとして、キッチンカーが登場した。学校周辺のお店の協力によるもので、地域と連携を強める同校ならではといえる。

「星河祭」は生徒たちだけでなく、地域の人々にとっても、楽しみな催しとなっているようだ。


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活動実績が評価され「博報賞」に続き「ESD精励賞」受賞! 「チーム仰星」として一丸となって取り組む探究学習


東海大学付属大阪仰星高等学校・中等部 https://www.tokai-gyosei.ed.jp/