マナビネットオープンスクール2024 ●掲載:塾ジャーナル2024年9月号/取材:塾ジャーナル編集部

関西学院大学系属コースで大学の学びを先取り
探究学習での経験が生徒の未来をつくり上げる

関西学院大学系属校 賢明学院中学高等学校

今年で創立70周年を迎える賢明学院。カトリック系の学校として大切にするのは「自分の力を他者のために使える人間を育成する」という創立時から変わらぬ教育方針だ。その土台となるのは同校のモットーである「The Best」。生徒たちが常に「The Best」の精神で、何事に対しても最上を目指して最善の努力をすることで、将来的に他者のために万全を尽くす精神と行動力が養われるという。関西学院大学理系4学部への進学をめざすコースの取り組みや、リニューアルしたばかりの留学制度などについて、広報募集部長の前七奈先生にお話を伺った。


生徒の夢を実現する3つのコース
指定校推薦枠は生徒数の倍近く

賢明学院中学には「関西学院理数コース」と「総合コース」の2コースがある。前者は理系進学を志す生徒向けに、高校からの「特進サイエンスコース」への優先入学制度を設けている。
高校は関西学院大学連携「特進サイエンスコース」と、「特進エグゼコース」、「特進コース」の3コースだ。

「特進サイエンスコース」は関西学院大学の理系4学部を目指すコース。進学には「英検2級、数検2級、評定平均値4・0以上」の3つの条件をクリアする必要があり、達成できれば秋には内定、1月中旬に合格が確定する。今年度も8割を超える生徒が関西学院大学へ進学した。

2年生からの「AP科目」もその特徴のひとつ。校内に大学と同じ研究室を設け、生徒が希望する研究室に所属し、仲間とともにテーマを決め2年かけて探究する。その成果を3年時に卒業論文として同校にまとめ、プレゼンも行いその結果を発表する。

「昨年度は水害が多く、建築学チームは被害をくい止めたいとの思いからダムの研究に着目しました。3Dプリンターでダムの模型を作り、実際に水の流れ方などを熱心に調べていました。カブトムシの、光の当たり方と行動の関係性を研究していた生命環境学チームは、これからの環境問題の対策やSDGsにまでつなげていましたね」(広報募集部長 前七奈先生)
AP科目の影響で、昨年の卒業生には「環境コンサルタント」を目指す生徒も現れた。AP科目に興味をもち、賢明の門をくぐる生徒たちが増えているという。

昨年新設された「特進エグゼコース」は、国公立大学や文系の難関私立大学を目指すため、1クラス25名の少人数制で5教科をバランス良く学ぶ。「特進コース」は有名私立大学の文系・理系学部、看護医療系学部を目標とし、必要な科目を選択制で学ぶ。この2コースは指定校推薦の対象で、117大学291学部もの指定校推薦枠は実質生徒数の倍近くにのぼり、進学希望の生徒には心強い。

自立心と積極性を引き出す留学
実学中心で生徒の可能性を拓く

昨年からスタートした語学研修留学プログラムには、 夏休み2週間で行う「短期」、3ヵ月間の「中期」、1年間の「長期」という3コースがある。いずれも、治安の良いニュージーランドの都市クライストチャーチを訪れ、生徒たちは現地の私立キリスト教系の学校で学ぶ。

短期留学では英語研修と地元学校への授業参加が行われる。中期と長期は学校に直接入学し、ファッション、ビジネスなどの選択授業を含めた実学的な学びが行われる。 

「短期はまず経験。見たことのないものを見るというのが大事なので、中学生たちはかなり刺激を受けて帰ってきます。自分の家庭の常識が通用しないところで生活するということもありますし、チャレンジ精神や自立心が身についていきます。もちろん中期と長期は英語力にかなりプラスになります」(前先生)

短期は毎年の夏休みに参加が可能。中期の3ヵ月は高校の3学期をそのまま使う。長期は高校1年または2年の途中から、翌年前半までのスケジュールだ。中学で夏休みに短期留学し、高校1年で中期に参加、高校2年で長期に挑戦する生徒もいるという。

長期留学でも単位は認定され、高校3年間で卒業できるのも強みだ。

多くの体験で己を知る探究学習
70周年を機に2学期制も導入

中学・高校で独自のプログラムをもつ探究学習は、6年間を通して自分の将来の目標をしっかりと明確にしていくキャリア教育の側面が強い。中学校は3年間で自分自身をよく知り、そこから職業について考えようと、職業体験や農業体験などの体験型学習を行う。並行して、インターネットのアプリを使った自己探究を行い、自分がどういう人間なのかを探っていく。

高校では河南町とコラボして、町の発展に貢献する活動を行っている。高校1年生が毎月1回、同町に農業実習に行き、自分たちのお米やサツマ芋などを育てて収穫し、それを商品化して、地域の方々や道の駅のスタッフと一緒に販売するというのが活動の流れだ。さまざまな企業の方や大学の教員を招いての講演なども定期的に行われる。

先日の職業体験では多くの警察官が来校し、パトカーの機能紹介や手錠、防弾チョッキなどの実物を見せてもらう一方、指紋採取・鑑識体験など貴重な体験も。普段見られない警察の仕事を知ることができて、生徒たちに大人気だったという。

賢明学院中学高等学校は創立70周年を迎え、今年から教育改革の一環として「2学期制」を導入し、学校に登校できる日数や授業日数を増やした。授業時間も50分から45分に短縮。短く集中して7時間授業を行っている。さらに、16時05分から16時30分の25分間を「チャレンジタイム」とし、生徒が復習や自己管理手帳を書くなど何かに挑戦する時間に充てている。また教員は生徒をやる気にさせる時間として、本人の成長につながると感じたタイミングで面談を実施する。

「生徒たちがどうしたいのかを見つめ、彼らの目標を叶えるために必要なことはすべて全力で行っています」と前先生。
生徒に寄り添い、生徒の夢に向かって徹底的に伴走する教員たちの姿勢が、生徒と同校の輝く未来を切り拓いていく。


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