マナビネットオープンスクール2024 ●掲載:塾ジャーナル2024年5月号/取材:塾ジャーナル編集部

タンザニア・ラオスの「志グローバルプログラム」
人間として、ひと回り大きく成長

足立学園中学校・高等学校

世のため、人のために尽くす「志」をもち、自ら成長していく人間を育む「志共育」を掲げる足立学園中学校・高等学校。
2022年に初のアフリカツアーを実施し、大きな注目を集めた同校の「志グローバルプログラム」では、2023年でもさまざまなドラマが生まれた。
タンザニアの病院でのアメリカ人医師との出会い、ラオスの少数民族との触れ合いなど、かけがえのない体験をした2名の生徒にインタビュー。「志」とは何か、「本当の幸せ」とは何かを考え、大きく成長した生徒の声をリポートする。


「志」を実現した人と
タンザニアで奇跡の出会い

「うわ、これが本当の志か」。

志グローバルプログラムの第2回アフリカ・スタディーツアーに参加した、高校3年生(参加時は2年生)の杉田雅人(みやび)さんは、キリマンジャロの麓の病院で感動していた。

アフリカに対する「貧困」「可哀そう」といイメージを払拭したいと参加したこのツアー。タンザニアの都市・ダルエスサラームに到着した時点で、整備された道路や大規模マーケットでの人々の熱気を見て、思い描いていたイメージとのギャップに驚いた。

ドラマはキリマンジャロ近くのカラツのロッジで起きた。生徒1名が体調不良となり、急遽病院に行くことに。他の生徒たちもそわそわした気持ちで、病院に同行した。

「実は僕、タンザニアの病院を訪ねたかったんです。でも、今回の行程には組み込められなくて。そうしたら、偶然にも病院に行けることになり、自分の探究テーマに沿ったインタビューができたんです」

杉田さんが探究テーマに選んでいたのは「乳児死亡率」。タンザニアの乳児死亡率を下げるために、どんな支援ができるか考えることだった。しかも、この病院は、旅行客として訪れたアメリカ人医師が全財産を投げ打って、地元のために建設した病院だったことが判明。杉田さんは創設者本人や、アメリカから来てボランティアとして働く医師にも話を聞くことができた。冒頭の「うわ、…」はその時の杉田さんの驚きの声だ。「まさかアフリカで志を体現している方と出会えるなんて、本当に感動しました」

杉田さんは創設者の医師に「1人でアフリカに来て、怖くなかったですか」と質問。すると「もう現地の人とはファミリーだから、全然怖くなかったよ」という答えが返ってきた。「家族と思えるほど、溶け込めるのはとてもすごいこと。それができたからこそ、この病院は地元から絶大な信頼を得ている。医師が患者さんに寄り添うには、コミュニケーション力が必要だと改めて感じました」

ツアーを通して、杉田さんは「コミュニケーション力」が鍛えられたと実感している。渡航前、タンザニア大使館で英語で挨拶した時は下を向き、小さな声でしか話せなかった。それが帰国後に変化した。「タンザニアの人たちは目と目を見て話し、笑顔やハグ、握手は当たり前。学校訪問をした時は、突然1400人もの生徒の前でパフォーマンスすることになり、もう腹を括るしかない!(笑)と。帰国後、再度大使館を訪問した時には『君は変わったね』と言われて嬉しかったです」

将来は日本の地域医療に携わり、海外にも行きたいと考えている杉田さん。真の「志」に触れて夢が大きく膨らんだ。

ラオスの人々との温かい交流
「本当の幸せ」って何?

2023年度に初めて実施されたラオス・スタディーツアー。ただ1人の中学生として参加したのは、中村匠満(たくみ)さん(現高校1年生)だ。

ツアー参加は、「志講演」で担任の原匠先生の話を聞いたのがきっかけ。原先生はアフリカスタディツアーの発案者で、JICA(国際協力機構)で青年海外協力隊としてラオスに2年間着任していた。「原先生の『ラオスでは人が輝いている』という言葉が印象的で興味が湧きました」

ラオスの首都・ビエンチャンの第一印象は「北千住みたい」。建物が大きく近代的で、飲食店は人々で賑わっていた。足立学園がある北千住の雰囲気によく似ていたのだ。「現地の人と話してみると、日本にはない温かさを感じて、それまでの『自由がない』『貧しい』というイメージは吹き飛びました」

ラオスでは障がい者作業所や少数民族の村などを訪問。障がい者作業所では花の収穫を手伝った。「ラオスの人はすごくシャイ。でも、一度心を開くと、日本人よりも一気に距離が縮まる。相手が笑顔になると、自分も嬉しくて笑顔になる。コミュニケーションがどんどんプラスのサイクルに変わっていくことが、僕には衝撃的でした」

少数民族の村では、足立学園の生徒のご家庭からの寄付で集めた衛生用品を配った。各民族の言語が飛び交うので、まったく言葉は通じない。「でも、なぜか喜んでくれているのがわかる。言葉がわからないからこそ、逆にわかり合おうとして人間関係が築けたと思います」

現地の学校では、生徒の前でダンスを披露。生徒も一緒に踊ってくれ「帰らないで」と言われるほど仲良くなった。今でもSNSを通じてやり取りする、かけがえのない友だちがラオスにできた。

渡航前、中村さんは「感動と笑顔あふれる世界を作るために環境を整え、すべての人を夢の実現へ導く」という志をもっていた。「自分は野球部に所属していて、仲間と共に夢をもち、実現した経験がありました。だから、ラオスの生徒にも夢について聞いてみたかったんです」

しかし、返ってきたのは「家を継ぐ」「出稼ぎに行く」という現実的な答えばかり。中村さんが想像していたものと違っていた。自由に夢を追うことが出来ない世界もあることを知った中村さん。でも、なぜ人々は笑顔なのか。それを滞在中考え続けていた。

「ラオスの人は、日常の中に小さな幸せを感じることができる。孤児院などでは辛い現実もあるけれど、子どもたちは笑顔で元気に過ごしています。些細なことでも100パーセントの幸せを感じることができる素晴らしさ。『本当の幸せってなんだろう』と考えられたことが、このツアーの一番の収穫でした」


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