マナビネットオープンスクール2024 ●掲載:塾ジャーナル2024年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

右肩上がりの大学合格実績と受験者数
体験型プログラムが学習への意欲を増進

開明中学校・高等学校

外国語教育の専修学校として大正3年に設立された大阪貿易語学校を前身に、百余年もの歴史の中で人材を育成、社会を支えてきた開明中学校・高等学校。校訓の「研鑽して倦まず」は「知・徳・体すべてにわたって自己を磨き続けること」を意味し、多くの体験型・探究型のプログラムなどでその環境を整え、生徒の意欲と可能性を育てている。東大・京大・国公立大医学部医学科への高い進学率と、学校推薦型・総合型選抜の合格実績から、保護者や生徒たちからの視線は熱い。同校の取り組みを入試広報部長・古庄誠先生に伺った。


体験で自分を省み、方向性を知る
明確な目標と努力が結果をつくる

今年度の国公立合格者数は162名。うち東京大学1名、京都大学18名(総合型・推薦型は過去最多8名)をはじめとする、難関国立大・国公立大医学部医学科の合格者は3割超えの59名。推薦型選抜入試も計26名と、例年通りの高い進学率だ。同校への志願者は昨年の2042名から2142名に増加。

こうした実績を出し続ける理由として、中学校から生徒に体験の機会を提供する探究教育や多くの行事、高大連携講座などがあげられる。体験から自分の方向性を発見し、実際に東大や京大の講義に触れることで、具体的な目標が定まっていく生徒が増えるという。

探究教育では理科実習、歴史探訪など多種多様な学校行事が年に10回以上行われる。中2の1学期に行われる理科実習では、自然豊かな和歌山県加太地域で、生徒たちが事前に決めたテーマをもとに実際に生き物を観察。最終的に考察結果を翌日発表する。今年はさらに事前のリサーチなどでタブレットの活用場面を増やし、より効率的に深い学びが体験できた。

中学3年生の3月には、卒業記念行事として恒例の「しまなみ海道夜間歩行」が行われる。広島県生口島の海洋センターから愛媛県今治市の糸山公園まで43㎞の海道を、約14時間かけ夜を徹して仲間とともに歩き続けるというものだ。この行事を通して、苦しい場面を乗り越える力が養われるという。

「最近は『忙しい学校』と言っています。座学の勉強と、体験するための準備やリサーチ、友だちとのディスカッション。また体力をつけるためのクラブ活動は加入率70%。思春期の6年間を忙しく、言い換えれば充実させることによって人間が形成されると考えます。多くの体験をしていく中で、各自の優先順位や、面白いと思うことを見つけていきます。苦しい中ではどう乗り越えていくかも学んでいきますし、どうしても出口が見つからない場合には、担任がどれだけ寄り添い、保護者と連携をとっていくかを重視しています」と入試広報部長・古庄誠先生は語る。

京大・東大との高大連携で
学びへのモチベーションを持続

高校1・2年生では、京都大学が主催する科学講座「ELCAS」や、東京大学が開催する「高校生と大学生のための金曜特別講座」などの受講体験がある。これらは各大学の教員が、文系・理系のさまざまなテーマで講義する様子を視聴できるというもの。最先端の講義は、生徒たちの進路選択の可能性を広げる機会となる。

毎年8月には、高校1年生を対象に「開明大学」という交流イベントを開催。「学部別講座」と「全体会」の2部構成で、大学生や社会人OBから大学生活や進学に関する情報交換が行われる。参加者からは、「先輩との交流が楽しく、大学生活についての理解が深まった」という声が寄せられている。

昨年度からは入試イベントの際、在校生が手伝う機会を増やした。見学会の後に学校生活のことを個人的に質問できる時間を設け、入試説明会の校内見学を教員ではなく生徒が案内する。受験生の保護者の評判がとてもよく、手伝った在校生からもまた参加したいという意見が出ているという。

「自分の説明や案内がうまく伝われば、それに対しての達成感や自己肯定感もすごく強いと思いますし、当然ながら受験生や保護者の方から「ありがとう」と言われたら嬉しいですよね。うまく伝わらなくても後で振り返った時、では次はこうしようとか自分の中で試行錯誤する。そういう見えない部分の自己肯定感やプレゼン力が、4~5年後の総合型・推薦型選抜で実績が増える要因のひとつになるのかもしれません。生徒たちが社会に出た時に、活躍の場が広がっているのがとても楽しみです」(古庄先生)

理系に特化しつつも
基礎力徹底で高い実績を実現

開明中学校には「スーパー理数コース」と、「理数コース」の2コースがある。どちらも国公立大進学を目指すが、特にスーパー理数コースは最難関の東大・京大・国公立大医学部医学科進学に特化したカリキュラムとなる。ただし授業と宿題の内容を除けば、両コースとも中学1年次の定期試験の内容は同じで、基礎学力の定着を確認しながら2年次以降の学習に臨む。各行事では2コースが一緒に行動するため、コース間の交流も深い。

もともと理数系が得意という生徒だけではなく、英語を除く4教科を小学校の授業でしっかり学んできた生徒は伸びるという。「理数コース」という名称は、世の中に出た時に理数の素養も必要とされるという同校の考えがあるからで、「理系コース」という意味ではない。大学入試問題で文章の読解力が必要となっている昨今、2つのコースでも基礎学力は徹底的に積み上げていくという。

高校2年では高校からの入学者も加わり、東大・京大・国公立医学部医学科を目指す「国公立文理コース」と、難関国公立大を目指す「国公立理系コース」「国公立文系コース」の3コースに分かれる。確固とした学力を身につけ、明確な道が見えた生徒たちは、目標に向かって勉強に邁進する。

「自分の未来につながる大学への進学もそうですが、やはり中学・高校の6年間でいろいろな経験をすることによって、世の中に必要とされる人材を育てられていることは強みだと思います」(古庄先生)

「開明」とは、「人智が開け、文明が進歩すること」を意味する。

「多くの学校行事が単なる経験ではなく、そこから何かを感じ取ることができれば、それが『人智が開ける』へとつながるのではないでしょうか」と古庄誠先生は捉えている。

未来に向けて文明の進歩を担う生徒たちの可能性を、開明中学校・高等学校は今日も拓き続ける。


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