マナビネットオープンスクール2024 ●掲載:塾ジャーナル2024年11月号/取材:塾ジャーナル編集部

2025年4月から神戸山手グローバル中学校高等学校に校名変更
創立100年を機に女子教育の名門から多様な教育へ
2025年度からグローバル化、共学化を実現

神戸山手女子中学校高等学校

神戸山手女子中学校高等学校の前身は、1924年に開校した「山手学習院」。女子に教育の機会を与えようと設立された小さな学び舎は、100年間で幼稚園から中学校・高等学校、関西国際大学、関西国際大学大学院、関西保育福祉専門学校を擁する総合学園に発展した。その創始であり、創立100周年を迎えた同校が、2025年4月、国内外の生徒を積極的に迎え入れる共学校「神戸山手グローバル中学校高等学校」に生まれ変わる。2021年度から始まっていた学校改革の軌跡と、新たに目指す学園像を取材した。


歴史ある名門女子校が変わる!
国際化・共学化で新たな学園へ

国際都市・神戸で100年にわたり、各分野で活躍する女性を育成してきた名門女子校が大きく変わろうとしている。2025年度から共学化するとともに、国内外の生徒を積極的に受け入れ、校名も新たな「神戸山手グローバル中学校高等学校」とし、インターナショナル・スクールの要素を有する学校へと進化するのだ。

この改革を2021年度から推進している校長の平井正朗先生は、英語教育と学校経営の専門家。このたびの改革で「グローバル化、ジェンダーレス化が進む社会に対応すべく、この100年で培った教育に加え、新たな時代に求められる、きめ細やかで豊かな教育を目指します」と語る。

その取り組みはすでに始まっており、2023年度には中学・高校に「グローバル選抜探究コース」を新設した。同コースの担任は日本人とネイティブ教員の2名体制で、英語の授業は週10時間以上。

世界を視野に入れた探究学習「グローバル探究」では、正解がひとつでない社会的課題に対して、最適解・納得解を導き出せる学力とグローバル・マインドの育成を涵養する。

また、英語「を」学ぶのではなく、英語「で」学ぶことを重視し、英語で音楽、家庭、プログラミングなどの科目を学ぶイマージョン教育を実践。高校卒業時にCEFR(セファール:外国語の運用能力を評価する世界標準の指標)のB2(英検準1級に相当)を達成目標としており、早くも中学校から英検2級合格者が出ている。

創立100周年記念事業や体験型催事で
学校生活と特色ある学びを体験

同校はこれまでも多彩な国籍やルーツをもつ生徒を受け入れてきたが、2025年度からはより開かれた学園を目指す方針で、まず今秋にはアジアから20名の転入生を迎える。

そのための学生マンションや同時通訳イヤホン導入などの設備も整えてきた。平井校長は、「国内外の生徒がともに学び、海外進学も含めた希望進路を実現してもらいたいですね。地球人として共生社会を創っていく人材を育成します」と意欲的だ。

こうした新たな学園像を広く紹介する活動も盛んで、平井校長みずから毎日、学校ホームページの「校長ブログ」を更新し、またさまざまなイベントを開催している。

そのひとつ、月例開催の「きてみてヤマテ体験講座」は、校外の小学生・中学生に同校の特色ある授業やクラブ活動を体験できる機会で人気が高い。例えば、先述のイマージョン教育を知ってもらうために、英語で教わりながら工作やお菓子作りをしたり、人気のクラブ活動、eスポーツのゲームに参戦できたりと、毎回、楽しい企画を打ち出している。

特に今年は創立100年とも重ねて、さる7月には「きてみてヤマテ体験講座~七夕祭~」を教職員と生徒、保護者の会「育友会」と卒業生の会「友松会」も参加して盛り上げた。

7月からはオープンスクールや入試イベントも本格始動。このうち「プレミアム説明会」は受験生の保護者と平井校長との懇談形式で、学校生活や進路実現についてじっくり説明する機会となり、10月、11月、12月にも開催予定だ。

目標が明確な3コースでの学び
進路満足度は 95%以上!

同校のコース編成は、中学校が「グローバル選抜探究」と「未来探究」の2コース、高校が「グローバル選抜探究」、「選抜」、「未来探究」の3コース。なお、2025年度からの共学化は、中学・高校の「グローバル選抜探究」と高校の「選抜」が対象で、「未来探究」は女子のみの募集になる。

先に紹介したように、「グローバル選抜探究」は集中的な英語学習や国際的視野の育成を目指し、「選抜」では国公立大学や難関私立大学、医歯薬看護系学部への進学を支援する。

また「未来探究」ではバランスの良い学力を身につけ、「探究」の授業で思考力・判断力・表現力を伸ばして未来型のリーダーシップを育む。

この多様なコースからの進路実現も2021年からの学校改革の柱であり、目に見えて成果を上げている。2024年度の進学率は過去最高の96%で、生徒と保護者の進路満足度は95%以上ときわめて高い。

その背景には、EdTechを活用して一人ひとりが習得できるまで学べる個別最適化学習や、予備校から講師を招いた校内予備校「山手アドバンスゼミ」の開講、そして生徒の夢を実現させようとする丁寧な進路指導がある。

さらにICTを活用する理数系教育の設備を充実させ、今年度は文部科学省が指定するDXハイスクールと高度外国人材の教育環境整備に係る調査研究事業の指定を受けた。

ただし平井校長は合格者数を追うのではなく、「卒業後も主体的・能動的に人生を切り拓き、グローバルリーダーシップを発揮してほしい」と考えている。進路実現をそのスタートと捉え「進路満足度100%を実現させたいと考えています」と将来を見据えている。

自立する女性を育んだ100年の伝統を礎にして、新時代にふさわしい、男女がともに学ぶ、国内外に開かれたオンリーワン校に生まれ変わる神戸山手女子中学校高等学校。

「神戸山手グローバル中学校高等学校」として、次の100年がいま始まろうとしている。


過去の記事もご覧になれます

さらなる100年に向けた大改革 2025年度より共学化、グローバル化をスタート


神戸山手女子中学校高等学校 https://www.kobeyamate.ed.jp/