マナビネットオープンスクール2024 ●掲載:塾ジャーナル2024年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

さらなる100年に向けた大改革
2025年度より共学化、グローバル化をスタート

神戸山手女子中学校高等学校

2025年4月から神戸山手グローバル中学校高等学校に校名変更

1924年「山手学習院」として開校、「自学自習・情操陶冶」の建学の精神の下、長きにわたり女子教育に邁進してきた神戸山手女子中学校高等学校。卒業生は2万人に達し、各分野で活躍する女性を多数輩出してきた。その伝統校が創立100周年を迎え、新たな歴史の1ページが開かれようとしている。2025年4月から校名を「神戸山手グローバル中学校高等学校」と変更し、グローバル化を図り、男女共学をスタートさせるのだ。
大改革の渦中にある同校の平井正朗校長に、神戸山手の「今」とこれからについて話を伺った。


国内外から生徒を受け入れ、
インターナショナルな環境で学ぶ学校を目指す

2021年から始まった学校改革を、大胆な発想と卓越したリーダーシップで推し進め、次々と成果を残してきた平井校長。2025年度からは満を持して共学化、グローバル化という、抜本的な改革に乗り出す。

「本校は100年にわたり名門女子校として、女子教育を柱に社会で活躍する自立した女性を輩出し、長い歴史と伝統を刻んできました。一方で、社会変化は激しく、ジェンダーレス化、グローバル化を軸に教育のあり方が問われてきたことも事実です。このような社会変容に対応するべく、100周年の節目を機に、次年度からの共学化に踏み切りました。また国際都市と言われる神戸にふさわしく、国内のみならず海外からも生徒を受け入れ、名実ともにグローバル化を進め、校名も神戸山手グローバル中学校高等学校と改めることにしました」とその経緯を語った。

中高の「グローバル選抜探究コース」と高校の「選抜コース」は共学になり、中高ともに「未来探究コース」は女子のみの募集とする。

海外ルーツの子どももアジアを中心に積極的に受け入れる予定で、そのための学生マンションも用意している。マンションは24時間体制で管理人が常駐し、スタディルームやコールセンター等も完備しており、学生寮以上の設備を整えている。日本語に慣れていない海外ルーツの子どもたちのために同時通訳イヤホンを活用し、数学や理科など、日本語では理解しづらい専門用語の多い教科も安心して受けられる。早くも今年度の秋には海外からの転入がスタートし、まずは中国から16名の転入生が入学予定である。

「募集対象は『地球人』。本校では、日本人だけでなく、世界各国の人たちが同じ世界基準で勉強できる学校です。進学も、海外でも国内でも希望する大学へ行ってもらいたい。一条校の良さを最大限に活かしながら、インターナショナル・スクールの要素を持ち合わせた学校を目指しています。オンリーワン校にしたいと考えています」と平井校長は新たな学校への意欲を語った。

多様性とグローバル・シチズンシップを身につける
グローバル選抜探究コース

学びのコースは、中学校が「グローバル選抜探究」(Gコース)「未来探究」の2コース。高校が「グローバル探究」(Gコース)「選抜」「未来探究」の3コース。

昨年スタートしたGコースはまさに、学校のグローバル化を見据えたカリキュラムである。

「Gコースでは、コミュニケーション・ツールとなる英語の授業は週10時間以上、課外活動も含めるとインターナショナル・スクールに近いものになっています。担任は、日本人とネイティブ教員の2名体制。学習指導や生徒指導も通常なら2者面談ですが、ネイティブも入っての3者面談になることもしばしばです。学校生活の充実度に加え、中1段階でリスニング力は、CEFRに換算するとほぼ全員が高校生レベルとなっており、留学経験がなくても英検2級に合格する生徒も出始めています」と2年目にして大きな成果を語る。

学習面の成果だけでなく、生徒たち自身も変わってきたと平井校長は続ける。「多様性を受け入れるという姿勢ができてきました。思ったことははっきり言う、他国の生徒の意見を尊重しながら、自分の意見を英語で主張する姿勢が身についていると感じます」

「目指すところはグローバル・シチズンシップ(地球市民)。これがひとつの大きなポイントです。日本人とか中国人とかではなく、『地球人』という非常に大きなレベルで多様性を受け入れ、共生社会をつくっていくということです」

進学率 96%
難関大学、医学部医学科へも進学
進路満足度は 95%以上

2021年度から始まった改革も着実に成果を上げている。進学面では、卒業後の進学率は昨年度96%に達した。4年生大学へは80%が進学をしており、どちらも過去最高となっている。進路満足度は生徒・保護者ともに95%以上という高さだ。国公立大学の推薦入試の合格者や、医学部医学科、関関同立などの難関大学への合格者も大幅に増加している。

クラブ活動も活発になった。年々入部率が上がり、今年度は100%を達成。全員が何らかのクラブ活動に入部しており、兼部する生徒もいるという。広報部、eスポーツを含むデータサイエンス部は大変人気がある。インターハイ常連の陸上競技部の他、アーチェリー部、マンドリン・ギター部など全国レベルのクラブも多い。今年は新しくスポーツクライミング部や中国語部もクラブ活動に仲間入りした。

「クラブ活動というものは海外にはないので、他国から来た生徒にも評判がいいです。クラブを通して先輩・後輩の関係や友情、顧問と生徒の関係など、授業では得られない人間関係が築けることは貴重だと思います」

今年度は文部科学省が指定するDXハイスクールの指定も受けている。

「指定要件は、プログラミングなどを含む『情報Ⅱ』を設置し、2割以上の生徒の受講をめざすこと。3Dプリンターなどの設備を整え、ICTを活用した文理横断的・探究的な学びに取り組む拠点となることが位置づけられています。本校の場合、施設・設備は整っていますので、英語イマージョンによるプログラミング、グローバル探究等の取り組みを進めていきます。また、この機会に理数系も伸ばしていきたいと思います」

改革が進むにつれ、生徒たちは積極的に学校生活を楽しむようになり、さまざまな課題に取り組むことで、学びの可能性がますます広がっていくよう


過去の記事もご覧になれます

今年度グローバル選抜探究コースが始動 2024年度プログラミング入試を導入


神戸山手女子中学校高等学校 https://www.kobeyamate.ed.jp/