マナビネットオープンスクール2024 ●掲載:塾ジャーナル2024年9月号/取材:塾ジャーナル編集部

“なりたい自分”を実現させる「10年未来プロジェクト」
独自の高大連携による2つの育成プログラムも学びの柱

東大谷高等学校

親鸞聖人の教えをもとに「報恩感謝」の心を育み、100有余年の歴史と伝統を刻みながら、社会に貢献できる人材育成を目指す東大谷高等学校。充実した学びのプログラムを基盤に、2024年度大学入試では国公立大への合格実績が上昇。特進コースでは在籍する生徒の国公立大合格率において過去3年で19.7%→28.3%→31.5%と年々アップしている。難関私立大においても、関関同立にとどまらず近畿大合格者は昨年と比べて40名増。関東方面の上智、青山学院、法政への合格者も出ている。着実に成果に結びつく取り組みについて長尾文孝校長にお話を伺った。


夢を叶える3つのコース
専願で定員オーバーとなる人気に

大阪のベッドタウンのひとつである堺市の中で南区の中心にあたる泉ヶ丘は、周囲に里山の名残をとどめる緑豊かなエリアだ。区画整理や遊歩道などが整い、幅広い世代に受け入れられる、にぎわいのあるまちづくりが進んでいる。

この地に東大谷高等学校が移転したのは、女子教育から男女共学への移行に伴う2013年。通学環境の良さに加え、浄土真宗の流れをくむ情操教育のもと、デザイン性豊かな校舎全体に気品と品格が感じられるのも人気の理由のひとつとなっている。

「今年7月に行われたオープンキャンパスでは、600名を超える生徒・保護者で講堂が埋め尽くされました。コロナ禍以降、通常のオープンキャンパスが運営できるようになり喜びもひとしおです」と長尾文孝校長は目を細める。

同校の学びは3コース。国公立大学や難関私立大学を目指す「特進コース」では、通常の授業のほかに勉強合宿や特別編成授業など、学ぶ意欲のある生徒に最適な環境を整えている。

「国際コース」では、英語でのコミュニケーション能力を高め、国際社会で活躍できるよう語学・難関私立大学を目指す。英語のほかにスペイン語、フランス語、中国語、韓国・朝鮮語の中からひとつを選び学べるのも特長だ。希望者には1年次の3学期からニュージーランド・オークランドへ3か月・6か月・1年間の留学を選ぶこともできる。

「進学コース」では、学内推薦制度による大阪大谷大学への進学をはじめ、他の学外推薦制度を活用し志望大学合格を目指す。

来年度の募集人員は、特進コースは2クラス80名、国際コースは1クラス40名、進学コースは4クラス160名。進学コースはもともと3クラス120名の募集だったが、専願で定員がいっぱいとなるため4クラスにしたというから人気の高さがうかがえる。

夢の実現に向けた「志望理由書」
課題発見を培う「探究ゼミナール」

「成績だけで学校を選ぶのではなく、生徒たちが目標をもち、自分のやりたいことで大学を選べるように指導しています。最近では、地方の国公立大に進学する生徒も増えています。例えば『探究ゼミナール』で橋梁を研究したことがきっかけとなり、室蘭工業大学の建築土木工学コースに進学した生徒もいました」(長尾文孝校長)

同校には、入学時から将来のなりたい自分を実現へと導く独自のプログラムがある。1年生から始まる「10年未来プロジェクト」だ。

1学期から週に1時間、世の中にある仕事や学問について学び、生徒自身の興味や関心を高めていく。10年後における自分自身が理想とする姿をイメージできるよう、教員・大学・一般企業の方々の講話を聞き、講義を受けるのだ。2学期には理想の仕事に就くために、大学の学部・学科を調べ、入試方法について研究する。

そして3学期には夢の実現のために何を学ぶ必要があるかを「志望理由書」を書くことで明確化する。志望理由書をもとに2年次以降の文系理系を選択。ミスマッチを防ぐために、担任と副担任の2人体制でサポートする。2年・3年では、「探究ゼミナール」を基本に、自ら課題を発見し、主体的に考える力を培うために、必要な情報の調べ方やその情報を整理し分析する力を身につけていく。

こうした力を育むことで、現行の大学入試に求められている学力を養い、同時に社会人に必要な基礎づくりを涵養する。

薬剤師を育成する9年一貫プログラム
教員養成に特化した7年一貫教育

同校独自のプログラムとして特筆すべきは、大阪大谷大学との連携によって2018年度から始まった9年一貫教育の「薬剤師育成プログラム」と、2021年度から始まった7年一貫教育「教員養成プログラム」だ。

両プログラムとも「進学コース」を対象としており、薬剤師育成プログラムでは薬剤師になるための基礎力を養成。高校・大学の担当教員が一貫してサポートし、9年間で薬剤師の夢を実現するものである。高校在学中だけでなく、大学進学後も充実した奨学金制度でサポートするほか、高校在学中に大学の教員による専門分野の講座に参加し、大学の単位を修得できるメリットもある。

薬剤師育成を目標とした同じ学園内での高大連携は、他校にはない大谷学園独自のプログラムである。

教員育成プログラムは、大阪大谷大学と東大谷高等学校が優れた教員を養成することを目的としたもの。高校生のうちから教員として必要な資質を学び、現代社会において必要とされる能力を学園全体で開花させていく。

生徒一人ひとりが未来を切り拓く
確かな力を身につけてほしい

同校では、親鸞聖人のご命日(11月28日)にちなんで毎月28日を「感謝デー」とし、建学の精神である「報恩感謝」の思いから「おかげさま ありがとう」の気持ちを育む大切な日と位置づけている。

「この日には、さまざまな方のスピーチを通して、生徒たちに『ふりかえってほしいこと』『知ってほしいこと』『気づいてほしいこと』『考えてほしいこと』など、自分自身の心を見つめ、生きていく上で大切なことを学ぶ日となっています。本校ならではの『心の共育』を通して、どんなに変化の激しい時代にあっても、生徒一人ひとりが未来を切り拓いていく確かな力を身につけてほしいと思います」(長尾文孝校長)

2025年、泉ヶ丘エリアには近畿大学医学部が開設予定だという。未来の学びの拠点が広がる中で、その中核を担う東大谷高等学校の活躍にますます注目が集まる。


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東大谷高等学校 https://higashiohtani.ac.jp/rs/izumigaoka/