マナビネットオープンスクール2024 ●掲載:塾ジャーナル2024年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

SDGs×金融リテラシーの本格プログラム
高大連携で社会貢献できる人材を育成

千葉商科大学付属高等学校

2023年5月に新校舎全体が完成して1年。新たな環境での学びをスタートさせている千葉商科大学付属高等学校。新校舎のコンセプトは「つながり」だ。校内には吹き抜けになっている階段ラウンジや、外の空気が心地よいルーフテラスなど、生徒と教師のコミュニケーション空間が多く設けられている。
 2024年度からは「SDGs教育×金融リテラシー教育」の高大一貫教育プログラムが本格的に始まった。浅川潤一校長に高大一貫教育が目指す目標や手応えを伺った。


3クラス体制で
多様な進路を切り拓く

「天気の良い日には、屋外テラスで楽しく談笑しながらお昼を食べていますね。新校舎になってから、生徒同士のつながりは広まっていると感じています」と浅川潤一校長。

教室以外のスペースにも椅子や机が配置され、生徒と教員の面談に使われるほか、生徒同士で勉強したりおしゃべりしたりする姿が以前と比べて増えているという。

2022年度から「普通科」の「特進選抜クラス」「総合進学クラス」と「商業科」の新体制になった同校。

特進選抜クラスは、一定の条件を満たせば100%千葉商科大学への進学を保証された上、他大学の入試にも挑戦できる。総合進学クラスは実学を総合的に学ぶカリキュラムで、千葉商科大学を中心に多様な進路選択ができるようにしてある。習熟度に応じて、2年次に特進選抜クラスと総合進学クラスの入れ替えも行なっている。

浅川校長は、「多くの生徒は学校推薦型及び総合型選抜で、年内に進路を決めようとする傾向にあります。一方で、学力型選抜まで頑張って努力した生徒は、第一志望の大学に合格するなどよい結果につながっています」と語る。

商業科では、地元企業とともに新たな価値を創造する「価値創造プロジェクト」に取り組んでいる。2023年度には高校生が地元の特産品を使ってメーカーと開発した商品を全国から募集し、ナンバー1を決める大会「第10回商業高校フードグランプリ」に参加。千葉県特産のピーナッツのペーストと、菓子工房が廃棄していたシュークリームの端材(皮)を合わせた「千葉県産ピーナッツ入りのシューラスク」で「来場者賞」を受賞する快挙を果たした。

ライフプランを考える
金融リテラシー教育

2022年度から高校での教育が必修となった「金融リテラシー」。同校では千葉商科大学と合同で、7年間の高大一貫教育プログラムを構築。その特長は金融リテラシーとSDGsをかけ合わせ、一人ひとりがサステナブルなライフプランをデザインできるよう、社会軸としてのSDGsを学んだ上で、個人軸、つまり一人ひとりの生活に役立つ金融リテラシーを学べることだ。

2024年度からは1年次に「公共」、2年次は「家庭基礎」、3年次では「総合探究」の時間を使い、全クラスで「金融リテラシー」の授業を展開している。

「金融といっても、お金儲けを教えるわけではありません。人生100年時代を安心して暮らせるようライフプランを考え、家計管理や税金、金融トラブルを防ぐ知識や判断力を身につけます」と浅川校長。

この金融リテラシー教育は、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会のサポートを受けており、同協会が高校レベルで通年連携を行うのは、同校が初めてだ。大学と高校の教員が共同で授業を行い、大学の教授が来校し、生徒に直接指導・批評もしている。

生徒からは「将来絶対に使う知識だから、今から学んでおくことは、自分のためになる」「社会に出てから『知らない』ではすまない知識を高校で学べてよかった」「自分がいま生活できているのは、親が一生懸命働いているからだ」 などの言葉もあり、前向きに取り組んでいることがうかがえる。

他にも、簿記会計2級の取得を目指す生徒には、大学の瑞穂会(資格取得のための支援)に参加し、大学生と共に学ぶ環境が用意されている。

まるでハリー・ポッター
英語に触れる国際交流室

グローバル教育ではユニークな取り組みが行われている。校内にある国際交流室(Shodai Global Guild)は、放課後などに本やゲームを通じて異文化や英語に触れることができる施設。英国の伝統的な学校のハウスシステムを導入し、学生たちは、小説『ハリー・ポッター』シリーズに登場する4つの寮のようなハウスに所属する。

生徒は初回訪問時に性格診断を受け、4つのオリジナルハウスのいずれかに配属。ハウスは四聖獣の伝説と同校の生徒目標を表わしており、「Black Turtle(玄武)」は勤勉で分析家タイプ、「Blue Dragon(青龍)」は礼法で外交官タイプ、「Red Bird(朱雀)」は友愛で探検家タイプ、「White Tiger(白虎)」は勤労で番人タイプとなっている。生徒は交流室に掲示される「ミッション」(ジャンケンから英検の面接練習など)に挑戦。クリアすると自分のハウスに1ポイントが加算され、年間で最も多くのポイントを獲得したハウスと生徒に賞品が贈られる。

この他、海外の生徒との交流として、2023年度には台湾の高校2校から生徒が来日。書道を体験してもらったり、千葉商科大学の学生と共に調理実習を行ったりした。

「本校は先生と生徒の距離が近く、管理主義にならず生徒の自主性を重んじることによって主体的で深い学びへとつなげています。生徒の皆さんが充実した高校生活をおくれるよう全教職員が全力でサポートしたいと思っています。SDGsと金融リテラシー教育を高大一貫教育の二本柱として推し進め、建学の精神である『実学実践』による、社会に貢献する人材の育成につなげていきたいと考えています」


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千葉商科大学付属高等学校 https://www.hs.cuc.ac.jp/