「京都発世界人財」を育む「地球学」の集大成
カナダで触れる大自然・文化・価値観
京都先端科学大学附属中学校高等学校
建学の精神「世界の舞台に堂々と自分の意志で立ち、行動できる人を育てる」を礎に、2021年度から京都先端科学大学(KUAS)の附属中学校高等学校として、世界水準の実戦力を備えた人財育成を加速させている同校。中学開校時から「探究学習」を教育活動の軸に据え、ホンモノにふれながら、学ぶことの意味や楽しさ、学ぶことの喜びを知る機会を数多く設け「地球学」として体系化している。この「地球学」の集大成として中3生全員が体験するカナダ研修旅行について参加した生徒さんたちにお話を伺った。
中学部 部長 竹村 慎吾先生
中学3年 エルファレッタ・レイナ・ンさん
中学3年 永山 遼拓さん
「地球学」の集大成
3年ぶりに再開したカナダ研修旅行
「コロナ禍で高校・国際コースの長期留学以外はすべてストップしていましたが、本校自慢のプログラムである中3生のカナダ研修旅行が再開し、感慨もひとしおです。『地球学』では、地元京都から日本へ、そして世界へと視野を広げ、学び、活動することが特徴です。カナダ研修旅行は中学生活の集大成であり、五感をフル活用して体得したことは一生ものです。『こういうことって大事なんだな』って感じたこと、考えたことは、将来の夢や未来へ続いていくスタートラインでもあります。バーチャル留学とは異なり、実際に相手が生活している環境を肌で感じながら交流することの素晴らしさを再認識しました」と竹村慎吾先生は話す。
エルファレッタ・レイナ・ンさん(以下 レイナ) 海外の習慣などを調べはじめ、異なる文化なので、ホームステイ先で気を付けることや失礼のない英語の表現などを調べていました。
永山 遼拓さん(以下 永山) 全員で地理的な特色や地域の文化をはじめ、景色、食べ物について調べました。僕は以前家庭科で作ったぬいぐるみを相手に、英会話の練習に励みました。カナダの東海岸に位置するプリンスエドワード島は美しい景色や美食で有名なので行きたいと思っていました。
レイナ ホストファミリーに会う前はとても緊張していました。でも、実際に会ってみたらとても優しかったです。学校での活動が一番印象に残っていて、カナダは多民族国家だから参加者すべての国籍を尊重し、個々を受け入れてくれているのが感じられて嬉しかったです。集合写真を撮るときには、それぞれの国旗も用意。多様性を尊重するカナダのリスペクト文化を感じられました。
永山 家族では海外旅行によく行っていたのですが、コロナ禍があり久々に「海外に来た~!」という感慨深い思いがこみあげてきて「頑張って勉強しよう」と思いました。一番肌で感じたのは価値観の違いです。日本のようにカッチリはしていないけれど、ちゃんとしたルールはある。メリハリもあるしリスペクトもある。多文化の国だなと思いました。カナダは車で10分も行けば雄大な景色が広がるので、日本とは違う豊かさを感じました。
独自のSTEAM教育へ発展
可能性を広げる学びを実践
レイナ カナダの学校は、日本の学校と違って自分の意見を積極的にはっきりいう子が多い。日本とは違う学校生活にふれて、私ももっと自分の意見を主張しようと思うようになりました。カナダに行ってみて、もっと他の国にも行ってみたい、留学もしたい。将来は英語を武器に、国連の職員とか国際的な仕事に就いて、人を助けたいという気持ちが強くなりました。
永山 カナダでは、人種、肌の色、身長、言語、ふるまいのすべてが全員に対して平等。偏っていないんです。「多文化主義政策」を世界で初めて導入した多民族国家だからこそ、価値観の違いを受け入れやすい基盤があると改めて感じました。いろいろ海外に行くたびに「この価値観を取り入れよう!」という発見があります。
レイナ 地球学では、2年次のスキー実習やニワトリの解剖など自分にとってはどれも初めての経験ばかり。「嫌だな、怖いな」と感じることもありましたが、いつも先生が応援してくれるので、挑戦してみると案外楽しくて面白い。何事もチャレンジすることは大事だと思うようになりました。
永山 自然が好きになったのは中1の地球学で深泥池に行ったことがきっかけです。生態系を調べたり、珍しい植物を食べてみるなどの経験の積み重ねが、いろいろな景色を見たり興味・関心のあるものについてワクワクしながら学んでいく姿勢につながっています。
レイナ 最初は言語の壁やホストファミリーとうまくやれるかなと緊張すると思いますが、カナダに行ったら何事も恐れずに挑戦してほしい。言語の壁は気にせず、自信をもって話してください。
永山 10日間は短いです。そしてカナダは物価が高いので、時間とお金の使い方がとても重要です。待ち時間も有効に活用し、お金も計画的に使うように心がけることで面白く過ごせると思います。
竹村先生 本校では、「探究学習」「地球学」をさらに独自のSTEAM教育へと発展させ、生徒の可能性を広げる学びを実践しています。カナダの研修旅行においても、いろいろな場面で生徒が自ら課題を見つけ、解決することが求められていました。
たとえば、朝食のときにホストファミリーから「Help yourself」と声をかけられているのに、聞き取れなかった生徒がずっと待っていたということがありました。なにか問題がおきたときに「先生、困っています」と相談し、次の行動につなげることが大事。
コミュニケーションにおいて、何を言われているのかを確実に理解し、わからなかったら一歩動いて問題を解決することが今後ますます求められる時代です。学校のさまざまな活動で、何が問題でどう解決していくのか、クラスメイトとどのような関係性を築いたらいいのかなど、今回の研修旅行での学びを生かしてほしいです。
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