マナビネットオープンスクール2024 ●掲載:塾ジャーナル2024年7月号/取材:塾ジャーナル編集部

創立100周年に向けて2025年春に新コース設置‼
唯一無二の中高大一貫教育で、
「2050年の世界をデザインする人を育てる」

京都先端科学大学附属中学校高等学校

15歳で単身渡米した辻本光楠氏は「世界の舞台に堂々と自分の意志で立ち、行動できる人を育てる」を建学の精神とし1925年本校を創立。以来、時代の要請に応え教育内容をアップデートしながら歩んでいる同校は、2021年京都学園中学高等学校から京都先端科学大学附属中学校高等学校に名称変更し、学校法人永守学園に法人統合した。実業家永守重信理事長が掲げる『京都発世界人財』の育成を目指し中高大一貫教育がスタート。2025年には創立100周年を迎える。記念すべき節目に策定したビジョンと新コースについて、教頭の山田尊文先生にお話を伺った。


「京都発世界人財」輩出を目指し
変化し続ける時代の先端へ

1925年に創立された京都先端科学大学附属中学校高等学校は、2025年度に100周年を迎える。創立以来、脈々と受け継がれてきた「世界の舞台に堂々と自分の意志で立ち、行動できる人を育てる」という建学のスピリットは、「京都発世界人財」の育成というスローガンとともに、未来への指針となっている。

「本校の歴史は京都商業高校に遡り、21世紀を迎える過渡期に中学校を開校。中学校開校と同時に探究学習も積極的に導入し、2010年には『地球学』として体系化しました。2015~2019年度には文部科学省のスーパーグローバルハイスクール(SGH)指定校となり、2020年からは独自のSTEAM教育を実践。2021~2023年度は、WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業の拠点校として最先端のグローバル教育プログラム構築に推進してきました。

SGH探究型プログラムでは、中学生が30代になる2030年代の日本・世界を牽引する人材をグローバル・ナビゲーター(GN)と定義して、中高一貫『GNコース』として人材育成に努めてきました。令和に入り京都先端科学大学附属中学校高等学校となり、『京都発世界人財」の育成に本格的に着手。『不易流行』という言葉があるように、基礎学力、挨拶・言葉づかい・身だしなみなど心の教育や品格などの生活指導を大切にする一方で、時代の変化に応じてカリキュラムや教育コンテンツは柔軟に変えてきました」と山田先生は話す。

現在、高校には「国際」「特進ADVANCED」「特進BASIC」「進学」の4コースがあり、中高一貫のグローバル教育と探究型の多彩なプログラムで豊かな学びを実践している。

その根幹を担うのが英語教育である。中学校ではネイティブ教員と日本人教員のダブル担任制を導入。英語以外の教科で英語を使用するイマージョン教育も実践中だ。中3生は全員が約10日間のカナダ研修旅行に参加するほか、選抜制のスウェーデン短期(1週間)研修も実施している。高校では、「国際コース」は全員が7〜10か月間、イギリスまたはカナダの長期留学を経験し、「特進ADVANCEDコース」は3週間のイギリス語学研修、「特進BASICコース」「進学コース」は1週間のアメリカ研修を実施している。

キーワードは
2050年の世界をデザインする人財育成
2025年度より先端グローバルコース開設 !!

同校は、100周年の節目に中学に「先端グローバルコース」を開設する。現在の「GNコース」に「先端グローバルコース」が加わり、2025年度から2コース体制となる。「世界はめまぐるしく変化していますが、大切なのは変化を楽しむこと。『2050年』と言えば、現在の小学生が社会や世界で活躍する頃です。誰も見たことのない未来を創造するのは子どもたち一人ひとり。新コースのコンセプトは、『本校で2050年の世界をデザインしてみませんか』です」と山田先生。

「先端グローバルコース」では、すべての教科に探究的な学びの手法を導入。実践的な英語力と幅広い知識・教養を身につけ、理系・文系に分けず生徒一人ひとりの可能性を最大限に広げる。中高大一貫カリキュラムで生徒の知的好奇心を最大限に刺激し、「真の学び」を追求する。大学と連携して専門的かつ高度な学びを提供する。

英語の授業ではネイティブ教員が主導で教えるほか、中3全員がカナダへのターム留学(5か月間)を経験する。また、大学の工学部やバイオ環境学部と連携したSTEAM教育をはじめ、アート教育も今まで以上に活発化させる。探究活動には、大学教員の協力を得て、京都先端科学大学の学びのリソースを積極的に取り入れていく。さらに高2では全員10日間程度、シンガポール国立大学で入寮型短期研修を行い、現地の学生と交流しながらディスカッションやプレゼンテーションを行う機会も設ける予定だ。

中高大一貫だからできる
より深い学びを実現

100年という伝統と歴史の中で、独自の取り組みが実を結び、確かな歩みによって時を刻んでいる同校。学びのコアとなるのは、中1生から段階的に活動を推し進めていく探究学習「地球学」である。

氷河期以来の動植物が今も生き続ける京都の深泥池(みどろがいけ)での観察会に始まり、枕状溶岩観察やニワトリの解剖、学校に養蜂箱を設置して行っている「はちみつプロジェクト」など、さまざまな学びを通して、地域から日本へ、そして世界へと視野が広がるよう学習プログラムが展開していく。夏休みには毎年テーマ・行き先を変えてフィールド調査を行う地球学特別プログラム(希望者のみ)を実施している。昨年は軍艦島・雲仙普賢岳・キリシタン関連施設訪問および南島原地方での農漁村民泊を体験した。

「特進ADVANCEDコース」のある卒業生は、地球学特別プログラムに参加した際に経験したフィールドワークがきっかけとなり、研究職を目指して京都大学工学部に合格。「国際コース」のある卒業生も、中学でのカナダ研修、高校でのイギリス留学がきっかけとなり、将来は世界を舞台に活躍したいとニューヨーク大学アブダビ校へと進学を果たした。

「今後も多彩な学びのフィールドで生徒たちが成長する機会を提供し続けます。大学合格がゴールではなく、社会人となって未来の社会を自らの手でデザインしてほしいと願っています。『地球学』は学ぶことの意味や喜びを知り、自分の好きなものを発見し、適性や強みを伸ばしていきます。生きる力を育み、モチベーションを高めるコンテンツです。新設の先端グローバルコースでは、高校の探究学習を『知究学』という名称とし、大学の先生や専門家にもメンターとなっていただき、これまで以上にアカデミックなプログラムにしようと構想中です。

世界、日本、地域など、自分の置かれた環境や分野で、自分の意志で考え行動し、自己実現できる人財を育てていきたいと考えています。そして常に皆さんから期待される学校であり続けたいと思っています」


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独自のグローバル教育とSTEAM教育を軸に 中高大一貫体制で「京都発世界人財」輩出へ


京都先端科学大学附属中学校高等学校 https://www.js.kuas.ac.jp/