創立100周年を迎える進学とスポーツの実力校
放課後学習支援プログラムで多様化する進路を応援
学校法人京都西山学園 京都西山高等学校
京都西山高等学校の前身は1927年(昭和2)に創立された西山高等女学校。以来90年余り、教養ある女性を育成してきた伝統を大きく改革し、2022年に共学化して3年が経過した。現在は「夢を見つけ、挑戦できる学校」を目標に掲げ、男女の生徒が相互理解を深めながら、授業やクラブ活動に取り組み、放課後学習支援プログラムで学習に励んでいる。この3年間で起きた進学実績やスポーツにおける前向きな変化、2027年に迎える100周年に向けての展望を学校長の森川弘仁先生にお聞きした。
女子教育の伝統校から共学校へ
男女共生時代にふさわしい環境
京都西山高等学校は校内に系列の向陽幼稚園を併設し、近隣の長岡京市には系列の京都西山短期大学がある総合学園の一角として発展してきた。2022年の共学化とともに、それまでの5コース制を「特進コース」と「総合進学コース」の2コース制に改編。以来、男子の入学者が順調に伸び、今年度は全体の3割に達している。
学校長の森川弘仁先生は「私たちが女子校時代にジェンダー教育に取り組んできたスキルは、共学教育にも還元できると考えています」と話す。例えば、同校には伝統的に幼稚園教諭や保育士を目指す生徒が多く、男性が子育てに能動的に関わる時代を生きる男子生徒たちにとって、当事者意識をもてる環境だ。また女子生徒にとっても、将来共生社会で活躍するのに必要な男女の相互理解をより深められるようになった。
女子校としての歴史が長かった同校に入学する、男子生徒たちの動機はどんなところにあるのかを森川学校長に尋ねてみた。
「共学化にあたり、男子の強化指定クラブを3つ新設したのですが、その草創期の部員になって『クラブの歴史をつくりたい』という生徒が多いです」
女子校時代から部活動が盛んで、東京五輪ソフトボール金メダリストの清原奈侑選手や、多くの女子プロサッカー選手を輩出してきた同校らしいエピソードだ。
実際に、新設の男子強化指定クラブである少林寺拳法部、サッカー部、バスケットボール部は創部早々から活躍をしている。少林寺拳法部が全国選抜大会、インターハイ入賞、バスケットボール部は京都府ベスト8、サッカー部は新人大会ベスト16と好成績を残した。
森川学校長は、「パイオニア精神で入学してきた男子生徒ですから、社会に出ても先頭をきって一歩を踏み出す人材になってほしいですね」と期待を寄せる。
共学化で希望進路が多様化
4年制大学への進学希望も増進
京都西山高等学校の学びは2コース制。難関大学合格を目指す「特進コース」と、産近甲龍佛から短大、専門学校、就職まで幅広い進路を実現する「総合進学コース」だ。
特進コースにも部活動に所属し、文武両道に励む生徒は多く、看護系進学に強いのを見込んで同コースに入学する生徒もいる。特進コースが重視している探究型学習は、関心のある分野を明確にして志望大学や学部を決めるきっかけになり、探究活動の実績を総合型選抜に活かすこともできる。昨年は国公立の京都府立大、滋賀医科大、滋賀大や、人気私立大の立命館大、京都外国語大、摂南大などに合格者が出た。
総合進学コースにはさまざまな夢をもつ生徒が在籍しており、2年生からはキャリア系・スポーツ系・保育系のいずれかを選択できる。キャリア系では大学や専門学校への進学や就職などの多様な進路を支援。スポーツ系は強化指定クラブの種目を授業で実践し、スポーツ科学の授業も受けられる。そして保育系では保育基礎やピアノ実技などの授業を受けられ、幼稚園教諭・保育士に必要なスキルを高校時代から学べる。
こうした多彩なカリキュラムで一人ひとりの進路実現を後押しするのに加えて、「放課後学習支援プログラム」でも自学自習を支援している。このプログラムでは、メンター(指導者)として派遣される現役大学生が学習指導や進路相談にあたる。
「当初は、共学化直後で同性の先輩が少ない男子生徒に、過ごしやすい環境を提供する狙いもありました」と森川学校長は振り返る。もちろん女子生徒もプログラムを活用でき、年齢の近いメンターとの交流を通して、大学生活への意欲が高まっていく。
手厚い進路支援と共学化で新しい風が吹いているのを反映し、この3年間で4年制大学への進学希望者が増加している。一方で、系列の京都西山短期大学へも進学しやすく、同短大の「こども教育コース」では幼稚園教諭・保育士の国家資格が取得できるメリットも引き続き打ち出して、多様化する進路を応援していく方針だ。
3年後の創立100周年に向け
さらなる夢に挑戦できる学校へ
京都西山高等学校は2027年に迎える創立100周年に向けて、3つの新たなビジョン「夢を見つけ、挑戦できる学校」「生徒・保護者・卒業生・教職員が誇りを持てる学校」「地域を愛し、地域から愛される学校」を定めた。
その達成度を確かめる規準のひとつは、生徒が望む進路を実現することだ。そのために「放課後学習支援や特色あるカリキュラム編成、進路指導をより充実させて、大学や専門学校への進学、就職を支援していきます」と森川学校長は熱く語る。
また、「地域を愛し、地域から愛される学校」であるために、これまでも併設の幼稚園での保育実習やボランティア活動を行ってきたが、さらに「探究型学習で地域の課題解決に取り組んだり、文化系クラブが地域イベントに参加したりする機会を増やしていきたいです」と森川学校長。
さまざまな学びを通して広い視野をもった生徒たちが、幼児教育や看護の専門職、トップアスリートやその指導者として活躍する未来が目の前に開けている。
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京都西山高等学校 https://kyotonishiyama.ed.jp/