マナビネットオープンスクール2024 ●掲載:塾ジャーナル2024年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

レバレッジ度が関西私学(中堅校)でトップ
自由な校風の中、生徒が自ら伸びていく

甲南高等学校・中学校

『週刊ダイヤモンド』の全国中高一貫校224校「レバレッジ度ランキング」で、甲南高等学校・中学校は関西圏の私学(中堅校)で、ナンバー1を獲得した。ここでいう「レバレッジ度」とは、中学入試時の難易度からの学力伸長度を数値化したもの。
甲南に入学すると、なぜ生徒が大きく成長するのか。その秘密は旧制高等学校時代からの自由な校風にあった。


「伸ばす」のではなく
「伸びていく」学校

『週刊ダイヤモンド』2024年4/6・13合併特大号では、「レバレッジ度の高い」学校がランキング形式で発表されている。

甲南は【関西圏】中高一貫校レバレッジ度総合ランキングの中堅校(中学入学時偏差値50未満)のカテゴリーでトップに輝いた。これは同誌の23年10/28号に続いて、2回連続ナンバー1の快挙だ。

入試広報部長の田村信平先生は「昨年の記事が出る際に、週刊ダイヤモンドさんから連絡が入りまして、実は我々としては寝耳に水だったのです」と話す。

どのような教育をしているのか、電話取材を受けたという田村先生。「本校では偏差値至上主義の詰め込み教育はやっていないということ。また、西日本の私学で唯一の旧制高校であり、伝統的に学問への興味を根底から高める授業を実践していること。そして、学校の雰囲気が自由で、生徒がのびのびと過ごしていることが良いのでは、とお話しました」

現在では当たり前となった、アクティブラーニングや探究学習などは早くから取り組んできた。しかしそれよりも、「いい意味で大学的な自由な環境の影響が強い」と田村先生は考える。

甲南には、教員と生徒だけでなく、OBや保護者が一緒になって学校と関わり合う風土がある。キャリア教育のひとつ「OBワークショップ」では、社会で活躍するOBが学校を訪れ、仕事の内容や甲南で過ごした学生時代について熱く語る。生徒の保護者は図書館を利用できたり、講演会や演奏会に参加できたりと気軽に学校に足を運べる。この風通しの良さが、甲南らしさのひとつでもある。

「本校は『生徒を伸ばす学校』ではなく、『生徒が自ずから伸びていく学校』です。一般的な偏差値には表れない、本校の良さをこのレバレッジ度から感じてもらえたら嬉しいですね」

生徒の目標達成に
全力で向き合う「面倒見」

とはいえ、生徒が希望する大学に合格するには、学力が必要だ。学問の楽しさを伝えつつ、どのような指導をしているのだろうか。

その答えは「想像以上の面倒見の良さ」と田村先生。

「面倒見が良いとは、よく聞く言葉だと思うのですが、本校の特色としては、まず学校が居心地の良い空間であることです。クラブへの加入率も高く、仲間や学校の空間が好きな愛校心の強い生徒たちばかりです。教員も、学習につまずいている生徒がいたら放課後に残して勉強させますが、厳しく指導するというよりは一緒に学習する雰囲気なんです」

全国レベルで活躍しているクラブ活動も多い同校だが、学校として「全国制覇」などの目標を掲げることはしていない。大切にしているのは、生徒個々人の目標だ。

勉強においても生徒自身の目標に応える形での「面倒見の良さ」なので、勉強や学校が嫌いにならないと田村先生は話す。

また、同校では毎年、医学部(医学科)にも数名の合格者を出しており、さまざまな生徒の要望に応えるノウハウを蓄積しているのも強みだ。

「入学したての頃は、大丈夫かなと思うような幼い生徒でも、6年後の卒業式を迎える頃には、みんな立派な紳士に近づいていく。それでいて、個性は失われていないのが本校のユニークなところです」と田村先生は話す。

OBが生きる広告塔
学校選びの物差しが多様化

最近、学校説明会で保護者から「実は知り合いに甲南出身の方がいて、その方の印象が良くて、どんな学校が知りたくてきました」というケースが増えている。また、「親戚から甲南なら間違いないと言われてきました」というケースも多いという。

「中高大または中高を甲南で過ごし『甲南ボーイ』として育っていったOBが、広告塔となってくれているのだと思います。甲南ボーイは独特な甲南らしさを身にまとっていて、当たりが柔らかくて、コミュニケーションがうまい。そうした方々が周囲に良い印象を与えて、本校に興味をもってもらえるのは本当に嬉しいことですね。おかげ様でこの春の受験者数もすべての回で増加しています」と田村先生。

同校出身の起業家は多く、有名企業の経営者も少なくない。経営者でなくても、社会で活躍しているOBの姿が、保護者の学校選びのポイントになりつつある。

「コロナ禍を経て、保護者の『本当にいい学校とは何なのか』という物差しが多様化してきている気がします。よく、文化祭を見に来て本校を選んだという声も聞きますね。本校の文化祭は中高合同で、6学年が一緒に盛り上がります。中高合同のクラブ活動では高3が中1の面倒をみますよ。そうした校風に魅力を感じてもらえるようです」

最後に田村先生に受験対策の秘訣を聞いた。

「過去問をできる限り数多く、年度を遡って解いて研究してほしいと思います。そうしたら甲南の個性が見えてきます。入試問題は『こういう学力をつけてください』というメッセージです。理科は小3の範囲からも出題していますので、在籍学年にとらわれず挑戦してもらいたいですね」


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