CHALLENGE(挑戦)CHANGE(変化)
CONTRIBUTION(社会貢献)を促す
生徒ベースが活力の源
青稜中学校・高等学校
青稜中学校・高等学校がかつてない活力に満ちている。生徒発の挑戦が日々繰り広げられ、「何が起こるかわからない」面白さに人々が気づき始めている。そのパワーを生み出す土壌が「生徒ベース」だ。何を選択するか、どう行動するか、どんな貢献ができるのか、生徒と教員が意見を突き合わせ共に思考することを徹底する。そのポテンシャルは生徒たちによって引き上げられ、「普通の学校」を自負する青稜は、未知の領域、「私学としての高み」を上り始めている。
「希望進路」を具現化する
青稜生たちの強い意志
今春の青稜高等学校卒業式。青田泰明校長は卒業生たちに、「君たちが社会人になった時、青稜で何かまた一緒にやろうぜ」との思いを伝えたという。そこには未来を切り拓く同志として、卒業生に寄せる絶大な信頼とリスペクトがこめられている。募集広報部長の伊東充先生は、校長の言葉を受けとめた卒業生たちの自信と気概に溢れた表情を間近で目撃した。
「校長にとって、『本音』で付き合えた思い入れの深い代だったのでしょう。青田校長になってから4年間の『青稜生』像を、良くも悪くも体現した生徒たちでした」
青稜が掲げる「3C」。CHANGE(変化)、CHALLENGE(挑戦)、CONTRIBUTION(社会貢献)を青稜生らしく体現してきたのはもちろんのこと、「悪くも」とはどういう意味か問うと、伊東先生は笑って教えてくれた。
「中3の時は新型コロナの流行の最中に『体育祭をやらせてくれ』と譲らず、卒業前には『プロムをやりたい』と言い出して、体育館で行っていましたよ。最後まで大騒ぎして、学校を楽しみ尽くしていました」
そんな今春の卒業生427名は、新型コロナの渦中にありながら、内進生は自分の「好き」や「興味」を究める「青稜のゼミ」を2年間受講し、高入生とともに青稜生の命題「希望進路」を叶えていった。
国公立大学57名、早慶・上智・理科大・ICUに102名、台湾大学など海外大学進学者も毎年現れ始めている。青稜のDDP(デュアル・ディプロマ・プログラム)初代受講生となった生徒は、高い英語力を要する上智大学の推薦入試(公募制)を突破した。また今年の特徴として、現役・浪人併せて医学部進学者が2桁に上ったことも、青稜生たちの「希望進路」に向けた強い意志を感じられる結果となった。
生徒ファーストではなく
「生徒ベース」という姿勢
「青稜ゼミ」は、SDGs活動や文学、音楽史、気象研究、料理、スポーツ、プログラミングなど、各教員が好きなテーマで展開する14講座が設けられている。中学2・3年生と教員が、年齢や立場を越えて共に学び、協働するゼミナール授業は青稜のアイデンティティの源だ。
ゼミから部に発展したSDGs部の活躍も目覚ましく、品川区と株式会社JTBパブリッシングとのコラボで「るるぶ品川区SDGs」を発刊。社会を巻き込むその熱量は他の部にも伝播し、部活動費をクラウドファンディングで自ら集める「S-BLUE」が立ち上がった。これまで陸上部・ダンス部・自然科学部が挑戦。自然科学部の顧問でもある伊東先生は、生徒たちのCONTRIBUTION(社会貢献)に対する意識の変化をみた。
「『部活動費は学校が出してくれる』という安易な考えでは、お金の重さは微塵も感じないでしょう。クラウドファンディングになった途端、お金の使い方に責任感が生まれ、買い物ひとつにも慎重になる。『これをしたいから、これだけのお金が必要です』と具体的な活動目標を子どもから発信すると、親御さんや卒業生、外部の方も応援しやすく、共感しやすいですよね。さらには出資者への還元、つまり成果を出すため頑張ろう、という意志も生まれます」
現在、ひとつの部の立ち上げをめぐり、高2生が学校側と交渉中とのこと。校長や教員が彼らに提示しているのは、部の「運営そのもの」に携わる覚悟だ。設備や機材はどこから調達するのか、練習場所の確保、後輩への指導、裏方を支える人員と実力の担保等々、「やりたい」を具現化するまで、考え抜き、行動するのは生徒自身。︱︱生徒ファーストではなく生徒ベース。これが青稜の考える「生徒主導」の形だ。
「答えのない学び、まさに『探究』です。最初の一歩を刻めば、『次の一歩、次の一手』が現実に近づきますし、学校側もいろいろな提示ができる。生徒の思考がどんどん鋭くなるのが嬉しいですし、逞しいなと思います」
「普通たれ」を課題に
「私学としての高み」に迫る
今春の中学入試では、帰国生入試(国内外)で200名超、2月入試には約1600名の受験者が集い、倍率は3・8倍。2月2日午前入試は5・3倍と、併願校とするには難しい様相を呈しており、実際、受験者の偏差値層は上昇の一途だ。
「青稜を第1志望校とする生徒たちが着実に増えています。われわれも『面白い教育』ができるのは、最初から素直に教員や学校の方を向いてくれる子どもたちです。彼らがイニシアチブを取り、学校生活を楽しむことで、そのパワーに周りの生徒たちも引き上げられていく。募集広報担当の私たちですら、いわゆる『私学としての高み』にはまだ当分達しないだろうと構えていた未来の青稜像が、目の前に迫ってきた感があります」
そう考える根拠のひとつに、中学時代、共にコロナ禍を経験してきた内進生と高入生、その両者の間にある成熟度や意識の差が、以前ほどかけ離れたものではなくなってきた事実を挙げた。
「中学校の受験者数がどんなに増えても、私たちは成績上位180人が欲しいのではありません。『青稜で頑張りたい』と一緒にスタートダッシュを切れる180名の方を、学校として強く求めているのです」
昨今、青稜のブースや見学に訪れる親御さんから、「勉強以外にもいろいろな経験をさせたい」という言葉をよく聞くという。
「何が出てくるか想像がつかない」と高まる期待感を認めつつ、伊東先生はあえて「普通たれ」を学校また教員の課題に挙げた。
「生徒たちには、世の中にはさまざまな魅力をもった大人たちがいること、そして『大人になっても楽しいぞ』と伝えたいです。だからわれわれも自然体であるべきなのだろうなと思います。間違いなく、僕らよりも今の子どもたちの方が能力は高いですから(笑)」
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