マナビネットオープンスクール2021 ●掲載:塾ジャーナル2021年9月号/取材:塾ジャーナル編集部

探究心をかき立て、自分で考え、伝える大切さ
学びのコアである「地球学」、中高大連携でさらなる深化へ

京都先端科学大学附属中学校高等学校

学校周辺の地域が抱える問題を聞き取り、自分たちにできることを一から考える校外学習


2021年、学校法人永守学園運営の京都先端科学大学と統合し、Society5.0(超スマート社会)で活躍する「京都発世界人財」の育成を担う、京都先端科学大学附属中学校高等学校。そのために同中学校が独自展開するのが、生徒の知的好奇心を引き出し、自らの適性を考えさせ、社会で生きる力を身につけさせる探究型学習「地球学」だ。この「地球学」の魅力について、中学部部長の竹村慎吾先生と、中学3年の徳江優さん、伊藤華奈江さんに話をうかがった。



●参加者:左から中学部部長の竹村 慎吾 先生、徳江 優 さん(中学3年)、伊藤 華奈江 さん(中学3年)

学校行事や校外学習、研修旅行
すべてに学び、体験する

――最初に「地球学」とは何であるか教えてください。

竹村 慎吾先生(以下、竹村先生) 中学の3年間で生徒が自分に合うものは何か、興味関心はどこにあるのかを見つけるためにあるのが、「地球学」です。「地球学」が扱う範囲は広く、通常の隔週土曜の授業だけでなく、学校行事や校外学習、研修旅行もすべてひっくるめたものを指します。ホンモノの体験をすることで知的好奇心を刺激し、将来のビジョンを立てることがねらいです。

――徳江さんと伊藤さんにとって一番心に残る「地球学」は何ですか。

徳江 優さん(以下、徳江) 今、SDGsの目標と、学校周辺の地域が抱える課題の解決とを合わせ、自分たちでゼロから解決のアイデアを考え、提案する活動を行なっています。今年から始めた中学1年から3年まで10名程度の生徒が一緒になった縦割りグループで活動し、このリーダーをさせてもらっています。ちょうど明日にコロナ禍による影響について和菓子屋さんへインタビューしに行くのですが、このインタビューのお願いの電話を友達と協力し合って7、8軒にかけてことごとく断られたのが辛かったです。でも、社会に出たら自分の思う通りに行かないことはいくらでもあるのかなと考えると、いい経験になりました。それに、今までは先輩に指示されていましたが、縦割りのリーダーとして行動したことや自分たちで一から考えたことに達成感を感じました。

伊藤 華奈江さん(以下、伊藤) 私は京丹波農山村での民泊です。ふだん丸1日も一緒にいられない友達と寝泊まりして、ずっと過ごせたのが心に残っています。あと、朝早く起きて野菜の袋詰めをしたり、サツマイモの収穫を手伝ったりして、日常で体験できないことがたくさん学べました。サツマイモは自分たちで食べたりして楽しかったです。

――「地球学」を通じて自分が成長できたことは何だと思いますか。

徳江 僕は中1の頃は静かで友達ともあまりしゃべりませんでしたが、今では毎日のように友達とはしゃいでいます(笑)。これも、発表する機会を多く与えてくれた学校のおかげだと思います。中2では地球学プレゼンテーション大会で、二条城についてその歴史や城のつくりについて調べ、歴史的建造物が抱える問題について発表しました。その時、二条城が抱える問題を身近な人へと伝えることが大事だと感じました。普段の授業でも発表する場が多く、学校そのものが「地球学」だと思えます。

伊藤 最近あったことを発表する日直の仕事があり、最初は前日から緊張していましたが、今では即興で発表できるまでになりました。これまでは友達の意見に合わせることが多く自分で考えようとしなかったところがありますが、今では自分の意見を言えるようになりました。今日も文化祭の出し物についての話し合いで、「映像作品をつくりたい」と意見を出したところです。あとは、学校でネイティブの先生と話す機会が多く英語に興味がもてるようになり、英検準2級にも合格しました。

竹村先生 それは良かった! 本来なら中3の時に「地球学」の集大成としてカナダへ研修旅行に行くはずだったのですが、コロナ禍で中止になりました。代わりに予定しているのが、オーストラリアの現地の人々と5日間つながるオンライン交流です。片言の英語でもかまいません。互いの価値観や考えの違い、それに人として共通する優しさみたいなものを感じてくれたらと願います。


(左)京丹波農山村での農業実習。農作業体験や、地域の人々の温もりに触れることができる
(右)蜂蜜を採り、それを詰める瓶の用意や販売などについて考えるプロジェクトも予定中

中高大連携、文理融合で
より改善したものへ発展

徳江 「地球学」でいろんな取り組みや問題について考えてきましたが、僕はどの問題にも正解がないんだと感じました。一つの問題に対して、皆のいろんな考え方や感じ方を聞くのがおもしろく、自由に考えられるのが「地球学」だと思いました。

――それは素晴らしい気づきですね。その自由に考えられる「地球学」をますます深化させる一つのきっかけが、今回の統合による中高大連携になるのでしょうか。

竹村先生 そうですね。京都先端科学大学との統合による連携で、大学側とこちら側の交流はより活発になることが予想されます。例えば、バイオ環境学部の協力を得て、中学生が亀岡キャンパスにある田んぼで田植えをしたり、太秦キャンパスにある工学部の施設や設備を見学して、最先端技術を目の当たりにするなど本校でしかできない新たな取り組みが可能となります。中高大連携により、これまで以上に理系分野での活動も増えると思います。

――最後になりますが、生徒のお二人には目標について、竹村先生には展望について聞かせてください。

徳江 附属高校の国際コースへ進学する予定です。中学で学んだ英語をさらに自分のものにして長期留学し、英語を流暢に話せるようになりたいです。

伊藤 海外ではパーティーをよくするそうで、とても楽しそうだと聞いています。海外大学へ進学したいというのが今の大きな目標です。

竹村先生 「地球学」の展望としては、今後プログラムの改善を図り、本校でしかできない学びを実現していきたいと思います。正解のない(一つではない)問いに挑み、解決策を考えて自分の言葉で相手に伝えることができる生徒を育てる「地球学」を目指したいと思います。高校・大学へ進学した際、そして10年後、社会に出た時に必要な生きる力を身につけられる“学びのコア”としての「地球学」を深化させていきたいです。
 
 
 

京都先端科学大学附属中学校高等学校  https://www.js.kuas.ac.jp/

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