マナビネットオープンスクール2024 ●掲載:塾ジャーナル2024年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

「職業観」を養い、実社会で活躍できる人材育成が使命
キャリア教育や探究学習が「自主・自律」の精神を育てる

常翔学園中学校・高等学校

1922年(大正11年)創設の関西工学専修学校としてスタートし、大阪の発展とともに現場で活躍できる人材を数多く輩出してきた学校法人常翔学園。創立100周年を超え、大学も擁する総合学園に発展するも、さらに時代を見越した変化の最中だ。過去15年で自他共に認める進学校となり、難関国公立大・難関私立大への合格者及び入学志願者は年々増加。その理由に、徹底的に生徒に寄り添う学校全体の姿勢がある。次の100年に向け「教育先進校」を掲げる同校の取り組みについて、田代浩和校長と根来和弘校長補佐に話を伺った。


進学校としての地位を確立、次なる目標は
自律的学習者を育成する「教育先進校」

専門職業人を育成する学校として始まった同学園。「『自主・自律』の精神と幅広い『職業観』を養い、目的意識をもった進学の実現により、将来、実社会で活躍できる人材を育成する。」を教育の理念としている。「2022年(学園創立100周年)までの15年の目標を国公立大合格者100名とし、その目標は100周年を待たずに達成されました。

結果100名以上の国公立大合格者を輩出することができ、進学校の仲間入りを果たせたと思っています」と田代浩和校長。今年度は国公立大合格者115名(防衛大含む)、関関同立合格者は過去最高の462名となった。これらの成果は雑誌『サンデー毎日』の記事にも「この10年で伸びた学校/西日本」の第3位として取り上げられた。

「今後の15年は『教育先進校』として、グローバルシチズンシップを身につけた自律的学習者の育成を目指したいと考えています」と田代校長は語る。

入学志願者数も右肩上がりで、2024年度入試では過去最高の894名が志願。毎年中学入学生全員と個別面談をするという根来和弘校長補佐は、「学習塾の先生方に薦められて来たという生徒がとても多い。本校が一人ひとりの生徒に対して非常に手厚くしっかり向き合って、日々の教育を行っていることに信頼を寄せていただいているのだと思います。

このような本校の姿勢が結果的に、進学実績や学力向上の数字に出てきているのです」と語る。中学校入学前のアンケートで、「学力向上に向けた取り組み」と「面倒見の良さ」が特に支持されている同校。入学後のアンケートの満足度は生徒86・9%、保護者90・5%と、同校が生徒・保護者の期待に応えていることが伺える。

実力を磨き人生を拓くコース設定
それぞれのコースで著しく学力が向上

中高一貫では、最難関国立大や医学部医学科などへの現役合格をめざす「スーパーJコース」と、「特進Ⅰ類・ Ⅱ類コース」の2コースがある。「特進Ⅰ類」は難関国公立・私立大または海外の大学を、「特進Ⅱ類」は国公立・難関私立大または海外大をそれぞれめざす。

高校では最難関国公立大をめざす「スーパーコース」と国公立・難関私立大をめざす「特進コース」、学園内大学や私立大をめざす「文理コース」の3コースがある。さらに高校2年からは海外大や国内大の国際系学部を目標とする新設の「グローバル探究コース」と、私立大の薬学部・国公立大の看護・医療系学部を目標とする「薬学看護医療系コース」が加わり、5コースに分かれて学びを深める。

今年開設3年目を迎えた「スーパーJコース」では、中学1年から探究的な学びを積み重ねながら知識・論理的思考を養うハイレベルな授業を展開。昨年より中学2・3年は、週1回「探究アウトプットタイム」を実施、生徒が主体的に行動し、思考と実践を繰り返しながら自分の答えを見つけることを目的としている。

外部模試では、偏差値60以上の生徒が約半年で学年全体の8%から26%に上昇した。さらに別の模試では全国順位トップ5のうち4名が同校の生徒という目覚ましい結果が出ている。学内放課後学習「JOSHO+(プラス)」によって専属講師の手厚いフォローで徹底的に学力を伸ばしていることも要因の一つとして挙げられる。

「常翔STEAM」などのキャリア教育と
探究学習が「自主・自律」の精神を育成

探究学習は20年以上前から実施しており、大阪ではパイオニアとの自負がある。2022年からスタートした「常翔STEAM」では、中学1年からキャリア教育のベースとなるプログラムを提供。AIの活用法やプログラミング講座、ネイティブ講師との英会話プログラムなどが体験できる。また同一学園内3大学と連携するプログラムでは、実際に大学の設備を使用しての講義や実験に参加でき、進路を具体的に考えるきっかけになると好評だ。

高校からは「常翔キャリアアップチャレンジ」としてスーパーコースの「ガリレオプラン探究」をはじめ、コースごとに研究ゼミを展開する。少人数のグループで、1年間かけて自分たちのテーマを研究し、優秀作品は学内の発表会で披露される。3年で論文にまとめる研究結果が評価され、国公立大の推薦入試に合格する生徒も多い。

グローバル教育にも力を入れる。「グローバルチャレンジ」は、海外で大手商社などを訪問し、そこで働く人たちにインタビュー。その中でグローバルの本質を自分たちで考え、掘り下げていく。国際交流も盛んで、アメリカ、オーストラリア、台湾、メキシコなど、さまざまな国の学校から常に留学生が訪れている。

図書室の蔵書5万冊に加え、学園設置各学校の蔵書計100万冊以上に触れることができる。生徒からリクエストがあった本は、ほぼ配架するほか、タイムリーな話題に沿った企画展示なども充実しており、生徒に好評だ。

昨年度からは、中学2年を対象に富士山登山実習を開始した。「日本一の山に登ることで、成功体験、ひいては自己肯定感の向上につなげたい」と根来校長補佐。「最初は自信がないと言っていた生徒も無事登頂し、『めっちゃ良かったです!』と最高の笑顔で言ってくれた。そのひと言で涙が出そうになりました」。

生徒に向き合い、その成長を常に考え続ける同校。次々と生まれる新しいアイデアの実現に向けて歩みを止めない姿勢が、生徒たちの「自主・自律」


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常翔学園中学校・高等学校 https://www.highs.josho.ac.jp/